神竜襲来
穏やかな朝日が自らの顔を照らすのを感じ、若宮はパチリと目を開いた。
彼は大きく伸びをしながら立ち上がり、不自然な体勢で寝てしまったせいで、若干こわばる体を、パキパキ鳴らしながらほぐしていく。
そして、
「さぁて、そろそろ戦後処理を始めるとしようか!!」
「おせぇよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
あの竜の侵略から二日後。その間ずっと続いた、祝勝記念祭という名の神・人どんちゃん騒ぎのあげく、二日酔いでうめき声を漏らす人間が転がる元戦場の砂浜にて、俺――賢者の石は、思わずノンビリしすぎている神皇に、怒号を上げた。
…†…†…………†…†…
「というか、捕虜まで一緒になって祭りしてんじゃねぇか!? 何考えてんだこのバカっ!?」
「いやいや、戦終れば、後は仲良くするための努力をするべきだと言ったのは賢気様ではないか? 確かその講義は、戦争論1甲の授業の戦後処理のあたりだったはずだぞ? うむ。余は頭がいいから中々鮮明に覚えておる」
「自分の都合のいいことだけ覚えているだけだろうが、このバカ宮がぁあああああああ!?」
誰が捕虜外に出してどんちゃん騒ぎしていいといった!? と、俺は、日ノ本人と同じように酒を飲んで眠りこける、人化した竜たちを示しながら再び絶叫した。
そんな俺の怒声に目を覚ましたのか、人化した竜たちは目をこすりながら起き上り、
「あぁ……良く寝た」
「あ、若宮の大将チーッス」
「いや大将マジ酒豪っすわ。竜の俺らが勝てないとかどんな胃袋してんっすか」
「よっ! この蟒蛇!!」
「おっ、こいつ~日ノ本にすっかり慣れやがって」
「大将? 今夜も飲み会?」
「いや、いい加減仕事に戻らんとな。まぁ、個人的には付き合ってやらんこともないが」
「ひゃっほ~い! 今日もまた騒げるぞ、お前らっ!!」
「大将マジ太っ腹!!」
「ふとっぱらじゃねぇえええええええええええええええええええええええええ!!」
なんて、もはや敵どころかなじみ親しんだ大学の友人的関係になりつつある捕虜と、戦勝国の国王の姿に、俺は再び怒号を上げた。
「敵と仲良くなってどうするんだよっ!? 戦後処理が終わるまではまだ相手は敵なんだぞっ!?」
「そんな常識……余の無理で押しとおす!!」
「神皇が言うとシャレにならんからやめろよっ!?」
実際それができる立場だけど、神皇っていうものはケジメが肝心だろうが!? と、怒り狂う俺に対し、いつのまにかやってきていた輝夜は肩をすくめて笑う、
「まぁ、そんなところが若宮らしいですけど」
「こんなバカに私は負けたのか……」
朝一で連れてきてくれと、俺が頼んでいた敵軍大将――アルフェスを伴って。
…†…†…………†…†…
というわけで戦後処理。それは日ノ本軍の幹部たちがすぐに集まりやすい、本陣で行われることとなった。
Пの字型に並んだ机の中央に、一応手錠をはめられ座らされるアルフェス。
とはいえ、
「いや~アルフェス殿。昨日あなたが出してくださった酒。なかなかに絶品でしたな」
「天空要塞にはもうあれしかないので?」
「あいにく共に水没してしまったもので……」
「それを考えると、落としてしまったのが惜しく感じるのう……」
こいつもこいつで、ちゃっかり宴会に参加していたので、戦後交渉という名の貢物はばっちりなようだが……。
というかこれ賄賂じゃね? 地味に腐敗してね、我が軍。と、いまさらながら俺は日ノ本の行く末が不安になるが、いま口にしても仕方がないだろうからあえて黙る。
ここは負けた後すぐにプライドを捨てて、この交渉を有利に進めるために働いたアルフェスが、一枚上手だったと考えるしかない。
「さて、ではお前たちに求めるものだが……。そうだなぁ、正直言うとあまりないのだ」
「だろうな……」
そして、この交渉自体が割と無意味なものになりかけているからだろう。
なにせ今回行ったのは防衛戦。降りかかってくる火の粉を払っただけに過ぎない。
幸いなことにうちの国は貨幣経済が軌道に乗りつつあるから、兵士たちへの保証も金銭で片が付きそうだし、足りない分は現在、潜水関係の加護を持った神職の連中が、海に沈んだ天空城塞から金目のものを引き上げているので、そちらで十分補填が効く。
だからこそ、こちらがアルフェスに求めるものはわずか二つ。
「一つは天空要塞の所有権に関してだが……。全面的にこちらに移譲してもらう」
「かまわん。どちらにしろ敗残の将だ。首をとられんだけありがたい話だろう」
まぁ、このくらいは相手も許容範囲だろう。問題は、
「もう一つは、今後お前たちの国は、こちらに対しての侵略を行わない。輝夜に手は出さないという不可侵条約を結んでおきたいのだが……」
「無理だな。私が敗北した段階で、恐らく私が封じていた輝夜の両親――太陽神と月光神が解放されて、我が大陸は再びあの二頭の支配下にはいった。もはや私に、その条約を結ぶ権限はない」
むしろ、その二頭が現在こちらを目指してとんでいる可能性が高いから、今の段階で不可侵条約を結んでもほぼ無意味だろう。と、苦笑い交じりに肩をすくめるアルフェスに、本陣にいた幹部たちはわずかに眉をひそめる。
「だがしかし、われわれが間接的にとはいえ、その二頭の開放を手伝った事実は変わらんじゃろう? それを材料に交渉を進めれば、かなり有利な条件を」
那佳女の可能性の話を聞いたアルフェスの答えは、
「ありえん。交渉など……そういう人間的な話は奴らには通じない。笑って手を貸してくれる神々を持つお前たちにはわからんだろうが、あれはそう言った次元には存在していない」
まぁ、お前たちにとっては、私もそれらとたいした違いはなかったのだろうが。そんな自嘲がにじみ出た言葉を、アルフェスは吐きだし、吹っ切れたような顔をして、わずかに機嫌が悪そうな顔をする輝夜に視線を向ける。
何を言い出す気だ?
