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②ー26

ー26


悪く言えば悪趣味に該当するのだろうか?

いや、命を奪うのだから知っておく必要がある。

その者の事を、より深く。

命を終わらせるのだから。

それが川端式の別れの義、か。

『なんか、川端さんらしいです』

理解した部類に入る牧野が呟く。

それは届けるつもりの無い呟きだが、室内の静けさに敗れ、あっさり到達。

『後で聞かれたとき、答えられないのが嫌なだけじゃ…』

前を見据えたまま答える姿、その佇まいに。

杉本は自身がまだまだレッドとして未熟者であると再認識させられる訳で。

何時の間にやら結晶刀を納刀していた(消していた)グラストゥー、

そのまま観客席側へと加わってゆく。

彼に託しとけば良い、怒りも哀しみも、全部背負ってくれるだろうから。

『グラス?もういいのね』

横のレイニーとは初対面ながら、同じ人間に魅せられてしまった者同士として、

案外合うのかも。

『えぇ、後は日本に帰ってから楽しみます…』

少し不気味だが、とりあえず問題は先送りだ~。

『杉本』

呼ばれる7代目、記憶を掘り起こしたせいもあり、スイッチ入り中の初代の元へ。

『奴を斬るのは憎しみではない、分かるな?』

…わかりません。

『それでも斬らねばならぬ、心に逆らおうとも、な』

笑顔、それは太陽。

6代目と同等の光り、暖かき抱擁。

杉本は日本に帰ったら2代目~5代目に会いに行こうと誓った。

確か存命されてたハズだし、見てみたい、

皆の笑顔が太陽なのかを直接。

『斬ります、それがその人の為になるのなら迷わず、ならなくて人類の為だけなら迷いつつ』

何か言いたくて、何も言えてない気もしたが、まぁいいや。

初代が頷いてくれたから。

『次で終わりだ、2人で攻めて、最後は同時に…』

残月を納刀しつつ構える。

そういえば書いてあったな、特技は居合いだとか。

『発動のタイミング、お主が合図をだせ』

あら、責任重大ね…

でも杉本はコクンと頷く、そうでなくてはなと川端もコクン。

『よし、お主らの開戦合図でいくぞ、どうするのだ?』

あれを初代とするのですか…?

ためらいつつも、レクチャー。

『よし、ごー!!』

…嫌いではないらしい。


無限はない、永遠もない。

それは誰にでも分かる事、そういう解釈。

だから、彼にだって当てはまる、ハズで。

フレダスト星人の基本性能は不明、だからあくまでもハズ。

されど川端に確信はある、世界はそういう理の中で巡るモノである。

『先行します!』

居合いのタイミングを測っているのか、はたまたパワーだかエネルギーだかを貯めているのか。

まぁ、目で合図されたんだから、行かせて頂きますよ!

腹部に傷を追った時と同様の斬撃を披露する杉本。

流石に圧力と速度の跳ね上がりが大きく、

シューレの計算をまた狂わせてゆく。

読みきれない存在、それがクラールの求めた何か?

今日という日が予定調和で終わらない悦び。

まぁ、今となっては確認のしようもないが。

杉本は基本的に川端をリスペクトしている。

だから、使ってみる事に。

『ぬりゃりゃりゃ~!』

あぁ、伝わる…仲間からの視線の温度が直に。

良いじゃないか!っと思いつつ、少しアレンジ。

『とりゃりゃりゃりゃ~!』

特に周囲からの評価が変わることは無かったが、本人的には乗ってきていた訳で。

それがそのまま攻撃の厚みへと転換されていき、

シューレの行動を制限させてゆく。

複数対1の状況で、犯しては成らない愚が見失うこと。

常に対戦相手は把握しておかなければならない。

だからこれは愚、杉本のノリ効果なのだが、シューレとしてはあっては成らない事。

(…川端、ドコダ?)

