SIDE 父娘の会話
父娘の会話
ゼロたちが宿屋に泊まった夜中である。
今日はさすがに他国の王が寝ているので、女の争いは起きずに全員熟睡しているが、タマモは少し眠れず、宿屋の窓に腰かけて月を眺めていた。
「タマモ・・・お前はまだ起きていたのか」
ふと横から声がして、見ると父のガータナックも同じようにして隣の部屋の窓に腰かけていた。
「父上・・・」
「まあ、お前のことを心配していなかったというのはうそだ。超心配しておったわ」
父親としてやはり娘のことが心配であった。だがまあ、堂々と言えるほどではなかった。
「一応お前がこれまで何をしていたのか調べさせたが・・・。一時期奴隷となっていたな」
どうやらすでに過去のことを調べたようである。力だけの脳筋かと思いきや、実は結構優秀な王でもあったのだ。
「何で奴隷になっていたんだ?お前のことだからプライド的にもならなかっただろうに」
「・・・そのあたりは聞かないでください。鬼神様にも内緒にしているほど恥ずかしい理由ですから」
「そうか」
タマモとしては恥ずかしいと思っていた。使えるべき相手を探していた時に、うっかり転んで、そこが坂道でそのまま転がって崖から落ちて、その下にあったのがたまたま超隷属の首輪で、それに偶然はまってしまったとはいえないのであった。自分の恥として、戒めているのである。
「それにしても、ラル殿を仕える主に選ぶとは・・・なかなかいい判断じゃないか」
「まあ、選ぶ前に実力を見せてもらいましたからね・・・」
「でだ、聞きたいことがあるんだが・・・」
いきなり獣王がまじめな顔をしたのでタマモは警戒した。こういう顔をするときの父は何かろくでもないことを言い出すのが分かっているからだ。
「あの鬼神、ラル殿にお前は恋心を抱いているな」
「・・・・・!?」
さすがに父親である獣王には見抜かれていたようであった。というか、ラルに尻尾を巻き付けていた時点で見抜かれている。
「二重の意味で主人を求めたということになるな。可愛い娘よ」
「ちょ、父上・・・」
さすがに親にばれるのは恥ずかしいことであった。
「して、今どうなっている?どのぐらい進んでい、」
「黙ってください父上!!」
しゅぼっつ!!
「あっつぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
ニヤケ顔をしていた獣王の顔面に向かっい、タマモは顔を真っ赤にして激熱にした狐火をその顔に当てたのであった・・・。
タマモとしては、父親は好きだがこういったおせっかいな部分が嫌いでもある。




