第17話 首都に到着
そういや、やっとこのいまいるあたりの名前が出てきます。
村から出発し、しばらく歩いて数日がたった。
「カルミア、火を頼む」
「了解なのじゃ」
カルミアの魔法により簡単に火が付き、それでついさっき狩ってきたばかりの動物の肉を焼いた。
「ん~、焼いただけでも結構おいしいな」
「このもちもちした肉と、カリカリした肉がおいしいですね」
「よく焼けたのお」
カルミアが加わったことにより、こうして火を起こすのが楽になった。彼女は結構多種多様に魔法が使えたのだ。
そのおかげで飲料水と火に関してはずいぶん旅生活が向上した。
ちなみに、俺は魔法が使えないし、ソティスは魔法が使えるがそこまで器用ではない。そのためカルミアが加わったことに改めて感謝するのであった。
「そういや、このまま進むとどこにつくんだ?」
今俺たちは適当に進んでいる。まあ、あてのない旅だしな。各地を見て回るのが一番面白いし。
「そうですね・・・進行方向から考えると、おそらくですけどこの国の首都につくのではないでしょうか」
「ふーん、その割にはあんまり人を見かけなかったような気がするんだけどな」
「ラル殿、この国の人口の大半は首都に集中しておるのじゃ。そのため首都近くまで行かないと人をあんまり見かけないのじゃよ」
「そういうもんか」
今俺たちが旅しているエリアはどうやら「ガント王国」という国らしい。
人口の大半が首都に集中していて、そのため首都以外の地域の人口がほとんどいないのだという。
つまり、人口が集中している過密地域なんだな。
「そういえばさ、首都って何かあるかな?」
「そうじゃのう・・・ラミアの群れで一度行ったことはあるが、まあ、わらわはぼっちだったしの・・・」
なんかカルミアが落ち込んだ。なんか悲しくなってくるんだが。
「私は奴隷でしたのであまり知らないんですよね・・・」
ソティスまで落ち込んだよ。
この二人、最近結構明るくなったと思ったが、こうして思い出すとまだ落ち込むんだな。
「ま、ついてからのお楽しみでいいじゃないか」
「そうじゃの」
「そうですね」
復活早いなお前ら。
そのやり取りからさらに数日後。
「あれが首都の周りを囲む城壁か」
「でっかいですねー」
折れたたちはついに首都近くに来ていた。あ、一応旅の資金はまだ大丈夫なんだよな。あのライナたちからもらった資金はまだ少し余裕がありそうである。
首都に入るためには検問を通らなければいけないようで、かなりの人数が並んでいた。
「よし、次の者来い」
俺たちの番になって、検問兵に呼ばれた。
「おまえたちか。身分証明書があるならそれを、ないなら銀貨それぞれ1枚だ」
「はい」
「とおってよし」
以外に結構警備緩いな。まあ、楽に通れたのはいいんだけどさ。
首都に入ってみると、これまでの旅路が嘘のようにかなりにぎわっていた。
「うわ、人が多いな」
「なんかすごいですね」
「わらわとしてはさっさと宿に引きこもりたくなってきた・・」
あまり人ごみになれていないもんな。
とりあえず、まずは泊まる宿を探すことにした。
「なかなかいい宿が多いな」
「けど」
「料金が高いのお」
宿屋はさすが人口が多い首都というべきかかなり多くあったが、その分かなり料金が高かった。
下手したら旅資金が吹き飛ぶな。
「いったんどこかで働いて資金を稼ぐ必要性があるな」
「そうですね。金は無限じゃないですもんね」
「しかしどこで稼ぐか・・・」
うーん、結構難しいな。一応全員は読み書きが普通にできるため契約書なんかはしっかり読める。俺の場合は転生の際にどうやらその知識はあったようで、ソティスは奴隷の中でも高級奴隷として教育されたようで、カルミアは昔こっそり独学で学んだらしい。
「おや、そこのお前さん方。何かお悩みかね?」
「ん?」
なんか呼びかけられたな。見ると、そこにいたのは怪しい黒いフードを被った老婆のような人だった。なんかこっちのほうがカルミアの時よりも魔法使いっぽく見えるな。
「金を稼ぐならほれ、これにでも出てみるのはどうかね」
なんか紙が手渡された。
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「第12回王国力自慢大会開催」
力に自信のある方は出てみよう!賞金はなんと10000枚の金貨だ!さらに副賞として魔道具「無限のポーチ」が手に入る!!
ただし楽に手に入ると思っちゃいけない。他にも大勢出るからな!!
申し込み締め切り日時は・・・・
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「今日の夕方までさ。お前さん方も参加してみてみたいなら急いだほうがいいよ」
「なるほど、なかなかよさそうなものだな」
この魔道具「無限のポーチ」もほしいな。そしたら今よりも多く物が運べそうだ。
「ラル様、出場しますんですか?」
「ま、せっかくだしね。それにこの副賞もほしいな」
「ふぇっふぇっふぇっ、出てみて損はないじゃろう?」
「しかし、見ず知らずのわらわたちにこんな情報をくれるとはいったいどういう事かの?」
「実は息子がこれに出たがっていたんだよ。だけど生憎数日前にちょっと腰を痛めてね。それでまあ、ここに行って参加取り消しの手続きをしたばかりで通りがかったところに、お前さん方を見かけたのさ。なんか金銭に困ったような感じしてるし、それにその男はどうも力が強そうだったしね。なんか参加を進めてみたくなったのさ」
「なるほど。教えてくださりありがとうございました」
「なあに、わたしゃ単にお前さん方にこれを進めただけさ。出場したら頑張っていきなさい」
優しい老婆はそのまま人ごみの中に消えていったのであった。
「なんかいいおばあさんでしたね」
「ああ、いいばあさんだった」
「それより早く受付しに行った方がよいのではないか?」
とりあえず、参加申し込みをするために受付へと向かったのであった。
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「ふぇっふぇっふぇっ・・・・はぁ、ばれずに済みましたね」
先ほど、ラルたちに教えた老婆は路地裏に来ると、そこで姿を戻した。
そう、彼女は実はラルをこの世界に転生させた女神本神だったのだ。
「これでラルさんはこの大会に出るはず。これでもっと強くなってくれれば、あの上司の神々をぶっ飛ばせるようになるはずですね。旅ばかりでなんか面白くないですもんね。こっそりほかの神々と戦わせてみようかしら・・・・」
何やら企んでいる様子であった。ちなみに、老婆の姿は彼女が初めて地上に降りた際に優しくしてくれた人をモデルにしていたようである。
さて大会はどうなるかな。