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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第5章 王都シュバルツ編
213/295

212 愛するが故の覚悟

「ルーファス、君に決闘を申し込む。どちらがマリアにふさわしいか、はっきり決めようじゃないか」


 侯爵が明確な意志をもって、ルーファスを睨み付ける。


「侯爵様……何を……」


 マリアはあまりに無謀な申し出に、か細い声をあげた。

 侯爵はごく最近、黄泉の国の深淵を覗いたばかりの身である。この状態で決闘を申し込むのは、正気の沙汰ではない。

 何しろ、彼が今から対峙(たいじ)する相手は、御前試合で無敗の、()()ルーファスだ。アストリア騎士団に関する要職についている侯爵が、ルーファスの強さを知らないはずはない。


 ルーファスはすぐにはその申し出を受けなかった。侯爵の腹をさぐるように睨み返す。


「ルーファス、受けるのか受けないのか、はっきりしろ!」


 無言のルーファスに焦れたのか、侯爵が鋭く叫んだ。ルーファスを侮辱するように冷ややかな薄ら笑いを浮かべる。


「まさか、私に負けるのが怖いのか? アストリア王国1の騎士ともあろう君が、そんな臆病者だったとはな! そんな男にマリアは渡せない!」


 わざと挑発しているとしか思えない侯爵の言葉に、マリアは肝を冷やす。


 しかしマリアがルーファスを見上げると、ルーファスは挑発をすべて受け止めたような凪いだ瞳をしていた。そして、静かに口を開いた。


「望むところです、私もあなたと剣を交えてみたかった。マリアは絶対に渡しはしません。受けて立ちましょう」

「それはこちらの台詞だ。勝者こそがマリアにふさわしい。マリア、わかったかい? 君もこの勝負の結果に従ってもらう」


 侯爵はそう言って、マリアに優しい微笑みを向けた。その笑顔はまるで夕陽のように、マリアの心を理由のない切なさで染め上げる。

 何かが終わる予感に、彼女の胸がさざめいた。

皆様のおかげでランキングの片隅に載ることができました☆


ランキングからは消え去る日は近いと思われますが、なろう銀河のどこかで星屑のひとつとして連載は続きます。

今後ともよろしくお願いいたします(((^_^;)



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