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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第5章 王都シュバルツ編
156/295

155 ふたりきり

 王子であるイザークの屋敷は当然ながら貴族街にあって、そこに至る橋は夕方には封鎖されてしまう。貧富の差が大きいシュバルツでは、貴族街との出入りが厳密に管理されていた。

 その一方で、平民街とスラム「アンダーシュバルツ」は平民街の住みにくい環境の悪いところに、まるで病巣のように複雑に広がっていた。

 そのため誤って足を踏み入れてしまった旅行者が、犯罪に巻き込まれてしまうことも多いという。


 ルーファスは貴族街にほど近い場所にある宿を選んだ。アンダーシュバルツにいたことのある彼は、貴族街に近いほど治安が良いことを知っていたからだ。


「今日からまた2人きりだから、あなたと同じお部屋なのね」

「マリアは監視しておかないと危なっかしいからな」

 ルーファスに頭をポンポンと撫でられ、マリアは可愛らしくむくれた。

「もう……危険人物みたいに言わないで」


 そうは言いながらも、あんなことがあった翌日に部屋に2人きりになるのはどうしても緊張してしまう。

 部屋につくまで不自然に無言になっているマリアを見て、ルーファスは気遣わしげに話しかけた。


「大丈夫か? とりあえずあたたかいものでも食べて休もうか」

「………」

「マリア?」

「え!? そ、そうね! 食べましょう」


 あからさまに動揺しているマリアに、ルーファスはにやりと人の悪い笑みを浮かべた。


「そんなに早くから緊張しなくてもいいだろう。夜は長いんだから」


 彼女は彼の意味深な発言に胸をざわつかせた。赤くなりながら、小さな声で聞き返す。


「それはどういう意味で……」

「さあ? ほら、行くぞ」


 ルーファスは答えてはくれず、軽くマリアを振り返って先に行ってしまう。彼女は速まる鼓動をもて余しながら、小走りで彼を追いかけた。

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