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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第6章 ガルディア王国後編
251/295

250 ルーファスの過去3

R15です。流血、残酷なシーンがあります。表現もきつめです。

 売られた真相は何なのか、父親は共犯なのか、違うとすればなぜ迎えに来てくれないのか。知りたいこと、聞きたいことは山ほどあった。


 しかしルーファスは考えることを(じき)に放棄する。

 迷いを抱えて生きていける場所ではないと、高潔な魂と共に早々に捨て去った。


 ルーファスは恵まれた容姿と天から授かった能力を最大限に活かし、生き抜くためなら何でもした。

 そんな完璧な彼がご主人様の隣に並べば、醜悪な貴族の豚を飾るアクセサリーの完成だ。

 ルーファスは瞬く間にご主人様の1番のお気に入りとなり、常にそばに(はべ)らされるようになった。


 無表情が標準装備となっていたルーファスは、ご主人様の悪事や彼を取り巻く禍々しい欲望を、隣で(つぶさ)に観察した。その中で使えることがあれば、己が内に淡々と吸収していく。


 ご主人様の手伝いをさせられることも多かったが、誰かが泣こうが(わめ)こうと、一向に構わなかった。心のスイッチは常に切られているから、人間の感情というものに興味を失っていた。


 しかし2、3年くらい経ったある日のこと、ご主人様が突然殺される。金を貸していた男に刺されたのだ。

 ルーファスはいつものようにご主人様のそばに控えていたが、敢えて微動だにしなかった。

 生暖かい血飛沫(しぶき)が頬を濡らし、断末魔が鼓膜を激しく揺らしても、何の感情も湧いてこない。

 ただその刃がルーファスにも向けられたとき、衝動的で要領の得ない攻撃を返り討ちにした。正面から鮮血を浴び、滴る血が床にポタポタと溜まるのを静かに見下ろす。

 ただの肉塊に成り果てた男を眼下に置いて、ルーファスは自分の手が血に染まってしまったことを実感した。


 しかし初めての経験の後でも、ルーファスはあくまでも冷静だった。2つの血溜まりを越えて彼が真っ先にしたことは、自分を縛る契約書を破棄し、財産をもって逃げることだ。ご主人様が不正に蓄えていた財産を持てるだけ持った。


 ご主人様が死んだその日、ルーファスは大金とともに自由になった。

あくまでも正当防衛で、持ち逃げした財産もご主人様が不正に蓄えていたお金です。

不快になってしまった方がいましたら、申し訳ございません。


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