第73話 国境越え
国境越えとかのイメージです。現実はこうはいかないからな・・・・。
「あれが国境管理している関所か」
獣王と別れ数日後、俺たちは今いる『ガント王国』と『アタデルベ国』の国境付近に来ていた。
国境には別に目立った柵はないが点在している関所があり、そこを通過しなければいけないのだ。なお、大規模な結界のようなものが張られているらしく、関所以外からの侵入はできないそうである。これは犯罪者を超えさせないための策でもあるそうな。
関所はなんか昔の日本の関所のようなものではなく、空港なんかにある金属探知するゲートのようなものだった。魔道具の一種の大型なものである。なお、各国の国教にも同様のものが設置されている大量生産品だそうだ。
これ自体にいろいろ登録されていて、情報が各関所にあるものと共有されており、犯罪者を逃さない仕組みになっているそうだ。文明レベルとかは地球の中世ごろぐらいなのにハイテクな感じだな・・・・。
門番とでもいう人が二人ほどいて、犯罪者がいたときに備えて取り押さえられるようになっているようだ。
「国境を渡る際には通行料がいるんだっけな」
「確か・・・商人とかそういうのでなければ一人当たり銀貨1枚ほどじゃ」
なら余裕かな。俺、ソティス、カルミア、タマモ、ミウ、ルミで6枚・・・・あれ?
「そういえば、ミウの場合はどうすればいいんだ?」
剣精霊だから普段は剣の姿だが・・・・・。
「私はこのままただの剣のふりをしますよ。その方が安くなるでしょお兄様?」
「大丈夫かな?」
まあ、できるだけ安い方がいいだろうが・・。
関所を抜けると、案外あっさりだった。
「警備がすごい緩いな・・・・」
「この人数じゃからな。30人ぐらいから厳しくなるようじゃがのう」
そういえば、カルミアはもともとラミアの群れにいたんだっけ。群れで移動していたから知っているんだろうな。
「モンスターとか動物とかは結界とか大丈夫なんですか?」
「いや、従魔などはだめらしい。ただ、高度200メートル以上は結界がなくて、空を飛べるものなら簡単に素通りができるという欠点もある」
さすがに絶対防げるわけじゃないからな。
とにもかくにも、ここからはアタデルベ国だ。この国内も縦横無尽に旅しますかね・・・。
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「何?ガント王国からの連絡?」
アタデルベ国の中央都市アタデルベにある王城で、ここの国王アタデルベ・ダンガ・モンノは臣下から報告を受けた。
「はっ、念のためにこのお国に知らせておくという事です」
ガント王国とアタデルベ国は友好条約を結んでおり、こういった報告などは簡単にやり取りができるのだ。
「何か問題でもあったのか?」
「それが、このアタデルベ国に鬼神が入国したようです」
「鬼神・・・・神の1柱か。確かガント王国での首都での騒動の鎮圧の功労者だったな」
「はっ、それで、ものすごく力がある神のようで、念のためにバカをやらかすような者たちに通達したほうがよいと連絡がありました」
「暴れられて、国家丸ごと崩壊とかされたらまずいからな。鬼神の力は歴史を見る限りとんでもないようだし、いらぬ騒ぎを起こさぬように知らせておけ。あと、何か問題を鬼神と起こしても知らんとも言っておけ」
「はっ、仰せのままに」
臣下が去った後、国王はため息をついた。
「はぁ、鬼神とか神々の連中って面倒ごと起こすからな・・・・。鬼神に対して怒りをかうような真似をするバカな奴はいない・・・・よな?いや、いるか。問題ごとを起こしそうな奴なんて結構いたか。とはいっても、何とか我が国と対立しないようにさせるには一体どうすればよいのだろうか・・・・・」
うーんと、頭を抱えながら、国王は悩むのであった。なお、このストレスにより普段から気にしていた円形禿が広がったという。
アタデルベ国の国王の最近の悩み:ストレス性円形脱毛症
最近、不安が多いそうな。
鬼神という存在によりさらに悪化中。




