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③ー6

ー6


並べられしモニターと、集いし仲間達。

大事なパーツは足りないが、物足りない訳ではない。

ベニス戦隊株式会社の総力結集である。

『まずは東京支部に賛同して頂き、ありがとう』

頭を下げる、そして一瞬停止する。

その停止が大事な行為であり、心の奥を魅せれる瞬間である。

『私は東京支部の小杉統括です、本作戦での名ばかりの本部長、です』

もう一度下げる、だが今度は一瞬だけ。

それは照れ隠しの表しか。

『…奴等、ザグナス帝国の宣戦布告』

小杉統括としての仕事で、ここまでの権力はない。

やはり取締役会や、株主総会で決まる事であり、小杉はその決定に従うだけである。

『…特に聞くべき内容では無かったけど』

色々な視線があるが、やはり娘からのが一番嬉しくて、恥ずかしい。

『…名前分かって良かったね、だけで』

その発言に異を唱える者が挙手。

『名古屋支所の藤園です、名前とリーダー機が分かって良かったね、ですね』

藤園弟のマークしていたリーダー機よりの放送、それは他所にも言い当たり、

各々の予想を後押しする結果となった訳で。

『なるほど、ではそのリーダー機に突入するプランは?』

大きな問題がある。

名前だけならよく聞くも、実際には見たことがないバリアーである。

挙手をする岡林、事前に渡されたプリントをめくりつつ発言す。

(一応の東京支部リーダー代行中)

『戦闘機及びミサイル関連、全て見えない壁にて破壊されています』

皆が知る事を言っただけの事、大きな価値はない。

『ご覧下さい』

愛すべき娘の発言と端末操作、いつまでも見ていたいぞ。

石原主任がモニターに表示させたのは奴等の円盤、そしてその周囲に透明の球体が重なってゆく。

『推定でしかないですが、約50m』

彼女の操作に従って、数日間の撃墜パターンが次々展開。

『どのパターンも、50m以内には侵入出来ていません』

透明だった球体の色が濃くなり、その存在を明確に示してゆく。

『射程は2番目の問題、1番はそれが何か、だな』

岡林も頑張り所と発言してゆく。

小杉は石原より事前に渡されていた書類を読み上げる。

『え~、第一は電磁波的なモノ』

ミサイル、機体、それらは電子制御されている。

それを狂わし、爆発させる。

『後は音波、振動波、あたりか』

そしてもうひとつ、一番やっかいなのが…

『最後は我々の知らない技術、モノホンのバリアーか、はたまた見えない攻撃か』

どちらにせよ、やっかいである。

特にバリアーなんて、作れない側が突破する術を見つけれる訳もなく。

挙手が見える、大阪ベニス・流源が発言許可を求めている。

内心では貴様ら愚民に許可を取るなんて有り得ない…とか、思ってるのだろうな。

『見えない攻撃、その可能性は低いかと』

財力にて整えられたコンピュータールーム、そこで雇われた技術屋(時給1500円)が、

寝ずに映像を解析した結果。

『破壊される前後に、円盤には予備動作がまったくありません』

流源はそのまま続ける。

『更に本体に温度変化も微振動もない、つまりは設置され常に展開しているもの』

大阪ベニスのお手柄だとの見解なのか、少しドヤ顔な流源。

『電子機器のみか、全ての存在が通れないのか、それの2択かと思われます』

後者なら成す術はない?

いや、正確には明日朝までに術が見つかるハズもない、か。

『はい』

沖縄ベニスの比嘉、眼鏡を上げつつ挙手。

彼女の現在地は福岡支所、移動完了済みである。

『これを見てください』

彼女が操作し、映し出される海外の映像。

そこはアメリカ北西部のアラスカ州、そこに浮かぶ円盤。

『ご覧下さい、ここに、乗ってます』

赤○で印された箇所がズームされてゆく、それは円盤の上部。

『…なんだ?何か乗ってるぞ?』

そこまで気付いて貰えれば結構ですとばかりに、

結末を急ぐ比嘉。

『ハクトウワシ、です。…彼等は生きています』

生きてそこに辿り着いている、と。

半径50mどころか、円盤の上に乗っているのだ。

『でも楽観は出来ません。侵入許可を貰ってるだけとも言えますから』

結局、答えはまだない。

何らかの手段にて確かめるか、一発勝負か、となる。

小杉は議長であり作戦本部長である。

示さなくてはならない、このチームの進むべき道を。

すっと手を伸ばし、発言をするという意思を示す小杉。

それに合わせて他の挙手は下ろされる。

一応、今は立てられている身分の様で、ありがたき…。

『まず、東京でバリアの突破手段を見せます。その後で皆も』

小杉にはあった、手段を見せれる方法が。

まぁ、どこいったのか分からないけど。

(気まぐれな怪人だ)

小杉はこれ以上の議論の必要を皆に問いつつ、会合の終了を宣言してゆくのだ。


『グラス、知らない?』

返事はない、見せると公言した以上、やるしかないのだが。

『確かに、彼がいれば最悪でも治して貰えるし、彼がバリアの有無を確認出来るかも、だけど…』

それではあまりにも無策である。

第一、彼がそれを了承するとは到底…

『別プラン、必要かと』

誰かが言ったその台詞に、深いタメ息にて反応する小杉であった。


時は過ぎる、誰のため?

それは当然皆のため、全員に平等に与えれる時間。

使い道は自由、そう自由なのだ。

部屋に収まり震えようとも、今までの我慢を最期の時に爆発させようとも、

それは当人の自由。

法や良心が制約に成らないのなら、本当の自由。

『総理…この集団は止まりません』

最初は小さな集団だったが、今やそれは膨れ上がり、破壊と略奪の暴挙。

世紀末という言葉が収まる世界。

『警察も、一部しか機能してません』

中にはその集団に加わっている警官も居るのだろう。

日本の安全神話も、もはや地に落ちたものだ。

『私の回りに居てくれる皆と、一部でも警察が機能しているのだ、大したものだよ』

希望を捨てるのは簡単で、逃げ出すのも簡単で。

でも今回は逃げる所がないのだ、受け入れるしかない。

『明日になれば、もっと凄惨な世界になる』

予言ではなく、予測でもなく、確信。

それが現実、覆らないのだろうか?

(ベニス…日本を…世界を…)

日本のイチ企業が世界を救う?

有り得ない、か。

出羽は静かに目を閉じた。

そして最後となるであろう仮眠をとる。

最後となるであろう夢を見れることを願いつつ。

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