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③ー33

ー33


円盤内はクルリと回った廊下が繋がっていて、その先々で区画分けとばかりに無機質な扉が通せんぼ。

高度なセキュリティなのか、解読・解錠は不可能。

(相手の事、共通言語等知らな過ぎる…)

そうなると、出番である。

ベニスブルーのアックスにて破壊する、

勿論扉をではなく、その制御盤らしき部分をガツンと。

どうせ解除不能なのだから、やってまぇ!

色は青だが上司の意見、縦社会の我々に逆らえる訳もなく…。

ぐきゃんと異音の後、しゃっと開かれる扉。

異常信号もしくは停電的な事態に対応するため処置なのかは不明だが、

何しか侵入者など想定外の設定。

好都合とばかり次々破壊して行くブルー。

俺も役に立つじゃないか!っと、鼻息荒くさせつつ。

だが、その進軍も4枚目にて終了。

破壊せずとも開かれるではないか、大量の異生物を引き連れてさ。

『統括!こっち!!』

廊下の真ん中付近に、円盤の中央へと進む方向の扉。

これは行くしかない。

ブルーは迷わず強制解除。そして入室。

…中は薄暗く、部屋の大きさがピンと来ない。

点灯方法を模索するか、ナイトビジョン・モードに変えるか、の選択。

まぁそれは必要なく、スポットライトが順に照らされてゆくのだ。

歓迎されてるとかどうか、不明だけど。

この室内の広さ、バレーコート4面ほどか。

その奥に姿が見える、何やらアンバランス。

右手が2本、左手が…3本?

『おい、やつら来るぞ!』

廊下よりの軍団が、こちらへと大挙押し寄せ中である。

『俺に任せろ』

川端・小杉の登場で、不名誉?な最年長戦隊員から脱却できた岡林。

一秒間に33回の突き(最近3回増えたらしい)を浴びせる必殺の

【グルージング・アロー】にて、扉の枠全面に槍の突きをくりだすのである。

悲鳴であろうと思われる断末魔と、

カラフルな体液が飛び散り、なんともカオス。

それを確認しつつ3人はアンバランスへと接近。

『この部屋は訓練場』

本当に右2本、左3本であると確認できる距離にて発言するアンバランス。

まぁ、この部屋が何かなんて、聞いてないけど。

そこに合流する岡林、返り液の付いたジャベリンをひと振りし、液を飛ばしつつ。

…アンバランスは岡林を見ている?

『この艦のトップに会わせて欲しいんだけど…貴方がそう?』

全身真っ黒で2m程の身長、そして薄赤い鎧を装着。(どことなく日本の戦国時代甲冑)

なんとなく、ボスっぽいのだけど…いきなり引き当てた?

っとか思いつつ、牧野は聞いてみたのだ。

そうだよって優しい返事を期待しつつ。

『…私はこの艦の戦闘指導担当…つまり小物よ』

ほんの数日の間に、皆さん日本語が話せるみたいで。

おそらくは重要役職に就くもののみだろうが、

何にせよ科学力は地球人の遠く及ばぬ世界なのだろう。

『そう、だったら教えて貰える?』

話せそうな相手だと思い、つい甘えてみる牧野。

まぁ、無駄だろうけど。

その問いに返事はないが、上の右手のをスッと挙げる指導者。

と、同時に後方の3つの扉は静かに開かれる。

『全て外れ、なんてのはない』

信じる理由はないが、何故かその言葉には偽りを感じない。

牧野は一歩前に出、竜泉の構えを魅せてゆく。

『貴方を倒せばいいのね?』

そうすれば、その3つの扉を越えていいんでしょ?と。

牧野は仮面越しに見つめられている感覚にあった。

相手も仮面、どこに目があるかさえ分からないのに?

