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第32話 山の神のお礼

 やっとサイクロプスを埋め終えたころで、だんだん空が明るくなってきた。


「もう朝かよ・・・」

「ちょっと寝不足ですよね」

「サイクロプスがでかいのが悪いんじゃ」



サイクロプスの死骸を埋める穴を掘るのにすこしてまどったのである。


なんせ、こんなモンスターが村近くにいたなんて思わせたくないから深く掘って隠そうとしたのだが、地面を掘るための道具がなかったのである。


仕方がないから金棒でなんとか掘ったのだが、これがまた時間がかかり、カルミア、ソティスの魔法でなんとか補助したものの時間がかかったのであった。


埋めるのは土をかけるだけだったからまだ楽だったがな。


「あれ、そういえば山の神は?」


いつのまにか、山の神の姿が見えなくなっていた。


『わいならまだいるで』


山の神の声はするが、全体から聞こえて姿が見えない。


「どこにいるんだ?」

『山全体さ』

「山全体?」


どういうこっちゃ?


『まあ、力が強い鬼神のお前さんは別に関係ないんやけどさ、わいら下級神が姿を実体化できるのは夜の間だけなんや』


どうやらこの世界、神は一応人々の前に実体化してその姿を見せることができるらしいが、その神の力の強さによって時間が限られるようである。


「つまり、ラル殿は力の強い鬼神だからずっとこうやって実体化しているが、山の神の場合は力が弱くて夜だけにしか姿を現せられないということかのぅ?」

「夜だけですか・・・ラル様は力があって良かったですよ。昼間見えないことになるんですもん」


神々を見かけない理由はそこにあったのか。


『ま、今回のサイクロプスを倒してくれたことは感謝しているで。その礼として、他の山の神間の間にあんたらのことを知らせるから、これから山を訪れる際にはあんたらのためにその時だけ山全体に様々な食べられる果実をならすようにしとくな』

「つまり、いつでも山にいけば果物食べ放題と」

『そういうことや』


悪くはないな。旅の途中で食料に困ったら山にいけばいつでも食料が確保できることになる。


「そのお礼はありがたい」

『わいの方がありがたいわ。鬼神のような神に会えた、いや、お前さんのような神に会えたことに感謝やわ。もしまたこの山に来れたらわいから歓迎するで!』

「ああ、また来たらな。覚えておくよ」

『ほな、さいならなー・・・』


そうして、山の神の声は消えていったのであった。

旅はまだまだ続く。次回は山超えたあたりかな?

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