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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第3章 アストリア王国編
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37 雨

 その子犬はガリガリで、ひとりぼっちのようだった。マリアたちを警戒しているのか、その痛々しい身体を引きずるようにして、2人の前から姿を消してしまう。


「あ……行っちゃった……」

「それより、早く戻ろう」


 こうしているうちにも、ますます雨はひどくなりそうだったので、ルーファスは後ろ髪引かれるマリアを無理矢理、宿に連れていった。


 おいしい夕食をいただきながらも、マリアはあの子犬が気になって仕方がない。


「まだ気にしてるのか?」


 ルーファスの言葉にマリアはこくりと頷き、窓の外を見た。雨はますます激しく窓を打ち付けている。この雨の中、あの子犬は1匹で震えているのだろうか。そう考えるといてもたってもいられなかった。


「もう一回見に行ってもいい?」


 マリアが聞くと、ルーファスは呆れながらも許してくれた。


 今度は傘と食堂でもらったミルク、マリアがわざと残しておいたパンを手に、さっき子犬を見たところに戻る。


「良かった、いてくれたのね」


 マリアはほっとしながら、少し遠くにミルクとパンを置いた。


 子犬は金色の瞳でマリアたちの様子を見ながら、よほどお腹が空いていたのだろう。臭いをかいだ後、大丈夫だと思ったのかミルクとパンを口にしてくれた。


 子犬が食べてくれたことに、ひとまず安心したマリアは、ルーファスに付き合ってくれたお礼を言って、部屋に戻った。

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