あまりの圧力に、注意力は杉本に集中し、残された分をスルリと掻い潜ったる川端、消える。

それは一瞬の出来事、消えるも現れるも、一瞬の。

『…紅一閃』

ベニスレッドの奥義シリーズと言ったところか。

鞘内へと貯めに貯めたるエネルギー、居合い斬りにて一気に解放。

その切れ味はベニススプラッシュをも凌駕する、らしい。

(実際は個人の相性と好みで変わる)

シューレの身体が傾いてゆく。

バランサーを失ったエアプレーンの様に、フラフラである。

左太股の真ん中辺りから、切り離された左足では立っているがやっとである。

なのに前からはまた…

『ずりゃりゃ~らゃりゃー!』

たまらず残された右足でジャンプ、距離を取りその次備えるシューレ。

いや、様子がおかしい。

備えることなく、その場で何やらもがいている?

『ちょっと、お楽しみは日本に帰ってからとかって、なんなの?』

シューレの右足、足首から地面にかけて結晶の塊が見える。

明らかに、この男の仕業。

『知らないのですか?私、ウソつきで有名なんですよ?』

知る訳もない情報に、あそーっと素っ気なくレイニー。

そんな事より、これで終わる。

私達の相方を奪い去った核の部分が、終わりを告げる。

これで良かったのだろうか。

そもそも私の旅の始まりは、怪人化された者を元に戻す方法の究明。

聞けてない、でも恐らくは無い。

あるならば、とりあえずなっとけや~でステイシアを怪人化させていたハズだから。

レイニーはスーツの奥にあるペンダントを握りしめた。

彼との写真が入ったペンダント。

(ペトレンコ…2人のレッドが、今終わらせてくれるからね…)

レイニーの中で、彼は生き続けている。

最期の日よりずっと、変わること無く。

『よし、ゆくぞ杉本!』

合図はヌシに任せたとか言ってたのに…

私の回りにゃ嘘つきしか居ないのかよ…と、嘆きつつも構える。

最期の義である。

『封・燐・果・斬!!』

無限も永遠もない、だが平等に訪れるのが終焉。

終わりだけは、皆に必ず訪れる。

早いか遅いか、それだけの違い、それだけの不平等。


自らの前後に位置する2人により燃やされていく衣服と頭髪。

2人分だから単純にして先程の2倍の熱量となるのか?

それにしてもこの足を抑えている結晶の塊はなんだ?

溶けない=氷ではないのか、ますますやっかいな。

そしてそろそろ始まる前後よりの突きの嵐が。残された右足を自らの切断して回避する?

あり得るが、無理だ。私の力だけでは自らの足すら切断出来ないだろう。

第一、出来たところで戦闘力激減だが。

…生きたいか?

自らに問う、そしてそれ次第で決める、これからの行動を。

120年前に死んでいった者達は、生きたかったろう。

その地より逃避し、地球に降り立った私以外の10名、生きたかったろう。

…そうだ、復讐だ。

私のたいか、たく無いかなんて問題ではない。

生きねばならない、大いなる目的の為に。

奴等に復讐するために…!

だが今、その事を忘れられる。

命をすり減らし魂を磨き、敵と分類される者たちと奪い合い。

心の高揚、喉の乾き、腕の震え。

フレダスト星人が平和的だなんて言ったのはどこのマヌケだ?

十分な戦闘種族としての資質、持っているじゃないか。

(この復讐の炎、消せるものなら消して見せろ杉本…)

体の中心にある円球に精神を集中させる、

そして貯める、貯めに貯める。

十分な容量に達したところで、爆発。

その反動により、彼は力を得る。

それを全て、皮脂硬化へと。

シューレの選択は防、それも最大級の。

クラール戦で牧野が見せた最大防壁と同等のモノか。

固まり丸くなるシューレ。

その完全防備に対して、2人は最大攻撃にて応じる。

『ぬりゃりゃりゃ~!!!』

ハモりって、どんなのでも案外心地好いな…とか、思い始めてしまう傍観者達。

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