『…君では無理だ』

現時点でナンバー2の実力、その自信も揺らぐ。

随分と下に見られたものだ。

指導者は岡林を再度見る。

『その紫色、君こそが相応しい』

その発言と同時に現れる5本の剣、フェンシングの様な、まるで針。

『君の突きか、私の突きか、その勝負』

指導者は右回りにゆっくりと歩み、紫の男を死地へと誘う。

それを受けない訳にはいかない。

岡林は左回りにて、相手の想定するであろうポイントへとニジリ寄ってゆく。

『お前たちは先に行け』

先程も聞いた台詞、あぁ自分が言えるって素敵。

(少々酔い気味)

『よいのか?直ぐに私が後を追うと挟み撃ちになるんだぞ?』

追わせる訳もない、そして何より敗北はもう十分である。

『申し訳ない、俺が順に加勢する以外の未来なんてないよ』

もう数歩で、開戦となるだろう。

『おい、早く行け!』

それに一番反応するのはベニスブルー。

道は3つ、動ける味方は3人。

つまり自分も通らなければならないのだ。

ボスがいるかもしれない、この扉の先を。

『いや、あの…』

この瞬間に上司も部下もない。

上司の発言を遮り、リーダー(仮)は狼煙をあげるのだ。

『私は真ん中に行きます、右は…グリーン?』

仮面の下はやれやれ顔、俺が真ん中に行こうと思っていたのに、の御堂。

まぁ、リーダーだし、自分よりほんのちょっとだけ強いし、譲るよ。

彼は手で合図をし、右の扉へと飛び込んでいく。

『ブルー、行ける!?』

この質問の返事は、決まっている。

ろくな戦闘経験のない自分が、一人で進むなんて…自殺行為だ。

『任しとけ!アックスの真髄を見せてやる!』

自分はきっと死ぬんだな…小杉はまだ見ぬ孫の顔を思い浮かべつつ、

そっと笑った。

それは恐怖を受け過ぎた影響であり、

決して楽しんでいる訳ではないのだ。

本当は、逃げ出したいんだから。


長剣と名刀は、何度となく重なり弾かれ、

持ち主の意思通りに導かれる。

その結果が、双方無傷。

『見事な剣さばき…』

誉められるのは大変好物、喜んで承けるゴールド川端。

『うむ、そちも見事なり…』

次の発言、言うべきか迷う。

隠したものの大きさにより、勝敗は決するのだから。

だが、時間もない。

まだ全てを教え込めてない二人の弟子が心配でもあるし。

川端は構えを自身の本来である無形に変え、

甲冑野郎を凝視する。

『さ、そろそろ本気でやろうか…』

手の内調べは十分である。

それは甲冑野郎ことハレンド・カナールも同意見の様子。

『そうか、ならば…』

何か科学的な物ではなさそうだが、川端の瞳には確かに見えた。

甲冑野郎の体から滲み出るドス黒いオーラ的なもの、そしてそれが長剣へと集約されていく様を。

『剣が…伸びた?』

そう思えるほどのドス黒きオーラ。

長剣の長さは変わっていないのに、包み込むオーラにて更に巨大に。

『言っておく、このムグの部分は受けれぬ…それがどんな名刀であれな』

ドス黒いオーラの名前がムグ?

まぁそれが分かったところで意味などないのだが。

むんっという掛け声と共に凪ぎ払われる長剣。

先程までとスピードは変わらぬが、圧倒的に攻撃範囲が違う。

そしてそれは受けてはいけない、つい何時もの癖で…は、通用しないのである。

川端は、とっさにジャンプし、第一波を回避…

『そう、大概の者がそうする…』

何やら呟きが聞こえたのだが、それは川端の知らない言葉。

一応の意味はさようなら、別れの挨拶。

ムグは瞬時に形を変え、上空の川端へと伸びてゆく。

とっさのエア放出で体を捻るも、直撃は避けられない。

ならばと名刀をあてがうも、それはまるで水。

多少の圧力は感じるもののスルリとすり抜けるのである。

『さらば、金色の侍』

日本語で言えるなら、最初から言えよとか、

思ってる場合でもなくて…。

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