24 頼りになる護衛騎士
マリアは、ルーファスの腕の中でようやく落ち着きを取り戻した。彼に促されて屋敷に戻ると、皆が心配してホールで待っていてくれた。
「「マリア!」」
「「お嬢様!」」
「ごめんなさい、心配かけてしまって。もう大丈夫よ」
そう言って、マリアは皆に深々と頭を下げた。
「頭を下げなきゃいけないのは僕の方だよ。どうするか決まったかな?」
マレーリーが前に進み出て、マリアに尋ねた。彼女はルーファスと目配せする。
「ルーファスの里帰りについていくことにしたの」
「え?!」
驚いて声をあげたエドの口を、セバスとドリーが塞いだ。
マレーリーはすぐに賛成の意を示した。
「それがいいよ。ルーファスと一緒なら安心だ」
「いつ出発するのですか?」
ドリーが心配そうにマリアを見つめる。マリアが答えあぐねてルーファスを見上げると、彼は迷いなく答えた。
「私は、なるべく早く出発したいと考えています」
それにはマレーリーも頷く。
「そうだね。屋敷の引き渡しは2週間後だけど、クルーガー侯爵はマリアにとても執着してるから、なるべくその前に国境を越えた方がいいと思うよ」
そして明日の明け方には旅立つことになった。住み慣れた我が家をこんな形で出ることになるとは思いもよらなかったが、マリアは不思議なほど落ち着いていた。
だって彼女には、誰よりも頼りになる護衛騎士がついているのだから。




