156 デリシーからの激励
R15です。そういうシーンはありません。
食事と湯あみを終えたマリアはずっと挙動不審だった。ルーファスを待っている間も、期待と緊張でどうにかなりそうだ。
(ついに今日結ばれるのかも……。最初は痛いのよね…? でも昨日は違和感はあったけれど、痛いというよりもむしろ……)
そこまで考えて自然と身体の奥に熱が集まるのを自覚したマリアはハッと我に返った。
(私ったら、さっきからその事ばっかり考えてて恥ずかしい……。本当に落ち着かないと……)
マリアは気を紛らわすために、デリシーからもらった餞別を見ることにした。これからは相部屋でルーファスと常に一緒になるのだから、なかなか見る時間は作れないかもしれない。
可愛らしいピンクの袋をトランクケースの奥から引っ張り出して、ドキドキしながら開けてみる。
(デリシーさんは何をくれたのかしら? 今度会えたらお返ししないといけないわね)
子どものように胸を弾ませて中身を確認したマリアだったが、その中身を見た彼女は瞬時に凍りついた。そして見てはいけないものを見てしまった気がして、急いで袋の口をしめる。頬が赤らむのを止められなかった。
(これって……)
もう一度おそるおそる中を確認すると、手紙も一緒に入っていることがわかった。
『これを着て頑張って!』
中身は透きとおるような官能的な夜着と、ほとんど布地のない繊細なレースの下着だった。
「……こんなの、絶対に着られないわ」
思わず口から漏れた言葉に、彼女は慌てて自分の口を押さえた。聞かれていたらどうしようと急いで背後を確認するが、ルーファスはまだ戻ってきていなかったので、ホッと胸を撫で下ろす。
彼女は再びピンクの袋の口を絶対に開かないように丸めて、トランクケースの奥の奥にしまいこんだ。決して彼に見られてはならない。もし見られたら恥ずかしくて、それだけで死んでしまいそうだ。
(なんだか、ますます落ち着かなくなってきちゃった……どうしたらいいの……?)




