第82話 ルーン姫との別れ
あっさりと
「それじゃあ、あたしたちはもう城に戻るけど」
「俺たちとは完全に別方向だよね」
2、3日たち、俺たちは宿をでた。
ルーン姫のほうは馬車が新しいのが届き、それで城に戻るという。なんでも冒険者をしてはいるものの、一応このアタデルベ国第1王女なので政務が一応あるとか。
今回のダンジョンはその政務の合間に受けたものらしく、早めに戻らないとかなりたまってしまうそうな。
「あたしとしては城から出て自由に冒険者としていきたいけどね。そもそも兄貴とかいるんだしそっちに継がせればいいのだからあたしは必要ないじゃん」
2人兄がいるらしく、その二人が継げばいいのにと思っているようである。第1王女という立場も複雑なような・・・。
「まあ、ここでお別れだけど機会があったらまた模擬戦してくれよなラルっち」
「機会があったらな」
「ミウっちや他のみんなもまた話そうぜ!」
「ええ」
「いいのじゃ」
「またね」
「いろいろ話しましょう」
「ゆっくりと」
そして、俺たちは別の方向へ行き、ルーン姫は王城の方へと馬車で向かっていったのであった・・・・。
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ラルたちと別れた姫様御一行・・・・・。
「それにしてもな・・・・」
「どうされました姫様?」
「いや、ほんとラルっちたちがうらやましいなと」
ラルたちのことを思い出しながらルーン姫は思った。
自分は城にて窮屈な立場だ。王位なんて上の2人の兄に継がせればいいのに、自分も継ぐ候補にあるので周りの貴族たちからの目線が嫌だった。自分と結婚して子供をもうければその子供も王位継承権がある。
それを狙って求婚してくる貴族が嫌だった。自分自身ではなく、その権力を狙う目が。
今周りにいる護衛の騎士たちはそんな目はしていない。しごきまくったのってのはあるが・・・・。
権力を狙うどんよりと濁った目から逃れるために冒険者登録をしてできるだけがさつに動いてみた。こうすることで継承権がなくなって貴族から離れられるのではないかと思ったのもあった。
だが、逆にその強さから余計に目をつけられてしまった。
嫌になって、半ば家出のような感じで今回のダンジョンの依頼をうけた。
そこで出会ったラルたちの生き生きとした顔がうらやましく思えた。
何ものにも縛られず、自由に生きていける様子が。それに、ラルたちの目は貴族たちのような濁った権力欲にまみれた目ではなかった。
それどころか姫という立場なのに友のように接してくれた。それがうれしかった。
「ああして自由になれたらどんなにいいだろうか・・・」
「我々としては姫様の護衛で結構振り回されていますから、まあ姫様が自由になれば我々も楽できそうですけどね・・・」
「お、怠けようとしていない?城帰ったら100人対戦しよう」
「「「「「「げっ!?」」」」」」
その言葉に騎士たちは、できるだけ遅く城に帰りたくなった。だが、ここでわざと遅くすれば余計にきついものが増やされる可能性がある。その板挟みに騎士たちは城につくまで苦しんだのであった・・・。
城に戻ったら・・・。




