第26話 旅再開の前に・・・挨拶回り
祝賀会代金:金貨300枚
「一人100枚で割れてよかったな」
「まあ、俺っちは酒ばっかだったしな」
「その酒が一番高いのよ・・・」
祝賀会を上げた翌日、俺たちは旅の再開の前に賞金を使って旅に必要なものの買い出しに出かけた。
「えっと、これとこれをください」
「あいよ、どうか20枚ね」
「はい」
一応金貨で受け取ってはいるが、銀行にあたる店があったので細かくした。魔道具のおかげで身軽になれたしね。
「ラル様、このぐらいでいいんじゃないでしょうか?」
「ラル殿、この燻製肉も買った方がよいと思うが」
「いや、このぐらいでいいだろう。足りなくなったら途中で狩ればいいさ」
食料もできるだけ保存がきくものにした。「無限のポーチ」はその名のとおり、某青い猫の持っているポケットのようになってはいるが、どうやら内部の時間はゆっくりしたものになっているらしく、完全には時間停止していないようである。一応盗難なんかの予防として、「盗もう」などの意思がある者が触れた場合には何やらえぐいことが起きるように魔法が付与されているのだとか。
「というわけで、俺たちは明日ここを立ちますんで挨拶しに来ました」
「早いな。もう少しゆっくりしていけばいいんじゃないか?」
今、俺たちはガイモンキさんが開いている鍛冶屋を訪れていた。
「ま、何もあてのない旅だからね。鬼神の力があっても、何をしたいかはわからないし世界を見て回りたいんだよね」
「なるほど。ま、ろくでもないことに力を使うよりはいいな」
「それにしてもここ少し熱いですね」
ソティスが暑そうに手を仰ぐ。
「わらわとしてはなんか体調がよくなっていいぐらいじゃが」
カルミアの下半身が蛇だからか?ラミアって変温動物だっけ?
「そういやラル、お前さんの金棒ちょっと見せてくれ」
「ん?はい」
金棒を手渡した。というか、結構重量があるらしいのに、普通に受け取ったな。
「ふむ、こりゃ相当乱暴に使ってねぇか?傷がところどころに少しついていやがるぞ」
「まあ、あの呪いの巨人だけじゃなくて、地面をたたき割ったり、ゴブリンを砕いたりしてましたからね・・・」
「一応、劣化はしていないようだがこのままの状態にしておくとそのうち使い物にならなくなるぞ」
「それは困る!!」
「一応鍛えておいとくか?剣とかの形状ではないが、これでも鍛えられるぞ」
「あー、じゃあお願いいたします。料金は・・」
「いらんな。ま、あの呪いの巨人を倒した仲だ。今回は特別サービスでタダにしておくぜ」
「ありがとうございます!」
「明日の朝までには終わっているから、ここを出ていく前に受け取りに来いよ!」
次はマッスールさんのところにである。
「ここか、『ムキムキ筋力アップ☆頑張りましょうよトレーニングハウス』だな」
「名前からしてそのままのような感じですね・・・」
「わらわたちには必要ないけどな」
中に入ってみると、予想した通り鍛えている人たちが大勢いた。ジムみたいなもんか?とりあえず、どこら辺にいるか近くのダンベルを持っている人に聞いてみることにした。
「すいませーん、マッスールさんはいませんか?」
「マッスールさんかい?彼、もとい彼女ならいまあそこに」
『ほあたたたたたたたた!!』
「ね、わかるでしょ」
「はい」
すっごいわかりやすかったな。サンドバッグのようなものがいくつも宙に舞ったもんな。
「そう、ラルちゃんは明日ここを出ていくのね」
「はい、その挨拶回りできました」
「そうだわ!ついでだし、ラルちゃんとその後ろの方にいる仲間の方々で一緒に少し鍛えていかないかしら?」
「「「結構です」」」
なんか息ぴったりだったな。まあ、鍛える意味が今のところないしな。
「あらざんねん」
こうして俺たちは挨拶回りを済ませるのであった・・・・。
金棒を鍛えて次の日に出発だい!!




