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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第4章 ガルディア王国前編
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119 イザークの正体

「ルーファス、そこにいたのか。全然気がつかなかったよ」

「あなたほどの人がそんな訳ないでしょう」

「……冗談で口説くくらい良いだろう? まぁ、9割くらいは本気だが」

「9割本気なら、もう冗談とは言えません」


「イザーク()?」


 ルーファスとイザークはとても親しげであったが、その中でもマリアはイザークの呼称が変わっていることに気がついた。そんな彼女に、彼は初めて真実を伝える。


「マリア、紹介が遅れて申し訳なかった。実は私はこの国の第8王子なんだ。

 もっとも母親が異民族出身で、たった1度情けを受けただけの名ばかりの妾妃だから、その息子である私にも王位なんて絶対にまわってこないけどね。でもおかげさまで気楽にやらせてもらっているよ」


 アストリア王国で社交界デビューもせず、貴族としての地位もそれほど高くなかったマリアにとって、国王や王子は遠い存在でしかない。御前試合等の公開の式典の折に、遥か遠くに国王や王子の姿を拝したことがあるだけだ。


 そもそもマリアの母親はウィスタリア王国の王女であったが、国から追い出されるようにマリアの父親に嫁ぎ、マリアが物心ついたときには既に亡くなっていたから、彼女自身に王家の血を引いているという自覚はほとんどなかった。


 だから彼の予期せぬ告白にマリアは驚きを隠せない。まさか一国の王子様に枕元まで本を持ってこさせていたなんて、畏れ多すぎることだと思った。

 彼女はすぐさま謝罪したが、イザークは困ったように眉をひそめる。


「そんなに畏まらずに、今まで通りに接してほしい。マリアだってウィスタリア王家の血を引いてるじゃないか。かわいい君に壁を作られるとさみしい。

 それにルーファスなんて、言葉だけは丁寧だけど、態度は敬意の欠片もないよ」


 イザークはそばに来たルーファスに、わざと聞こえるように嘆息した。


「王子のくせにフラフラと出歩いて、人の女を口説くからでしょう」

「ほら、敬意の欠片もない」

「……いつの間にそんなに仲良くなったの?」


 マリアは不思議そうに、絵になる2人を眺めた。

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