その男、何かを・・・
この広い世界には、生きていくこと、食べていくことすら、ままならない人達が、どれだけいるのだろうか・・・
映画やドラマなど、そんなエンターテイメントが、普及する国は恵まれているのだろう。しかし、そんな国でさえ、様々な格差があり、つまるところ、人間は、自分の接する世界だけが、確かな現実なのかもしれない。
さて、この話は現代の日本において、芸能界を舞台に繰り広げられているものです・・・。
そう確かにドアは、開いたのだ。
彼は、顔を見せた。
原田が出てきた。
「親愛なる、江藤、よく来てくれた・・まぁ、入れよ」
そう言って、原田は江藤を中に、招き入れた。
原田は、大分、やつれていた。江藤は、そんな原田を見て唖然として黙ってしまった。
原田がポツリと言った。
「お前ほどの容姿や、背丈があればな・・」
江藤は、身長が180あり、女性受けする顔立ちだった。実際、学生の頃から比較的モテる方だった。
江藤は、それを聞いて黙ったが、しばらくして言った。
「原田さん、本当に、ゴマすったり、御世辞いうわけではないんですけど、原田さんも容姿は、そんな悲観するほど悪くないし、背だって低くはないじゃないですか」
確かに、そうだった。原田は俗にいう不細工ではないし、背丈も低くなかった。
「まぁ、身長も175は、あるかな」
またポツリと、原田が言う。
江藤が、間髪入れず、言った。
「確か、飯野さんって、身長164くらいでしたよね。それって、面と向かって抱き合ったり、ベッドの中で、どんな体位をしても、抜群の安定感の相性ですよ!」
それを聞いて江藤が、笑った。やつれた顔だったが、大声で、爽やかに笑った。
「原田さん、笑顔もイケてるし!!」
またまた、原田が笑う。
江藤も一緒に笑った。
なんだか、原田の笑顔に、江藤は救われた気がした。
役者として、救ってもらったのは確かだが、原田には何かある、俗にいう「もってる」人間だと感じた。
原田が、ふいに言った。
「江藤、本当に、ありがとうな」
「礼を言わなきゃならないのは、こっちの方ですよ」
二人は、その後に、酒が入り、色んなことを語った。
夜な夜な語り明かしたのだった。
江藤が、原田に話した内容は、あくまで原作者の勝って気ままの産物で、ございます・・。この作品においては、今後も、そのような節が、内容自体にも、多々あると思うので、続けて読んでくださる方は、御了承のほど、宜しくお願いします。




