第72話 獣王去りて、また歩き
短め
翌日、獣王はすぐにもうどこかへ移動するようであった。
そのため、俺たちとは別の方へ出発することになり、せっかくなので別れをいう事にした。
「ラル殿、今回はこうしてあまり話すことがなかったが、機会があればまた会おう」
「ええ、また機会があればお会いしましょう」
「うむ、ついでにタマモも頼むな」
はっきり言ってこの人、国王なのに自由奔放で明るいな・・・。まあ、こんな王様のような人ばかりだったら世界が平和になるだろうけど、何かしらの問題を起こしそうだな。
「父上、それではお元気で」
「うむ、タマモも元気でな」
タマモとガータナックさんは別れの挨拶をした。親子と言えども、やっぱあっさりしているな。
と、ガータナックさんがタマモにこっそり何か耳打ちした。
(ラル殿へその心が伝わることを願うぞ。孫見たいからな)
(!?)
一瞬でタマモの顔が赤くなった。
「な、なにをいっているんですか!!」
「がっはっはっは、ではさらばだ!!」
タマモが狐火を当てようとしたが、軽くよけてそのまま馬車に飛び乗ってあっという間に向こうへいってしまった。
「余計なことを言わないでほしいのに・・・・」
何を言われたのかはわからないが、女性陣がじとーっと見ていた(ミウは人間状態になり中)。何やら乙女の勘とかで理解したそうな。
「親公認ですか・・・」
「わらわたちの場合より先に進んでいるのぅ」
「お兄さまに近づこうとしますよね」
「負けていられません・・・」
まあ、獣王が去ったので俺たちもまた歩き始めるのであった。あてもないので今度は金棒を倒してその方向へ向かうことに。
「さて、どっちに倒れるかな・・・?」
金棒を地面に立てて、そのまま拳で地面をたたきつけて揺らし、金棒が倒れた。一応獣王が向かった邦楽とはまた別の方角である。
「あっちの方角か・・・」
「あちらだと・・・・あ、国境を越えますね」
現在地点は、今いるガント王国の端のほうで、このまま進むと国境を越えてしまうそうな。
一応、国境付近には関所があるらしく、金さえ渡せば通れるというらしい。地球のEU並みのわたりやすさだな。
「となると、どこの国になるんだ?」
「この国に隣接した国・・・『アタデルベ国』ですね」
言いにくそうな国名だな。印象に残りそうだけど。
「アタデルベ国・・・うむ、亜人などでも大丈夫な国じゃな」
「これが海を越えた『ディスクリミネェション帝国』だったら最悪だった」
その国は徹底的な人種至上主義の国で、神だろうと入国を拒否するようだからな。誰が行くかそんな国。
とりあえず、異世界に来て初めての国境越えをするようであった・・・。
次回は国境超えます。




