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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第5章 王都シュバルツ編
191/295

190 爪痕

 侯爵は目の前にいる美しい少女が心配でたまらない。


「それで、私の話はわかったのか?」

「はい……たぶん……」


 マリアは至極まともなことを言う彼に意識が奪われてしまい、実は途中からほとんど内容が頭に入ってこなかった。しかしそれを誤魔化して、彼女は曖昧に返答する。


「なぜそんな呆けたような顔をしていたんだ」

「あの……侯爵様って、婚約を迫って私を監禁したり、お着替えのときも側で監視したりして、正直ちょっと変態っぽいなって思っていたんです……。でもこうして……私のことを真剣に心配してくださるのを見ると、なんだか驚いてしまって……」

「変態……」

「ごめんなさい、私、侯爵様のことを誤解していたみたいです」


 マリアはペコリと頭を下げた。


「ふっ……変態というのは、君の叔父さんみたいな人を言うんだ……」


 侯爵は陰を背負って、無駄にかっこいい角度で黄昏(たそがれ)る。マリアは身内のマレーリーに与えられた不名誉な称号に狼狽えた。


「あの……叔父が何かしたんでしょうか……?」

「……絶対にマリアには言いたくない」


 明確に拒絶されてしまい、彼女はそれ以上聞くことができなかった。とりあえずマレーリーは侯爵の心に、それなりの爪痕を残したようだ。それが恋の成就に結びつくかどうかは別として。


「それにしても、マリアは貧乏生活を送っていた割には、本当に欲がないな。私の周りの女は、金と爵位に目をギラつかせてるのに」


 一緒に居られるのはおそらくあと僅かだが、侯爵はマリアが与えてくれた温もりを、生涯忘れられそうになかった。

 しかしいつまでもこうしてばかりはいられず、彼は呼び出したコウゲツに先程したためていた手紙を渡した後、再度彼女に向き直った。


「この場所は秘密基地でもなんでもない。ガルディア王国におけるクルーガー侯爵家の別邸として、地図にも普通に載っている。ルーファスならすぐに君を迎えに来るだろう。とりあえず3日間は様子を見ようじゃないか」

叔父さんが侯爵にしたことは秘密です。脳内補完お願いします。

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