表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第4章 ガルディア王国前編
129/295

128 予想通り

「予想通りだったな……」


 ジェイク・クルーガーは薄明かりの中、マリアからの手紙を読んで独りごちた。長い指先で静かに手紙をめくる。マリアは無防備に何もかもエドへの手紙に書いていた。

 無事に国境を越え、王都シュバルツを目指していること、王都まではもう1人女性が同行すること、髪を切って男装することと、今は『マリク』と名乗っていること、そして失恋したこと。


 失恋の相手ははっきりとは書かれていないが、間違いなくルーファスのことだろう。マリア曰く、彼はその王都まで同行するという女性と恋仲らしい。ジェイクはマリアの手紙を若干呆れながら読んでいた。


(あの抜け目のないルーファスが、過去に少しでも関係のあった女をマリアに会わせる訳がない。そもそもあの男がマリアを手放すことはありえない。失恋したというのはあの子の誤解だろう)


 それでもマリアがこんな手紙をエドによこすということは、2人の間にすきま風が吹いていることは間違いなかった。そうでなければ、あの男がこんな情報がだだ漏れの手紙を出すことを許す訳がない。マリアが勝手にやったことだろうというのは容易に想像できた。


 ジェイクはルーファスのマリアへの執着をよくわかっていた。彼女に対する想いに関しては、自分とよく似ているところがある。しかし恋に慣れていないマリアには、そういう生々しい感情はわからないのだろう。だからマリアだけになれば、簡単に彼女を揺さぶれる自信があった。国境の街サーベルンでも、彼女は震えながらもジェイクに身を捧げようとしていたではないか。


 問題はルーファスをマリアから引き離す方法だが、今回は良い口実ができた。革命だろうが、何だろうが、利用できるものはとことん利用させてもらおう。ルーファスはあくまでも「休暇中」で、彼の身分は王宮騎士なのだから。


「あら、誰からの恋文なの?」


 そのとき色っぽい女性の声がして、ジェイクは振り返った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