表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第3章 アストリア王国編
39/295

38 命取り

  部屋に戻った2人は、毎晩の恒例となっている「明日の予定の確認」を行う。


「明日の雨次第だが、晴れていれば一気にカヌレまで行く」


 ルーファスは地図を広げて、カヌレの地名を指差しながら言った。ふとマリアは地図を見て疑問に思う。


「ルーファス、地図を見るとカヌレより近くにあるリンデルの方が大きそうな街なのに、どうしてカヌレなの?」

「リンデルの方がたしかに大きいが、リンデルから出ている別の街道が、クルーガー侯爵の母方の実家に通じている。侯爵の祖母君は病床に臥せっていて、体調が思わしくないと聞いた。侯爵も時々お見舞いに行っているらしい。万が一、侯爵が何かの用でリンデルまで足を伸ばさないとも限らない。後顧の憂いはたっておきたい」

「ルーファスは何でも知っているのね……わかったわ」


 マリアは、ルーファスが万事において色々と把握していることに驚きを隠せなかった。


 しかし、それと同時に、彼女は会ったこともないクルーガー侯爵の祖母の体調も気にかかる。


「でも、お気の毒に……。クルーガー侯爵のお祖母様は体調を崩されているのね……」


 マリアの様子を見て、人にも動物にもすぐに心を寄せる彼女に、ルーファスは思わずため息を漏らした。彼女の優しさは長所ではあるが、今の状況では命取りになりかねない。性格なので変えられないだろうが、ルーファスはマリアに念を押した。


「マリア、国境まではあと少しなんだから、最後まで油断するなよ」


 翌朝には幸いにも雨は止み、出発前にまたマリアは、ミルクとパンをもって厩舎の陰に行った。すると昨日の子犬がやってきて、マリアの足元にすり寄ってくる。


「おはよう、朝ごはんをもってきたからね」


 マリアが皿を置いてやると、子犬はうれしそうにぺろりと平らげた。


 いよいよ出発の時間になり、マリアたちが外に出ると、子犬が尻尾を振りながら待ち構えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