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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第5章 王都シュバルツ編
189/295

188 結婚して大丈夫?

「そんなに驚くことでもないだろう」


 灰のように真っ白になってしまったマリアに、侯爵は呆れ気味に声をかけた。彼は静かに息を吐いて、信じられないというように、大仰(おおぎょう)な仕草で首を振る。

 マリアは困惑の色を隠せなかった。


「だって、黒幕が侯爵様だったのも驚きですけど、それよりも、そのことをあまりにもあっさりとお認めになるから……」


 侯爵という存在により、すべての点が線で繋がったことは良いとして、マリアはその平然とした態度にモヤモヤしてしまう。

 複雑な王宮社会で上手く立ち回るためには、生き馬の目を抜くような(ずる)さも必要なのだろうが、それでも人の道として、彼にはある程度の感情の揺らぎを見せてほしいところだった。


 しかしそれは侯爵の方としても同じことで、浮き世の濁りにまったく染まっていないマリアが心配になってしまう。彼は親心にも似た気持ちで尋ねた。


「そんなにぼんやり生きていて、ルーファスと結婚して本当に大丈夫なのか?」

「え?」

「やはり知らないんだな。ルーファスの実家のことも」

「ご両親は商売をしている、と聞いていますけど……何かあるんですか?」


 侯爵は、マリアの不安に揺れる眼差しを正面から受け止めて、大袈裟にため息をついた。


「零落した身の上とは言え、相手の家のことも知らずに嫁ぐなんてありえない。お父上のギルバート殿が泣くぞ。

 もし仮にルーファスの実家が借金まみれだったり、後ろ暗い商売をしていたらどうするんだ。場合によっては君にも害が及ぶ可能性だってある。よく調べて、考え抜いてから、相手を選びなさい」


 マリアは以前ルーファスが、母親と思っていた女に売られたという話をしてくれたことを思い出した。


 少なくとも家庭環境は複雑そうで、もしかしたら本当に侯爵の言う通りなのかもしれない。それでも惚れた弱みで、今さらどうしようもなかった。

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