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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第4章 ガルディア王国前編
111/295

110 君のことが知りたい

「イザークさんは、何者なんですか?」


 マリアの質問にイザークが悪戯っぽく答える。


「マリクとほぼ同じだよ。でも君と違って性別は偽ってないけどね」


 彼の発した言葉はマリアを瞬時に凍りつかせた。ルーファスの予想通り、イザークはマリアが女であることを見抜いていたわけだが、ルーファスから事前に言われていたのにも関わらず、彼女はまったく動揺を抑えることができなかった。


「どうして、わかったんですか……?」


 マリアは助けを求めてルーファスの姿を探すが、あいにく彼の姿はどこにも見当たらない。


「髪は短いけど、仕草や雰囲気ですぐに女性だとわかった。でもそんなに怯えないでほしい。ただ君のことが知りたいだけだよ」

「私のこと……?」


 マリアは戸惑いながらもありのままを話した。静かにマリアの話に耳を傾けていたイザークは、最後に彼女に確認した。


「ひとつ聞きたいんだけど、ルーファスは君の恋人なの?」


 マリアはその質問に、花がほころぶような微笑みを浮かべ、恥ずかしそうに頷いた。その可憐な様子にイザークは目を細め、聞こえないくらいの微かな声で呟く。


「……本当に可愛いな」


 出会ってからまだ数日だが、イザークはマリアに惹かれていた。彼は身分柄、多くの女性と顔を合わせる機会があるが、彼女ほど清楚で美しい令嬢には会ったことがなかった。貴族令嬢だったというマリアには(おご)ったところが一切ないばかりか、何にでも直向(ひたむ)きで、いつもにこにこしていて素直なので、イザークは彼女と一緒にいると癒されていた。


 マリアが落ち着かない気持ちでルーファスを待っていると、ようやく彼がオーランと共に旅人の小屋から戻ってくる。


「ルーファス……やっぱりイザークさんは私が女だと気づいていたの」

「そうか」


 ルーファスはマリアの告白に別段驚きもしなかったが、マリアとイザークの間に流れる微妙な雰囲気の変化を敏感に察知すると、彼はさりげなく彼女を自分のもとに取り戻した。

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