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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第4章 ガルディア王国前編
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104 黒曜石の瞳の男

「奇遇だな。俺もお前は好みじゃない」


 ルーファスも淡々と言い返す。デリシーは先ほどの戦いで、自分の命の危機に、ルーファスが微塵も動揺を見せなかったことを恨んでいるようだった。


「大体、あれくらい自分でなんとかできるだろう」

「そんなの結果論でしょ。マリアちゃんも本当にルーファスでいいの? 考え直すなら今のうちよ。たとえば、この小屋の中にいる男だったら誰がいいの?」


 思わぬ飛び火にマリアは面食らった。ルーファスは静観を決め込んでいる。


「……ルーファス以外は……特に……」

「ふーん、じゃあ……」


 デリシーが小屋内の男性を順番に示していくが、マリアは困ったように曖昧な返事を繰り返すばかりだった。しかし最後の男性だけは、彼女を強く惹き付けるものがあった。


「………」

「あら、好みなの?」


 マリアの反応の違いにデリシーが敏感に気づく。


 その男性は2人連れで、管理人と何やら話をしていた。年齢は20代半ばくらいだろうか。黒髪の長髪を後ろで縛り、腰にはシャムシールという刀身の曲がった刀を下げていた。肌は褐色で黒曜石の瞳をしており、涼しげな顔立ちの中にも、研ぎ澄まされた鋭さのようなものを感じる。

 彼と共にいる壮年の男性も、彼と同じ色彩をしていて、いかにも騎士といった固い空気を纏っていた。


「たしかにいい男だけど、私の好みではないわね。でもマリアちゃんにはお似合いだわ。守ってくれそうな大人の男に大事にされて育つタイプだから」


 デリシーが好き勝手言うのを、マリアは慌てて止めた。ルーファスがいるのに誤解されたくなかった。


「いえ、あの……そういうことではなくて、周りの人たちと明らかに雰囲気が違うなって思って。人目を惹くというか……」

「たしかに雰囲気があるわね」


 女2人でそんな話をしていたら、彼らがこちらに向かってきたので、マリアは驚いてしまった。そして黒曜石の瞳の男性がルーファスに声をかけた。


「こちらに相席してもよろしいですか?」

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