第89話 雑魚盗賊1
鱗について話したら全員秘密にした方がいいという意見。
だって、モンスターがいないとされているこの湖にそんな大物がいたなんて知られたら騒ぎになるからね。
水上都市で湖の幸を堪能してから数日、俺たちはまたあてもなく適当に歩いていた。この辺りは木々が多いのだが、ちゃんと道ができており歩きやすかった。
「なかなか新鮮な刺身とかがおいしかったな」
「たしかにおいしかったですよね・・・・」
「わらわとしてもう少し脂身がほしかったのじゃ」
「鬼神様が選んだものがおいしかった・・・」
「確かにいいものばかりでしたよね」
「お兄さまはこういう食関係にも優れていますから」
各自おいしかったものを思い出し、歩いていた時だった。
「ん?」
ふと、まわりの茂みや木の陰から何かの気配を感じた。
「鬼神様、気が付きましたか?」
「ああ、はっきりとな」
どうやら何人かが隠れているようである。
一応気づかれないようにこっそりとちいさな声で会話した。
「さっきから誰かが隠れてついてきているよな」
「なんか怪しいですよね」
「盗賊の可能性があるのじゃ」
「というよりも、それしかないと思いますが」
宿を出る前に宿の主人から聞いた話だと、なんでもこのあたりに最近盗賊が出てきているそうな。
この世界は地球よりも治安はそこまでいいわけではないらしい。
「どうしましょうか?」
「そうだな・・・襲い掛かってきたら返り討ちにするか」
そのまま気が付いていないふりして進んでいると、茂みから二人の男たちが飛び出してきた。まだ仲間がいるような気配がするが・・・・。
「へっへっへっへ、おいお前たち!」
「金目の物をよこしやがれ!」
うわ、雑魚集が物凄いぷんぷんしてくるよ。二人ともひげをそっていないのか毛むくじゃらだが、頭はずいぶん寂しい状態であった。
「あー、一応聞くけどお前ら盗賊か?」
「盗賊だろどうみても!!」
「なにいってんだてめぇ!!」
質問したらツッコまれました。顔をゆでだこのように真っ赤にして、小物集半端ない。
「何もねぇってんならその女どもをよこしやがれ!!」
「俺たちがたっぷり可愛がってやぐぎゃっ!?」
「すまん、めんどくさくなったからつい・・・」
話を最後まで聞く意味がないので適当にその辺に落ちていた石を一人に投げつけました。漫画のごとく顔にキレイにめり込んだよ。
「何しやがるんだ!!全員こいつらに向かってかかれ!!」
「「「うぃーっす!!」」」
新たに盗賊の仲間たちが3人ほど茂みから飛び出してきたが・・・・まさに小物って感じだな。
さすがにめんどくさいので先ほど同じようにその辺に落ちていた小石を投げまくった。
数分後、体中を血まみれ石た盗賊たちが横たわっていた。
石は手加減して投げていたよ?
でも・・・・・
「体中に穴が開いていますよね」
「即死じゃな」
ちょっと先ほどの盗賊の言葉にムカついていたせいですこーし力を入れてしまってました。
「・・・やりすぎたかな?」
「途中から急所に直撃していましたからね」
「ラル殿は容赦がないのぅ」
「私に命令なされば代わりにしましたが」
「山を下りてからラル以外にまともな男性を見たことがないような」
「お兄様、もっと徹底的にやった方がよかったのでは?」
皆思い思いの感想を述べたのであった。
とりあえず、死体はタマモの狐火で焼却処分しました。アンデッド化して襲ってきたらいやだしね。賞金首の可能性があったが、さすがに死体を運んで調べたくはない。
人が焼ける臭いは嫌だが、タマモの狐火だとその臭いは起きないようである。妖術というが、魔法とか自然に発生する火とはまたどこかが違うのだろうか?
「1」ということは・・・・




