第92話 盗賊が多い理由
宿に着き、そこで泊まることにした。
「そういえばお客さん、盗賊たちに出くわしませんでしたか?」
宿の女将さんが聞いてきた。
「あー、出くわしましたけど」
「お客さんたちは綺麗な方々が多いので出くわしそうだなと思いましたが、出くわしていたんですね」
「ん?なんで出くわしそうだと?」
盗賊と言えば人よりも金目当てなイメージが多いんだよな。
「それがですね、ここだけの話なんですがこの町の領主がどんな人か知っていますか?」
「いや、知らん」
「ものすごくろくでもない屑とか?」
「もしくは無能かのぅ?」
カルミアたちの考え結構ひどいな。
「無能ではないですが、屑とは言われているようなんですよ」
要は有能な屑というわけか。
「一応税金などはまじめにしているそうですが、裏では盗賊たちとつながっているといううわさがあるんですよ」
どうやら、最近このあたりで盗賊が増えているってのはその領主が原因らしい。
「盗賊たちに金などを集めさせて、その代わりに悪事を隠蔽したりするしているようなんですよ」
「そんな人ならさっさと領主をやめさせられそうなものですが」
「それがその証拠が見つからないからって憲兵所がいうんですよ。それでもう好き勝手しているんですが、うまいこと税金を国に支払って、さらに仕事などもまじめにやるからなかなかそう良くはならないんです」
無能な奴よりも、有能な奴が相手だと大変だからな。
それよりも・・・・
「なんで女将さんがそんなことを知っているんだ?」
「一応この町の誰もがそのことを知っているんだよ。だけど権力と盗賊という手段を領主が持っているからなかなか抵抗できないのさ。せめてものこの話を旅人のあんたたちに聞いてもらおうかと思ってねぇ」
まあ、旅人の俺たちならさっさとこの町を出るから被害があまりないだろうという思いらしい。
しかし、そんな領主がいるのか・・・・・・。
そんな領主なら・・・・・




