第103話 アタデルベ城内1
長め
どがぁぁぁぁぁあん!!
「な、なんだ!?」
「何か爆発したかのようなかんじです!?」
国王モンノと、その補佐ガンドリルはその爆発音に驚いた。
昼前の城の中で今日の政務のためにいろいろな書類を整理していた時だったのだ。
「ガンドリル!直ちに原因を調べ、」
「その必要はないですよ国王陛下」
ガンドリルに命令をしようとした時、いきなりその声が聞こえた。
その声のした方を振り向くと、そこには何やら数体の人ぐらいの大きさの黒い人形のようなものを引き連れた、カールひげの頑強そうな体つきで、アフロの男がその場にいた。
「おまえは・・・防衛大臣バンボーノ!その後ろにあるのはいったいなんだ!?」
「ぬっふっふっふっふ。これはですね、最近うちの軍の研究所で開発された最新型魔導兵器『ドドドムーDOM』、通称『D』ですよ」
「魔導兵器だと・・・そのような兵器の開発はしないようにしてきたはずだ!!」
モンノ国王はそう叫んだ。
魔導兵器は普通の投石器などの様なものとは違い、けた外れの力を持つ兵器なのだ。うかつに使えば世界を滅ぼしかねないという懸念から各国では絶対に開発しないように禁止されているのだ。古代魔導兵器ならば別にいいのだが。
「ぬっふっふっふっふ、甘いですね国王陛下。このような兵器はつかってこそ価値があるものですよ。これらを使い、一気に世界征服して世界の王になることだって夢ではありませんよ」
「ならん!世界に混乱をもたらすようなその兵器を使用してはいけないのだ!!」
「・・・・平和主義なのはいいですけどね、今の状況が分かっているのかな?もはやこの城はこの僕の忠実な下僕ともいえるDによって制圧済み。さらに、第1王子、第2王子も先ほど殺害完了しました」
「なにつ!?」
先ほどの爆発音、あれと同時に王子二人が殺されたようである。
「このDにはありとあらゆる攻撃が通用しません。よって、一番手ごわいと思われる第1王女にも手立てはないでしょう。まもなく殺せるはずですよ」
第1王女が現在この城にいないことはわかっていたので、3体で十分だろうとDを送っていたのだ。
「くっ・・・・貴様このようなことをして一体何をするつもりだ!!」
「ぬっふっふっふっふ、僕が世界の王になってみたいからですよ。このような兵器を手に入れたら当然そう思うでしょ?でも、国王陛下が邪魔だからね。王家ごとつぶしてこいつらを使って新たにこの国の王になり、さらに世界をも手に入れる予定なんだよ」
「そんなくだらんことのために息子や娘たちを手にかけようとは・・・・」
「くだらない?僕から言わせてみれば何もしない方がくだらないと思うんですけどね」
徐々に数体のDが迫ってくる。後方にも回り込まれており、もはや逃げられない状況だった。
「さて、ただで殺すのも面白くないし、ついでだからその毛全部むしり取ってころ、」
どかぁぁぁぁん!!
「!?」
「なんだ!?」
いきなり天井から何かが飛び込んできた。人のようだが、そのまま何事もなかったように普通に着地した。天井が崩れた衝撃であたり一面に誇りが舞って見にくい。
「・・・・足にちょっときたな。ミウにもう少し低く飛んでもらえばよかった」
「何者だ!?」
いきなりの乱入者に対し、いち早くバンボーノは叫んだ。
「・・・えーと、国王様いますか?」
バンボーノを無視してその人影は周りを見渡すようにきょろきょろした。
「無視するな!Dどもあの乱入者を殺せ!!」
『生体反応確認・・・あの人物をコロシ、」
「ああ、まずはこのがらくたを片付けないと危ないな」
そういったかと思うと、あっという間にその場にあったDの大群を一瞬で木っ端みじんにしていった。
あまりにも早くて、その場にいた全員が状況を理解できなかった。
「な・・・ばかな、Dにはありとあらゆる攻撃が通用しないはず・・・」
「どうでもいいけど、この国の国王様ってどこだ?その娘に頼まれてその安全確保に来たんだが・・・」
「な、娘にかね!」
どうやら娘に頼まれてきた人物らしい。
煙がはれ、その人物の姿がはっきりした。人間の青年のように見えるが、あのDとかいうのをあっという間に葬り去った力を見ると常人でないことがうかがえる。
「な!?国王陛下の娘ということは第1王女からか!?」
「そうだが」
「ばかな!?Dを3体も差し向けて」
「今見たように俺がぶっ壊したけど」
物凄く軽い口調でさも当然というように青年が言う。
バンボーノには信じられなかった。
最強と信じて疑わなかった多額の費用と長い年月をかけて生み出したDが、たった一人の青年の手によってあっという間に壊されたことに信じられなかった。
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時間を数分前にもどす・・・・・。
ギルドにて、木っ端みじんにした黒い物体をラルたちは見ていた。
「いったい何だったんだこの黒い物体は?」
ド〇のようだったが・・・・デザインが類似しているだけだろうな。
「あたしのガントレットがはじかれたところを見ると・・・この材質に3大金属のどれかが使われているのか?」
ルーン姫が木っ端みじんになっていた一部を拾い上げて細目で見る。
この世界には最強硬度を誇る3大金属があるらしい。
永遠を思わせるような金色の金属「オリハルコン」
銅よりも赤い、もしくは黒色の金属「アダマンダイト」
太陽のように輝くという金属「ヒヒイロカネ」
これらを3大金属という。なお、ミスリルとかいうのもあるが、あれは金属なのかという議論があるそうな。
「そんなものは貴重だし・・・・なにかしらの合金じゃとおもうのじゃ」
カルミアがそれではないと否定する。3大金属はその希少性も併せて言われるのだ。
とにもかくにも、ギルドでこんなへんてこながらくたが暴れたのは大変な事態らしい。そのためギルドマスターがこの場に来ることになったのだが、腹を下しているらしく、少し待てという事のようである。
「そういや、こいつらルーン姫を狙っていたよな」
ふと、そうこの残骸になる前のこいつらから聞こえたことを思い出した。
「・・・まさか、あたしだけじゃなくてお父さ、国王も狙っているんじゃ!?」
ルーン姫がそういった。この国の国王を狙っている可能性・・・あるな。
「急いで向かった方がいいかもしれん。この様子じゃと国王のところにもいっている可能性があるのじゃ」
「とはいっても、あたしのガントレットが効かなかったし・・・ラルっち、国王を助けて!」
ルーン姫に手を握られて頼まれる。現状こいつらに対抗できそうなのは俺だけみたいだしな・・・。
頼まれて断るわけにはいかない。そのため、俺はミウを使って空を一直線に飛び、城のてっぺんから飛び降りて乗り込んだのであった・・・・・
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そして、現在に戻る。
案の定国王が危機一髪の状況だったので、速攻で同じド〇のようなやつらを倒しました。まだ力を解放したままなので結構楽にできたな。
話的に、どうやらDと呼ばれる兵器らしい。
「Dをすべて倒すとは・・・おまえはいったい何者なんだ!!」
アフロ男が叫ぶ。コイツが今回の黒幕だな・・・。
「俺か?国王の娘に頼まれて助けに来た旅の鬼神だよ!」
叫んでみたかった。




