136 道中の会話(レーニエまで) 3
中途半端なところから、始まってごめんなさい(>_<)
「うん……」
「そんなに気を遣うくらいなら、俺から逃げるなよ?」
ルーファスはマリアなら自分のすべてを受け止めてくれると、もうわかっていたが、冗談めかしてそう言った。しかし何でも真に受ける彼女は、知らず知らずのうちにうつむいていた顔をあげ、決意を込めてルーファスを見つめる。
「私は……あなたが今までどんな風に生きてきたとしても、あなたが今のあなたである限り大好きよ。私が必ずあなたを幸せにするから……ルーファスこそ私から逃げないでね?」
マリアの人目も憚らない告白に、デリシーはルーファスをニヤニヤしながら見た。おとなしいのに時々大胆な言動をするマリアに、彼は毎回驚かされる。
「……ですって? 良かったわね、ルーファス」
「そうだな」
そう言って、ルーファスはマリアの顔を眩しそうに見つめた。
マリアの愛情はいつでもまっすぐに彼を照らしてくれるから、今でも充分に幸せだとルーファスは思う。
誰にでも平等に向けられていたマリアの愛情が、彼にだけは、特別な熱をもって捧げられるようになったことで、彼の心は非常に満たされていた。
母親だと思っていた女に裏切られ、この世の汚いものをすべて詰め込んだかのような、アンダーシュバルツでの淀んだ日々。
誰も信じられなくなった彼が身に付けたのは、圧倒的な強さと相手の感情を読み取る力、そして心を凍らせる術だった。
ルーファスは昔の絶望していた自分に教えてやりたい。愛し愛される、幸せな未来がくることを。