255 本音
ブクマして下さる方がいらっしゃるから、こうして連載できています(*´ω`*)
「そうね。ルーファスは私に何かあると、いつも1番に駆けつけてくれたもの。でも……鬱陶しかったの? あなたは出会ったときからずっと優しかったから、そんなことを思われていたなんて、なんだか少しショックかも……」
「仕方がないだろう。俺のそれまでの人生で、マリアみたいな子を見たことがなかったんだから。お前は綺麗すぎて苦手だったし、そもそも貴族に良い印象をもっていなかった」
しょんぼりとするマリアを、ルーファスは愛情の籠った瞳で熱く見つめる。
「でも、すぐにお前のことは大切になって、俺が守りたいと思うようになった。それに……マリアは俺にはないところをもっているから、そこは本当に尊敬している」
「え、どこ?」
ルーファスに尊敬されるような立派な長所を持ち合わせているとは思えず、マリアは聞き返していた。
「マリアは昔から、人を許すことができるんだ。この旅の間だって色々あっただろう? ひったくりにあったり、侯爵様に監禁されたり。それなのにお前は誰も怨まないんだ。
マリアのそばで過ごすうちに、過去のことでいつまでも悩んでる自分が小さく見えてな。お前みたいに何も考えずに生きた方が幸せだなって思った」
「それは……褒められているの? 貶されているの?」
マリアが反応に迷って悩む姿が可愛くて、ルーファスはついつい彼女に手を伸ばした。
「拗ねるなよ」
柔らかな頬を愛おしい気持ちのままに優しく撫でると、マリアは擽ったそうに首を縮めた。
「でも俺は実際あの女にどこかであったら、法の裁きは受けさせたいと思っている。だから今回のことも他人事ではないと思うところもあった。だからと言って、マリアに何かあったら、そっちの方が耐えられない。複雑なんだ」
「ふふ、でもやっぱり手伝いたかったのよね?」
ルーファスがようやく吐き出した本音が愛おしくて、マリアは頬に添えられた大きな手に口づけた。
「私もやっぱり知ってしまった以上は、できる範囲で手伝った方が良いと思うの。その方が私たちの結婚も神様からたくさん祝福していただけるわ」
「……そう、だな」
人のことになると少し頑固になるマリアは、まだ渋るルーファスを強引に説得した。