「ご両親を侮辱されるのは許せないかな? 星の姫よ」
「義兄さん……。あなただって父さんや母さんの子供でしょう?」
「下らん。神話的にはそう言われているだけで、俺を実際産んだのは南マリューヒルの連中の信仰だ。あれを父や母と認識した覚えはないし、これからもそう認識することはない」
あのような存在の腹から生まれたなどと……考えるだけで虫唾が走る。と、明らかな憎悪がにじみ出た言葉を告げながら、アルフェスはこちらとの交渉そっちのけで、輝夜と話し始めた。
「まぁ、お前が俺と同じ考えに至るのも時間の問題だろう。あいつらはお前だけは猫かわいがりしていたからな。ずっとお前には良い両親の顔しか見せてこなかっただろうが……お前があの龍人と結ばれたなどと知れば、態度はおそらく随分と変わるだろう」
「そんな……私が愛した人を、あの人たちが認めないなんてことがあるわけないでしょう!!」
「子供の傲慢だな……」
その理想が崩れた瞬間の、お前の顔が見ものだよ。と、アルフェスは最後に肩を竦め、
「では、こちらからの降伏の条件を提示しよう」
「全面的に負けた分際で、交渉の余地があると思っているのか!?」
さすがにその言い方は看過できなかった俺が、慌てて訂正するように口をはさむ。そんな俺の言葉に「細かい奴め」と吐き捨てながら(こいつ、自分の立場分かっているんだろうか?)、アルフェスは言い直す。
「間違えた……。俺が連れてきた兵士たちの助命の嘆願をお願いしたい。あと、できれば海に沈んだ連中も、生きているやつがいれば引き上げてやってほしい」
「嘆願では仕方ないなっ!! 我が神皇の器、とくと示してしんぜよう!!」
「忝い……」
最後に、ほっと安堵の息をつきながら、そうつぶやいたアルフェスの顔が、一瞬だけ誇り高い武人の横顔に見えたのは、俺の気のせいだったのだろうか?
どちらにせよ、こうして日ノ本はじまって以来の侵略戦争――《竜種戦争》の幕は下りた。
…†…†…………†…†…
そう思っていたのだが、
「た、大変ですっ!!」
「ん? どうした?」
いつもの伝令兵ではなく、海岸で眠りこけていた兵士の一人が本陣に駆け込んでくるのを見て、俺たちはただならぬ事態の急転を感じ取る。
「ひ、東の空に新手!! 巨大な光を放つ……赤い鱗の竜と、青銀の鱗を持つ有翼蛇が!!」
「っ!?」
一瞬本陣内の空気が凍る。
まさか後詰がのこっていたのか!? と、わずかに疑いをはらんだ視線が、平然とその報告を聞いていたアルフェスに向けられる。
だが、
「落ち着いてください、みなさん! それは、私の父上と母上です!!」
本陣の緊張を切り裂く輝夜の言葉と共に、俺の脳裏には牢獄に鉄枷でつながれた二頭の竜が描かれる。
「あいつら……いくらなんでも行動が早すぎるだろう?」
思った以上に子煩悩だった二頭の竜の訪問に呆れながら、俺はいったん都に戻って盛大な歓待の準備をするか、速度を重視していっそのことこの本陣に招くか迷うが、
「まぁ、一刻も早く輝夜に会いたいだろうしな。神職たちを呼んで、本陣あたりに迎賓用の館を立てさせろ。最低限国の要職を迎え入れる装飾ができれば構わん。相手は仮にも一国の主だしな……さすがに布とイスだけの場に呼ぶわけにはいくまい」
「はっ!」
「やれやれ……休む暇もないわい」
「兵士たちをたたき起こせ。二日酔いでも無理やり働かせろ」
途端に慌ただしくなる本陣の景色を見ながら、俺は若宮に話しかける。
「さて、俺たちはひとまず先にあの竜たちに挨拶に行くぞ。あと、迎賓の用意をしているからしばらく待ってもらうよう言わないといけないし」
「うむ。輝夜はここでお二人に満足してもらえる館が建てられるよう、指示を出していてくれ。久しぶりに会うのであろう? その勘に身だしなみも整えておくがよい」
「は、はいっ!! ありがとう、若宮!」
そう言って、俺の力で宙を舞う若宮。
