第33話 バカ見参!
テンプレ的なものを目指しております
山の村から出た俺たちがそのまま先に進むと、首都ほどではないもののにぎわっている町に来たのであった。
「なんかにぎわっているなぁ」
にぎやかさに圧倒されていると、ソティスの顔色が悪くなっていた。
「ん?どうしたんだソティス?」
「ここは、この国の中にある奴隷市場の一つです・・・・」
その言葉に俺は思い出した。
「そういやソティスも元奴隷だっけ」
「はい、ラル様が解放してくれたのですが・・・・」
あの盗賊退治の後にソティスを見つけたんだっけ。それで首にはめられていた隷属の首輪を外して今俺についてきているんだっけな。
「まあ、今は奴隷じゃないんだし、あんまり気にすんな」
「そうはいっても矢はいなんかこう心に来るものが・・・」
ソティスは今でこそ明るいが、初めて会った時には暗かった。今その感じがした。
「わらわとしては、さっさとここを去ったほうがいいの「おおう、なんという美しい女性たちだ!!」・・あ」
いきなり聞こえたかと思うと、声のした方角から全身に宝石の類を身に着け、醜く肥え太り、奴隷と思わしき人たちと、護衛の騎士と思われる人たちに囲まれた醜いおっさんが現れた。
「ふむ、ラミアにダークエルフか。そこの下民、その女たちの連れか?金は払うからその女たちを僕ちんにくれんかね」
おおかたバカな貴族といったところか?一瞬オークかと思えたぞ。
「そんなことするかバカ」
「なっ!?」
なんかむかついたのではっきり言ってやった。
「僕ちんに逆らう気か!!ここの奴隷市場の領主の貴族次期当主のボンデアル・カバン・ホア様に逆らうのか!!」
周りの通行人を見ると「またか」という顔をしている。問題児なのか?
ま、むかついたし徹底的に。
「ああ、だいたいあんたはたった今次期当主といっただろ?つまりまだ当主ではない。それに、奴隷でもないこの二人に対してそんなことを言うようなやつははっきりいってきにくわないな」
「なななななななんだとぉぉぉぉう!!」
おう、ものすごく怒っているよ。頭から湯気が出てるな。
「護衛ども!その女たちを捕まえてついでにその男を殺せ!!」
「はっ!了解いたしましたホア様!!」
護衛の騎士たちはまず俺に向けて切りかかってきた。
「ソティス、カルミアは下がっていろ」
「ばかが!!このホア様親衛隊の私たちに一人で勝てるとでも」
「えいっ☆」
話しているすきに、俺は金棒を思いっきり切りかかってきた騎士たちに振りかざした。
「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁっつ!?」」」」」
面白いほどまとめて金棒の餌食になったよ。一応手加減とその騎士たちの鎧によって体がぶちぎれるようなことにはならなかったが、鎧が一撃で粉々になったな。加減むずかしいな。
「な!僕ちんの自慢の護衛たちが!!」
「あまりにも弱すぎないか?」
「く、まだいけ護衛たち!!」
さらにまだ背後にいた護衛たちが全員で俺に襲い掛かってきた。今ので力の差が分からなかったのだろうか?
「あるじがバカならその護衛もか」
「これだけの人数相手にさすがに」
「金棒投げ!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぬぅわにぃぃぃぃぃぃ!?」
金棒を今度は投げた。そしたらボウリングのピンみたいに吹き飛びまくったな。
そのあと素早く金棒を回収し、残っていた護衛たちを。
「えいや」
「ぎゃっつ!」
「ほいや」
「ぐげっつ!」
一人一人丁寧に地面に頭から突き刺してやりました。
「な・・・・そんなばかな・・・・」
「で、次はどうするんだ?」
「くっ、覚えていろよー!!」
どう考えても三下の悪役のセリフを吐いてバカな次期当主はその場を慌てて逃げた。そういった判断は速いのか。
ぱちぱちぱちぱち
「ん?」
いつの間にか周りから拍手されていた。
「すかっとしたぜ!!」
「ここんとこあいつに俺らも困っていたんだ!!」
「奴隷市場も勝手に奴隷を狩ってゆくから困っていたのよ!!」
どうやらあの男、相当嫌われているようであった。
まあ、これだけで終わる気がしないな。また来るだろうし、今度来たらどうしてやろかうかな・・・。
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その町の中心にある領主宅にて
「バカ者!!ことをまたやらかしたのかバカ息子が!!」
現在当主、ボンデアル・カバン・ガロンは息子を叱っていた。
彼自身はいたって普通の貴族だが、息子とは違い鍛えられた体つきで、ここの領主である。だが、彼の息子であるホアはそんな彼に似ず、愚かな醜く肥え太ったバカ息子として知られていた。
「まったく、なんどいったら奴隷でもない女性を買うなと言っているんだこのバカ息子が」
「だってあまりにも美しくて物にしたかったんですもん父上!!」
「そんな理由でそんな騒ぎをおこすな!!しかも、護衛全員がやられてしまったという話ではないか!!」
彼自身、息子に対して怒ってはいた。だが、その騒動に対してだけではないのだ。
「で、ですが、そいつがまさかそんなに強いなんて」
「一応聞いておくが、そいつは変わった武器と、ラミアとダークエルフの女を連れていなかったか?」
「は、はい!!その通りです!!」
「こぉんのバカ息子が!!それは確実に「鬼神」だ!!そんなのに喧嘩売るような真似をしたのかお前は!!」
「き、鬼神!?」
実は、首都での騒動以降国王から全貴族たちにラルのことが知らされたのである。とんでもない力を持ち、国をも滅ぼせる鬼神だと。
そして、何かやらかしたら下手すると皆殺しにされるとまで付け足しされていた。まあ、そこまでラルはやるつもりはないが、その情報は貴族たちを震え上がらせた。
「鬼神に、それもその仲間に手を出そうとするとは!!もしかしたらお前は有無を言わさずに殺されていたのかもしれんぞ!!」
「で、ですが」
「ですがもない!!お前はしばらく反省するまで謹慎だ!!」
バカ息子をしかりつけ、部屋にこもらせた後ガロンは次の行動に移した。
「鬼神たちが今どこにいるか調べろ!!今はまだいいかもしれんが早めに謝っとかないと、ここが滅ぼされる!!」
その言葉を聞き、部下たちは慌てて鬼神の居所を探すのであった。
バカ息子・・・このままおとなしくしているかな?




