第75話 荒ぶる姫
VS
は今回以下略
どうやら、この国の姫のようであった。というか、ガントレットをつけた姫ってなんだよそれ。というか、後ろの方の護衛の皆さんがため息ついているのだが・・・・。
「さあ、あたしが名乗ったのだからあんたたちも名乗りなさい!!」
・・・なんか元気だな。
「・・・あー、俺はラル」
「えっと、私はソティスです」
「わらわはカルミアじゃ」
「私はタマモ」
「私はルミです」
一応ミウは今は黙ったままである。まあ、普通に剣がしゃべったら怪しまれそうだしな。
「ふんふん、なるほどね。にしてもラルっていったかい?」
「ああ、そうだが・・」
「その持っている武器からして結構な力を持っていると見た!あたしと勝負しろ!!」
デジャヴ・・・・?なんかあの獣王と話が合いそうだな。
「いや、一国の姫になんで戦いを」
「あたしが戦ってみたいからさ!」
おいおい。仮にも姫なのに戦闘狂に近い雰囲気なんだが。タマモの時と似ているぞ。
「いけません姫様!!こんな得体のしれぬ者たちと戦うなどと」
「いーじゃん、自己責任でしょ」
ああ、なんか今この護衛の方々が疲れた顔の理由が分かった。そうとうこの姫様に振り回されているんだな。
地面がぬかるんでいるものの、なんか模擬戦することに。今回は武器あり。
「では、審判はこの姫様護衛騎士団団長モノアブ将軍が務めさせてもらいます。勝敗の分け方はどちらかが降参するまで!」
「・・・なんでこうなった」
おい、騎士団団長なら自分たちの護衛対象の姫を止めろよ。姫様の方は動きやすい服に着替えるといい、物陰に隠れて着替えをして、半そで短パンの格好になった。姫様だよね?
「のぅ、モノアブとやら、お主らの姫を戦わせていいのか?」
「ああ、姫様は一度決めたら止まらないんだ・・・もうこうなったらあきらめるしかないのさ・・・」
「く、苦労しておるのぅ・・・」
モノアブに聞いたカルミアは、そのもはや悟ったとような顔をしたモノアブからものすごい苦労をしているのだとわかったのであった。
「ふっふっふっふ、そなたは強そうだな!このあたし、『撲殺姫』のルーンを楽しませる強者であってくれ!!」
「物騒な異名だなおい!!」
どうやら冒険者登録をしているようである。冒険者の中で、特に目立つものは異名持ちとなるそうで、それだけの実力を持っているという証だが・・・こんな姫様がそんな凶悪な異名を持つのかよ。
「ついでにあたしのことは別にルーン姫とでも呼んでいい。様付けはきらいなんだい!」
「そうか・・・じゃあルーン姫、勝負!」
一国の姫に挑んでいいのだろうかと思うのだが、相手から挑んできているしな・・・。だけど、手を抜いたら異名のように撲殺されそうだし・・・この際思い切っていくか。
「勝負開始!」
モノアブ将軍とやらの開始の合図が出された。
「必殺!ロケットガントレットパンチ!!」
「はいっ!?」
いきなりルーン姫の右でのガントレットがロケットパンチのごとく飛んできた。
がきぃぃぃぃぃん!!
慌てて金棒で防ぐ。結構重いな。
「へえ、あたしのこの技をいきなり受けたのに冷静に受け止めるとはやるね!!」
「冷静じゃないんですけど!」
結構焦ったよ!
飛んできたガントレットはそのままバックしてルーン姫の腕に戻った。
「じゃあ、今から本番だ!!」
金棒で腕を弾き、防がれ、避けて、避けられ・・・・。
「おお、姫様とここまでまともにやりあえる人がいるとは・・・・」
「あの子姫様なんですよね?なんかもう無茶苦茶なんですけど」
「身近に似たようなやつがおるじゃろうが」
「ん?」
その場にいたソティス達の目がタマモに向いた。そういえば、一応獣王の娘だから姫にあたるんだったな。
そうこうしているうちに、相手のスタミナの方が切れてきたようだ。息が荒くなり、動きが鈍くなってきている。
鬼神の体のスタミナの方が多いのか・・・。
「ちっ、なかなかやるね!」
「そりゃどーも」
相手が姫だから積極的には攻めにくい。だから守りに徹していたが、ルーン姫は攻撃ばっかりしているのでその分体力が削れてきたようである。
「もう一度!ロケットガント、」
「させないよ!!」
こちらに構えてもう一度ガントレットを飛ばすようだったので、素早くそのガントレットをつかんで投げ飛ばした。
「うわっつ!」
発射直前で投げられたので止める間もなく、そのままガントレットと分離した。
その離れたガントレットを両方とも金棒で地面にたたきつけてめり込ませた。
「これで、この武器は使えないだろ」
このガントレットが一番厄介だったからな。
「武器がなくなってしまったか・・・・その武器も厄介だしな。あたしの負けだ」
こうして勝ったはいいが・・・・ルーン姫すっごい強かったんだけど。本当に姫様かよというぐらい。
姫様なのに、めちゃ強い




