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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第5章 王都シュバルツ編
158/295

157 落ち着かなくて

R15です。

「マリア、少しは落ち着かないか……」

「きゃっ!」


 気持ちを落ち着かせようと深呼吸を繰り返すマリアの背後から、呆れたような声が落ちてきた。彼女は驚きに肩を跳ねさせ、小さな悲鳴をあげる。


「ルーファス……」

「本当に落ち着けよ」

「だって……あなたと同じ部屋だと思うと……ドキドキしちゃって……」


 彼女は空色の瞳に、すがるような戸惑っているような複雑な色を浮かべてルーファスを見つめた。

 その瞳があまりにも美しすぎて、彼は思わず見惚れてしまい、赤くなりそうな顔を隠すように自分の口元を押さえた。


「マリアは無自覚に煽るから(たち)が悪いな……」

「……?」

「もう何も考えるな。俺に身を任せてくれればいい」


 そうして彼女をベッドまで運んで、壊れもののように大切に寝かせた。


「今夜はもうやめるつもりはない。俺に愛をささげてもらう」


 マリアは恥じらいながら小さく頷いて、彼の言葉を受け入れる。


 2人の間に濃密な雰囲気が漂って、ルーファスがマリアを自分の下に閉じ込めた。彼女も彼の首に手を回して愛しげに引きよせる。

 近づく距離と、深くなる口づけ、荒くなる呼吸、ただ抱き合うだけではもう物足りなくて、お互いのすべてを受け入れ、そして与えたかった。


 しかしそのとき、愛し合う2人を引き離す無情な音が響いた。誰かが部屋の扉を遠慮がちに、それでも確固たる意思をもって叩いている。


「空気読めよ……」


 当初は無視していたルーファスだったが、なかなか扉を叩く音は止まなかった。彼は苛立ったように独りごちて、マリアをベッドに残したまま来客に対応する。

 そこにいたのは思いもよらない人物だった。

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