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第40話 銀狐の奴隷2

戦闘やっぱ難しいな

いったん小屋から出て、とりあえず屋敷の中にあった練習場で戦うことにした。


 なんでもこの練習場は普段ガロンさんが鍛えるために使用していたらしいが、あのバカは全く使用していなかった模様。


 そういえば、この銀狐の奴隷の名前はタマモとかいうらしい。奴隷は育てられていた場合は名前なしらしく、名前有りは奴隷になるだけの何かをやらかした人であるそうな。


 つまり、ソティスは前者のパターン、このタマモは後者のパターンである。


なお、審判はカルミアである。魔法に1番長けて早く対処できるみたいだからな。


「ではこれより、ラル殿対タマモの試合を行う‼︎ルールは単純に負けを認めたときじゃ!」

「簡単にはいきません。私が使えるにふさわしい方かしっかり全力で勝負いたします」

「こっちもやれるだけやるよ」


とは言ったものの、できれば殴ったり叩いたりせずに無力化させて降参させたい。女性に暴力をふるうのはちょっとね。


「では、開始‼︎」


開始の合図とともに、俺は素早く接近しようとした。


「接近戦に持ち込ませません‼︎」


タマモが怪しく尻尾を動かしたかと思うと、9本の尻尾からそれぞれ青白い炎が灯った。


「それが妖術とやらか‼︎」

「『踊る狐火ダンス・フェンファイヤー』」


ゴウッ‼︎という音がして、一気にその火が俺を取り囲んだ。そして、炎の檻となった。いまだに首には首輪が付いていて制限はされているのだろうが、それでも青い炎の檻は熱かった。


「この狐火は水魔法でも消火できません。かと言って無理矢理突破も」

「どっせい‼︎」


バシーン‼︎


「え?」


・・・金棒を槍の突きのように使ったら簡単に破れたんだが。いや、うまくいくとは思ってなかったよ。ちょっと隙間ができる程度かと思ったら大穴が開いちゃった。


タマモもまさか自分の妖術がこんなあっさり破られるとは思わなかったのかキョトンとした顔になってた。


 とにもかくにも、この隙を逃さず俺は素早くタマモの後ろに回り込んだ。


「っ!?しまった!!」


 タマモが気が付くもそのすきはでかかった。


 素早くその首に手をかけ、首輪を引きちぎる。


「え!?」


 首輪をいきなり取られるとは思わなかったのだろう。首輪を外せば、本来の実力をフルに発揮できる。だが、それはつまりいきなり体に本来の力が出るという事。つまり、その自らの力に一瞬硬直してしまう隙が出る。


 硬直したすきに、首輪を引きちぎった要領で加減して真上に軽く投げ飛ばす。


 そのまま少し宙を舞い、その落下地点に回り込んで・・・


 ぼすっつ


「よっと」

「!?」


 落下地点を予測して受け止め、ちょうどお姫様抱っこのような状態になった。


「ここまで密着すれば妖術を使ったら自分まで被害を受けるだろ?」

「た、確かにそうです・・・まいりました・・・・ですからちょっとこの体制はあの、その、えっと」


ぼしゅん!!


「へ?」


 タマモが顔を真っ赤にして降参したかと思うと、そのまま顔から湯気が爆発し、気絶した。


「勝負ここまで!!ラル殿の勝ち!!」


 一応これで勝ったようだけど・・・なんで顔から湯気が?



「カルミア、今私思ったんだけど」

「ソティスの考えていることと同じようなことをわらわも思っておるぞ」

「「なんか恋敵が増えたような・・・・・」」


 今なんか言った?



 とにもかくにも、タマモに勝ったのであった。しかし早く目が覚めないかな?





思ったよりもタマモは純粋(ピュア)な乙女だったようです。

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