第112話 アタデルベ表彰式3
キャラっていったん見直したほうがいいのかねぇ。
国王の妻は武闘家らしく、今なお世界を回って武者修行をしているのだとか。この親にしてこの子ありってか・・・。
「あのガントレットも妻が渡したものでな、ある時娘が友達を守れるぐらい強くなりたいとかいった時に、キラキラ顔を輝かして渡したものだ」
「どんな人だったんですかその人・・・」
聞く限り体育会系・熱血系な雰囲気があるのだが。というか、この剥げた国王とどうやって結ばれたのかという話の方が気になる。
「とにもかくにも、妻の話はどうでもいいとしてだ」
「あなたの奥さんの話ですよね?」
「どうだ?我が娘を鬼神殿に差し出したいのだが・・・?」
「・・・・へ?」
いや、何をどうしてそうなる。
「なんでそんな話になるんですか?話がいきなりすぎるんですが」
「鬼神殿は強すぎる。それはあっているのだよな?」
「そうだけど」
「強すぎるなら娘をそこに入れておけば安全ではないかと思ってな」
「いやどういう事ですか?」
本当にどういう思考回路が働いてそうなるよ?
「鬼神殿に娘を出しておけば我が国に鬼神殿が攻め入る可能性は低くなる。そして、王族というのはほかの貴族たちから暗殺される可能性がある」
聞けば、王族を皆殺しにしてそのどさくさに紛れて国を乗っ取ろうとする輩はこの世界には多いらしい。
「暗殺者がきても、鬼神殿のそばにおいておけば安全性はぐっと高い。それに、娘は少々無鉄砲なところがあってな、危険な目に自ら行こうとしたりする。そこを鬼神殿に抑えてもらえぬかと」
「・・・ぐうの音も出ねぇ」
こ、こちらの反撃する手段がない。さすが国王をやっているだけあって舌戦が強い。・・・自分が反対する意味があるのかと言いたくなったが。いや、基本俺は来るもの拒まずだよ。だけどなんか人質をもらっているような感じでなんかこう・・・いや、人質取っているのはこっちみたいになるのか?
「・・・そもそもルーン姫自身の意思はどうなのですか?」
「あたしは別にいいんだが」
「と娘が言っているが・・・・ん?」
「へえ、なんか意外・・・・へ?」
俺と国王が同時に声がした方向を見ると、ルーン姫本人がいた。
まさかの本人登場ですか。
背後にいつの間にかいるって結構怖い。
よく考えたらさ、現時点ですでに一応、1国の姫を一人連れているよね。




