第98話 中央都市アタデルベ
この国最大の都市。
「おー、さすがこの国一番の中央都市だな」
町から出て5日、俺たちはこのアタデルベ国の中央都市アタデルベンに来ていた。
この国最大の都市らしく、人口もこの国で一番多いらしい。
行きかう人々も多く、大都会のような感じだった。
「向こうに見えるのが、王城アタデルベみたいですね」
「アタデルベと何度も繰り返すのがしつこいのぅ」
「この国は、アタデルベという人が建国した国で、その人のことを忘れないようにするためにこんなにしつこくしたようですね」
「山に住んでいた時にも、同族にこの国はいろいろとしつこいと聞きましたからね・・」
それぞれ思い思いの感想を述べる。ちなみに、ミウは現在黙り中。剣が往来でしゃべるのは変だからね。剣精霊とかの存在もあることにはあるが、まあ、あまり目立ちたくないということで。
とりあえずいろいろ見て回ることにした。ルーン姫は多分もうすでにまた城から出て冒険者としての依頼をこなしていそうだしな。会いに来たわけでもないし、会えたらそれはそれでと思う。
ほかの町や村、都市に比べてかなり大勢いるようである。ただ、首輪が付いている奴隷と思わしき人もちらほら見られた。
この世界では別に奴隷制は普通にあるそうだが、地球の日本育ちの俺とミウにとっては嫌なものである。また、元奴隷だったソティスとタマモにとっても嫌なようである。
それを除けばそれなりにいいところでもあった。
「これおいしいですよね」
「確かにうまいな」
「『くれぃぷ』とかいうらしいしのぅ」
地球からの転生者は意外にもこういったところにその跡を残しているようだった。材料などで似たようなものを探し、それらをもとに試行錯誤して作り上げる・・・・・素晴らしいな。
まあミウが女神に聞いた話では、転生者の大半は地球での記憶はないらしい。というか、何やらシンパシーを感じたらしく、転生前に少ししゃべっていたそうな。
まあ、前世の記憶があってもそこまで使えるものがなかったら意味ないしな。それに、自動車とかがない理由は・・・・例えるなら自分一人でマッチが作れるかというようなものらしい。
要は、その実物は知っていても、その構造、動力源、細かい部品などが分からなかったらできないということだ。そのようなものができるには、この世界の技術の発展を目指すしかない。
魔道具で似たようなものがあるからあまり発展しないのだろうけどね。
にしても、本当に人が多いよな・・・・・。というか、今気が付いたけどソティス達を見る目が多いな。
「おい、見ろよあの集団。美女ばかりだ」
「ラミアが混じっているが、そいつもかなりきれいだな」
「胸が大きいのがいるし」
「9本の尻尾を持つ獣人ってあまりいないよな・・・」
「あの肌の白さ・・・いい!」
そういえば、ソティス達って結構美人でスタイルがいいんだった。一緒に旅していたからあまりそういったところ意識していなかったよ。
それに、ここ結構人が多いから目立つんだな・・。誰だ、木を隠すには森の中、人を隠すのは人混みの中とか言ったやつは。全然隠れていなかったじゃん。
「おいおい、そこのにーちゃん」
「その女たち侍らせているなら俺たちにも分けてくれよ」
「たっぷりいろいろと可愛がってやるからよぉ」
しかも、人が多い分ろくでもないようなやつも多かったようである。何やら10人ほどの変な集団に絡まれたんだけど。見た目が全員髪形がモヒカンで、特攻服と書かれた服を着て、派手に銀色のチェーンを体に巻き、明らかにものすごくガラの悪い集団である。
・・・バイクがないのが惜しいな。あったら完全にコテコテの暴走族だったのに。
ソティス達は明らかに不快そうな顔をした。まあ、こんな集団嫌だよな。
周りにいた人たちも離れた。どうやら飛んでもなにくずの集団みたいである。
「悪いが、全員旅仲間でな。他をあたってもらおうか」
「んぅぅぅぅぅぅ?俺たちがどこの誰だか知らないってか?」
その言い方止めないか?なんか変顔になっているからものすごい吹き出したいんですけど。
「ここ最近勢力拡大中!」
「野郎どもで構成されて!」
「暴力という名の力を借りる!」
「怖いもの知らずの戦闘集団!」
「「「「「無敵の冒険者グループ『ザ・ツッパリーズ』よ!!」」」」」
おお、なんかすごい息がぴったりだな。ネーミングセンスが残念だけど。
「ま、こういう事だからその女たちをよこしな」
「痛い目を見たくなかったらな」
「・・・あのさ、まったく知らないんだが。というか、その行為盗賊に近いよな」
「「「「「ぬぁわぁぁぁぁにぃぃぃ!?」」」」」
おお、驚くリアクションまでぴったりだ。
「えーい、こうなったら無理やりにでもこい、」
「メンドクサイからとりあえず気絶しろ」
言い終わる前に、俺は素早く動いた。一瞬で全員の首に手刀を食らわせ、ついでに金棒で2,3人ほどの急所を攻撃した。
「ぐ!?」
「ぎょえっつ!?」
「ぴぎゃっつ!?」
次々気絶させていき、あっという間に全員気絶させた。
そのあまりの素早さに周囲の人たちはあっけに取られていたが、すぐに歓声が贈られたのであった。
・・・あ、目立ってしまったか?ま、ソティス達も喜んでいるし別に良いか。
たとえでいうなら・・・ムシ〇ングの「ハ〇テ」って技みたいな感じ。
今では知っている人が少なさそうだけど。




