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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第4章 ガルディア王国前編
132/295

131 唯一の王女

 エメラダ王女は現時点において、アストリア王国唯一の姫君である。現アストリア王の後宮では多くの女性たちがその寵を競い、多くの子を成したが、無事に育った姫は正妃腹のエメラダ王女ただ1人だけだった。ほかの姫は夭逝(ようせつ)してしまったらしい。


 しかしエメラダ王女は残念なことに、絶世の美女と名高い王妃の美貌は一切受け継いでおらず、精悍でやや(いか)つい国王に瓜二つだった。

 国王は男性としては魅力的だが、そのままそれを受け継いだ王女は、お世辞にも女性らしいとは言えない顔立ちをしている。


 せめてスタイルが良ければ見映えもするが、ジェイクが懇意にしている女官によると、体格も女性としては骨太でがっしりとしているうえ、凹凸に乏しく、懸命にコルセットをしめて胸を寄せ集めても如何ともしがたいということだった。

 たしかに腕利きの女官たちのメイクや体形補正技術を結集した結果があの容姿となれば、もとの姿は推して知るべしであろう。


 容姿に多少難があっても、性格が良ければ可愛げもあるのだろうが、エメラダ王女は気性が荒いうえに、プライドが高く、とんでもないわがまま姫という評判だった。


 ジェイクも何度かエメラダ王女の癇癪を目撃したことがあるが、それはそれは凄まじかった。あの金切り声は忘れたくても忘れられない……。


 総じて女性に点が甘いジェイクでさえも、エメラダ王女に縁付けられる相手は大変だろうと僭越ながらも心配していた。

 しかしそのエメラダ王女は、大国ガルディア王国王太子のもとに輿入れすることが最近正式に決まったのである。


 彼女はアストリア王国唯一の王女として、絶対的な価値があった。婚姻というのは外交においては有効な手段の1つだから、実際彼女は引く手あまたで、彼女に婚姻を申し込む国は多かったと聞いている。

 エメラダ王女とガルディア王国王太子が婚約する運びとなったのは、外交関係を強めたいという両国の思惑が一致したからであろう。

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