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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第7章 旅の終わりの物語
294/295

295 永遠の愛

キスシーンがあるのでR15です。いつまでR15なんだって、自分でも思います……。

 青く澄みわたる空が印象的なある日。その日はマリアの17歳の誕生日だった。


 ここはルシタニア王国で最も由緒ある白亜の教会。愛し合う2人は、神の御前に立っていた。


「……はい、誓います」


 低く凛とした声が、神聖な空間に静かに広がる。

 婚礼衣装に身を包んだルーファスの、端整で精悍な顔にも若干緊張の色が浮かんでいた。


 輝く陽光はステンドグラス越しに彩りを添え、無垢な白を纏った花嫁を引き立てる。ロングトレーンのウェディングドレスは繊細優美なデザインで、それを纏うマリアの可憐な美貌は、まだヴェールの向こうに秘められていた。

 エドの両親であるセバスとドリーは、あの幼かった少女が美しい花嫁になったことに時の流れを感じ、熱くなる目頭をそっと押さえた。


 聖書台の前で、神父はおごそかに、それでいて愛情深くに花嫁に問いかける。


「汝、マリア・アジャーニは、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、死が2人をわかつまで、真心を尽くすことを誓いますか?」

「……はい、誓います」


 鈴が鳴るような声で、マリアは神に約束する。最も近い席に座っていたマレーリーは、好きな人と結ばれる姪をこんな時でさえ羨ましく思っていた。


「指輪の交換を」


 差し出されたリングピローに並ぶプラチナの指輪。

 その裏側にはそれぞれの瞳の色である、小さなラピスラズリとアクアマリンを、イニシャルの横に並べていた。


 しかし指輪の交換をするとき、マリアは緊張のあまり手が震えて上手くはめられなかった。

 その様子をイザークとオーラン、そしてデリシーが微笑ましく見守る。


 そうしていよいよ誓いのキスの時間が来て、ルーファスはマリアのヴェールをそっと持ち上げた。

 そのあまりの美しさにエドが歯噛みをし、カイはただ見惚れていた。

 悩ましげな溜め息をつく主を心配そうに眺めるのは、コウゲツとサクラ。彼らは忠実なるクルーガー侯爵の使用人だ。


「それでは誓いの口づけを……」


 紺碧と水色の瞳がぶつかって、その一瞬に万感の想いが交差した。ルーファスが屈んで、そっと唇を重ねる。彼の両親と妹は、不幸を乗り越えた先の、眩しいほどに幸せな光景に目を細めていた。


 愛している。


 一生かけて、愛している。


 交わされる口づけはただ幸せな味がして……。


 マリアとルーファスは長い旅路のその果てに、永遠の愛を手に入れた……。  

次の後日談で終わりです。あとしばらくお付き合いください!


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