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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第6章 ガルディア王国後編
269/295

268 馬車の中

 狭い馬車の中には、まだ年端もいかぬ少年たちが3人、折り重なるようにして倒れていた。

 馬車は馬が暴走した衝撃で車輪が外れて傾いてしまっていたから、手足を縛られて身動きが取れない少年たちは、幌の中で激しく揺さぶられてしまったことだろう。


 ルーファスはらしくもなく、動悸が早まり、嫌な汗が吹き出るのを感じた。埃っぽく暗い幌の中、何1つ見逃さないように、端から端まで視線を走らせる。


 そうして突きつけられたのは、ある残酷な真実。


「マリアが……いない」


 今、彼の目の前にいるのは、昔の自分と同じ哀れな被害者たちだけだ。

 しかし、記憶の底に沈む泥のような感情がルーファスの心をまた濁らせたとしても、まずは少年たちの拘束を解いてやらなければなるまい。


 ようやく解放された少年たちの薄っぺらい身体には、あちこちに痛めつけられた痕があり、縛られたところは血が滲んでいた。


「もう、大丈夫だ。家に帰れるから安心しろ」

「……うん、ありがとう……ござい……ます」


 辿々(たどたど)しく、(かす)れた声で少年の1人が礼を言った。声を出すのも久しぶりなんだろう。


「君たちに、聞きたいことがある」


 心の内の焦燥を隠し、ルーファスは穏やかに尋ねた。小屋の内側で何が起こっていたか、少なくとも彼らは自分たちよりも知っているはずだ。何でも良い。情報がほしい。


「君たちが馬車に乗る前にいた小屋の中に、若い女がいなかったか?」

「若そうな女の人の声は聞こえたよ。僕たち、ずっと目隠しをされていたから、姿は見ていないけど……」

「何を、話していた?」


 少年たちは困ったように顔を見合わせた。


「すごく小さい声だったから、話の内容まではよく聞こえなかったんだ」

「そうか……」


 目隠しをされていた彼らに、それほど大きな期待を寄せていた訳ではないが、正直なところ少しだけがっかりした。若い女というのが、マリアだという根拠もない。


「でも男の人たちの声は聞こえたよ」

「……!」

「『うぃす……なんとか、りあ』とか『あのお方』がどうとか……」

モヤる展開なので、次は早めに更新します。もう少し、もう少しだけ、お付き合いください。

お願いします、見捨てないで(´;ω;`)

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