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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第5章 王都シュバルツ編
181/295

180 密かな決意

 看病を終えた後、マリアはサクラにそれとなく聞いてみることにした。サクラに逃げ出すことを悟られてはいけないので、話題の舵取りが難しい。かなり強引に話題をねじ曲げた感じは否めないが、マリアは何とか尋ねることができた。


「ここは貴族街ですよ。王族のお屋敷もここからそう遠くないところにあります。何せクルーガー侯爵家と言えば、アストリア王国の有力貴族ですからね」


 サクラは誇らしげに胸をそらして答えてくれる。侯爵が峠を越えたことで気力を取り戻したらしく、今の彼女は(すこぶ)る上機嫌だ。


「でも、それがどうかしたんですか?」

「えっと、何となく気になって……」

「ふふふ、マリア様は変なことをお聞きになるんですね」


 マリアの力に任せた不自然な話題転換も、ご機嫌なサクラは華麗にスルーしてくれたらしい。しかしマリアは努めて平静を装いながらも、内心冷や冷やしていた。思っていることがすぐに表に出てしまう彼女にとって、この手のミッションはかなり困難なものだ。


(心臓に悪くて、これ以上は聞けそうにないわ……。でも、ここが貴族街にあることもわかったし、イザーク様のお屋敷もそう遠くないみたい。本当は私が持ってきた荷物がどこにあるかも知りたかったけれど、大したものも入っていないし、ブラックだけを連れてここから出ましょう)


 マリアは胸の中で(ひそ)やかに、脱出の決意を固めた。

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