第11話 旅路に出発
短め
ソティスが俺の旅の仲間になるようだったが、とりあえず今日はいったん屋敷に戻ることにした。
鬼神の力のおかげで盗賊たちの財宝を全部楽にまとめて運べたしね。
「鬼神とはここまですごいのか・・・・」
「さすがラル様です!」
それぞれ反応は違いつつも、屋敷に戻り次の日になった。
今日、俺はこの屋敷から出て旅立つことになる。
「では、ラル様はもう旅立ってしまうのだな」
「そうですよ。いつまでもここにずっといることはできないですしね」
「できればこの地に残ってもらいたいものだがな。その力を領民たちに使ってほしいものだ」
「まあ、旅人ですから」
「そうですよ!!早く行きましょうよラル様!!」
ソティスはすでに行く気満々だった。元気だなぁ・・・。
「そうだ、今回は父上が不在だったが、また会う機会に備えて話しておく。もしあってもトラブルにはならぬようにな」
「お気遣いありがとうございました」
「では、よい旅路を祈る!!」
そうして、俺たちはこの屋敷をあとにして、あてのない旅路に出るのであった・・・・。まあ、またここによる機会があれば寄ろうか。
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ラルたちが見えなくなるまで、ライナたちは見送り、その姿が見えなくなったので屋敷に戻った。
「行ってしまわれたか・・・・」
「お嬢さま、本当によかったのでしょうか?」
残念そうにつぶやくライナにアンベルトは尋ねた。
「ん?何がですの?」
「お嬢さまはもしかしてあの鬼神・・・ラル殿に惚れてしまわれていたのでは?」
「・・・わかっておったのか」
「わかりやすいですもんね」
ケラケラと笑うアンベルト。彼(彼女?)は棋士として長く彼女に仕えていたためその感情に気が付いていたのだ。
「まあ、確かに私はラル様に惚れていた。だが、彼は旅人。1か所にとどまらず、自由奔放に行ける。だが、私はそうもいかない。この家があるからな」
「ですが、まだ割り切れないんですよね」
「え?」
「必死に隠していたようですが、目から涙があふれてきていますよ」
アンベルトは優しい声でそう言った。ライナが自分の目じりに指を置くと、確かに涙が伝っていた。
「泣いたっていいんですよ。お嬢さまは今はただの恋した女の子だったんでしたから」
「あ、アンベルト~!」
その言葉に、涙がついにあふれ出した。アンベルトはそんなライナ、しばしその涙が止むまで優しく抱えてあげるのであった・・・・。
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「ところでソティス」
「なんでしょうかラル様?」
「次はどっちの方へ向かうのがいいだろうか?」
「んー、私はその金棒を倒したほうへ行くのがいいと思うんですよね。なんかご利益ありそうですし」
「なんでご利益?」
「だって、ラル様は鬼神ですから神のようなものですしね」
そんな理由か。間違ってはいないがな。
というわけで、俺たちは金棒を倒してその方向へと進むのであった。
そういえば、今後の飯どうしよう・・・・。やっぱ少し財宝もらっておけばよかったかな?
さてさて、どうなることやら。