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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第4章 ガルディア王国前編
128/295

127 大義名分

 ジェイクの考えは当たっていた。部下の要領よくまとめられた報告を聞き終わったとき、予想よりも深刻な事態に、彼は優美に整った顔を曇らせる。


 あろうことか王立騎士学校の学生ら数名が、王権打倒を目論む革命勢力に取り込まれていたらしい。王家へ忠誠を誓うジェイクにとって、自分の管理下で、そのような不遜な輩が存在していたことは断じて許しがたいことだった。これはクルーガー侯爵家の威信にかけて、徹底的に調査しなければなるまい。


 しかしそのときジェイクは、国家の一大事に似つかわしくない、まったく良からぬ考えを思い付いた。

 マリアはエドに手紙を書いていないだろうか? あの2人は幼なじみとして仲が良かったから、アストリア王国を出た時点で近況を知らせる手紙を書く可能性はかなり高い。その手紙さえ入手できれば……。

 そこまで考えたとき、あの憎らしい男の顔が彼の頭を(よぎ)った。


(ルーファスがマリアのそばにいる限り、そんな迂闊なことはさせないか……)


 しかしジェイクの手駒の1人によると、今朝、エドに母親からの速達が届いたと聞いている。そしてその後、勉強嫌いの彼は人が変わったかように、腰を据えて本日の座学に取り組んだらしい。普通実家からの速達となれば、突然の訃報など何かしら家に問題が起こった場合が多いので、落ち着かなくなったり、休暇届けを出して実家に帰ったりするものだ。そう考えると、エドの行動は不自然な気がした。


「怪しいな……。まぁ、ついでに調べてみるか……」


 ジェイクは小さく呟いて、己の指揮のもと、王立騎士学校の徹底調査を命じた。革命の芽を潰すという大義名分に、ほんの少しの私情をまぜて。

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