表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第6章 ガルディア王国後編
280/295

279 眠り薬の威力

BLです。そしてR15です。心して読んでください!

 丹念に磨きあげられたマリアからは、ほんのり甘い花の香りがして、陶器のように滑らかな肌はいつもに増して輝いていた。

 そんなマリアに用意されたドレスは、非常に蠱惑的なデザインで、胸元も背中も大きく開いている。


(恥ずかしいし、目立つわよね?)


 ショールを羽織ればおかしくないが、そんなものはここにはない。ちなみに元々着ていた服はどこかに持ち去られてしまった。


 自分の姿を見下ろして思案しているマリアのもとに、カイが音も立てずに戻ってきた。その手には何かの布と小さな白銀の鈴が握られていて、マリアの視線はその耀きに自然と吸い寄せられる。


「それは、もしかして?」

「ああ」


 カイは鈴を掲げてみせた後、手に持っていた布をマリアに押し付けた。


「交替が来る前に早く逃げよう。ほら、これ、着ろよ」


 渡されたのはシンプルなメイドのお仕着せ。


 この屋敷に連れてこられた女の子たちが、いつもどんな格好をさせられるのか、彼はよくわかっていた。だからこそ、あらかじめお仕着せを入手したうえで戻ってきたのだ。


「ありがとう。助かるわ」


 カイに後ろを向いてもらい、マリアはすぐに着替え始める。


「大男たちはぐっすり眠ってくれた?」


 マリアの簡単な質問に、なぜか沈黙が落ちた。


「…………」

「カイ?」

「…………! えっと、全然眠ってくれなかった。むしろハッスルしてたけど、おかげさまでわりとすぐに鈴は見つかったから、良かったよ……たぶん」

「え、眠らなかったの? それならどうやって、元気いっぱいの大男たちから鈴を借りることができたの?」


 マリアは官能的な服を床に落とし、お仕着せに袖を通した。カイがぽつりと答えてくれる。


「……服が全部、脱ぎ捨ててあったから」


 カイは今しがたあんな場面を見てきたばかりだから、マリアの衣擦れの音が気になって仕方がない。


「脱ぎ捨てられた服の中に、入っていたということ?」

「そうだよ。下履きの中にあった」


 下履きとは、つまり男の人の大事なところを直接ガードするあの布だ。


「大男は2人でお取り込み中だったから、びっくりするくらい楽に入手できたんだ」

「そう。あなたが危険な目に合わなくて、本当に良かったわ。でも何に取り組んでいたのかしらね?」


 眠り薬も効かないくらい夢中になれることとは何だろうかと、マリアは気になってしまった。ただの興味本位の質問は、カイを非常に困らせた。


「えっと……肉弾戦にいそしんでた……」


 カイは端的に答えて眉間に皺を寄せた。肌と肌とがぶつかる音と、恍惚としたごつい声。それらが脳内で再生されそうになるのを必死に押し止める。

 それとほぼ同時にマリアは着替えを終えて、彼の横に並んだ。


「なんか、苦しそうよ。大丈夫?」

「し……心配はいらない! さ、もう質問はいいだろ? 逃げるぞ!」


 カイは眠り薬の正体に気づいてはいたが、マリアに真実を告げると、混乱して時間を食いそうなので、敢えて何も言わなかった。

 あの薬のおかげで、大男2人は忘我の淵に沈み、鈴も簡単に入手できた。大男と狂犬の問題を一挙に解決できたのだから、望むべくもない結果だ。


 カイはマリアを先導して、脱出を開始した。

眠り薬だったら、カイは鈴をさがすの大変でしたよね。脱いでくれて助かったということで(・・;)


大男たちは仲良く添い遂げると思いますので、安心してください。性別なんて気にしないほどの、本物の愛が芽生えたんですね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