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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第4章 ガルディア王国前編
152/295

151 エドは?

 手紙の話になり、マリアの頭に疑問が(よぎ)る。


「あの手紙……? そういえばどうしてルーファスは、私が叔父様に手紙を書くのを止めたの? 叔父様が侯爵様を慕っているのなら、手紙については侯爵様にはお話しないと思うのだけど……」


 ルーファスは呆れたようにひとつため息をついた。


「俺が心配しているのは、エドに出してしまった方の手紙だ。仮にマレーリー様に出していたら、正直絶望的だ。あの人は侯爵が自分の話を聞いてくれるのがうれしいという、ただそれだけの理由で手紙の内容をペラペラ話すだろう。さすがに後から気づいたら、悔やむんだろうが。それにしてもお前は……本当にマレーリー様のことをわかっていないんだな」


 マリアは責められたような気持ちになって肩を竦めたが、それでも彼女はどこか楽観的だった。


「でもエドに出した手紙は心配いらないと思うの。いくら侯爵様でも他人の手紙を読む権利はないはずよ。だからきっと大丈夫よ」


 マリアが努めて明るく言うので、ルーファスもそう信じたい気持ちになる。


「……そうだといいんだけどな」


 それでも拭いきれない不安が、彼の心に(おり)のように沈んでいた。


「あとひとつ聞いてもいい?」

「なんだ?」

「エドは……エドは、あのままよね? 私と同じように、何も知らなかったのよね?」


 快活な幼なじみの姿を思い浮かべてマリアは尋ねた。エドまでもが今回の舞台裏を知っていたら、それこそ彼女だけが何も知らなかったことになる。彼は幼なじみであり、同じ立場で物を考えることができる貴重な存在だと思っていた。


「安心しろ。あいつは何にも考えてないし、何も知らないはずだ」

「そう……、なんだか安心したかも」


 マリアはエドの太陽のような笑顔を思い出して、懐かしくあたたかい気持ちになった。彼は今頃どうしているだろうか。今度いつ会えるのだろう。


(考えてみたら、こんなに長くエドと離れていたことなんてなかったわ。旅が終わって落ち着いたら、エドに会いたいわ。久しぶりに会えたら、色々話したいこともあるし……)


 彼女は知らず知らずのうちにやわらかな微笑みを浮かべていた。

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