そんな彼を笑って見送る輝夜の隣に、ふと俺が視線を向けると、
「…………………………ふん」
何やら意味深に鼻を鳴らす、アルフェスの姿があった。
そのことに何やら得体のしれないひっかかりを感じながら、俺はひとまず太陽神と月光神を待たせぬために、全速力で若宮の体を飛翔させた。
…†…†…………†…†…
「どうしたの? なんか険しい顔して……」
「いや……」
終戦。その後の顛末を面白おかしくアレンジしながら書いていた貫己は、何かを感じ取ったかのようにふと、東の空を見つめて、
「ふん。ややこしい事態になりそうだ」
「え?」
「や、ややこしいって何がですか……」
ひどい目にあったわね、あんた……。と言いつつ、手当てをする那岐と、傷の手当てをうける幻影竜にそう問われ、貫己は今まで書き記した原稿を破り捨てながら、
「って、ちょっとなにしてんの!?」
「黙れ。いささか厄介そうなやつらが来たからな。せっかくだし自分の目で見て新しい物語を作ろうとしているだけだ」
「だからその厄介な奴らってなんなのよっ!?」
「なに? 決まっているだろう。ただの子煩悩だと思ったら、なかなか面倒な気配を漂わせる天上の二柱よ」
たとえるなら……腐ったにおいをまき散らす、高嶺の花かな? そんな、わかりづらい比喩表現を使いながら、海岸に走り出す貫己に、那岐は慌ててついていき、貫己にオシオキという名の無期懲役封印を食らった幻影竜も、慌てて彼らの後を追った。
…†…†…………†…†…
それは、幻想世界で会戦ったアルフェスよりも、なお巨大で凄まじい威圧感を誇る二頭の竜だった。
というか、牢獄に閉じ込められていたのを見たときは、力が減衰していたせいか、いまより一回り小さかったような気がする。
俺――賢者の石は、そんな感想を抱きながら再び異国の二大天体神の前に立つこととなった。
「久しぶりだな、《太陽神》テスパクトリス。《月光神》アクロマルクラ」
「久しいな、小石」
「賢き知恵を持つものよ。あの無法者への忠罰に、心よりの感謝を」
赤い竜は尊大に、青銀の蛇は穏やかに、こちらへの謝辞を送ってくれたあと、俺が連れてきた若宮へと視線を飛ばした。
「して、そちらの人間は何かな? 貴様の神官か?」
「それにしては……申し訳ありませんが、らしくない姿をしているようですが」
「あぁ、違う違う。こいつは俺が守護するこの国の王だ」
「ほう?」
神が伴っている人物ということで、真っ先に上がる職業を若宮がしているものだと思い込む二頭。
そんな彼らの愉快な勘違いにわずかに笑みをこぼしながら、俺はほっと安堵の息をついた。
なんだ、アルフェスが言うほどひどい奴らじゃないじゃないか。と。
なにせ会ったのは一度きり。その時は近況報告と、現状輝夜を狙う勢力がどの程度の物なのかという、情報交換しかしなかった。
そのため、こいつら素の性格など、言動から考察して推察するような時間はなかったのだが、この調子ならきっとこちらとの対話も問題ないだろう。と、俺は高をくくり若宮に思念で指示を飛ばす。
『今の内だ。いっとけ』
『ん? 何をであるか?』
『バカっ!? 娘さん勝手にもらっちまっただろうがっ!!』
『あぁ、そういえばそうであった!』
余の嫁という印象が強すぎてすっかり忘れておったわ!! と、内心ですらうるさい大笑をする若宮に閉口しながら、俺は本題を切り出す。
「輝夜……おっと。お前らの娘カグトリャーイの保護をしてくれていたのもこいつだ。こいつの指示があったからこそ、お前たちの娘は無事だったといってもいいな。うん」
「ほう。異国の王にしてはなかなか見どころのある男よ」
「えぇ。あの子に仕えることができたことを、感謝してくださいね?」
ん? と、なにやら二柱の不穏な言い回しに、俺が気づいたときにはすべてが遅かった。
「うむ! 仕えるというか、嫁にもらったのだがなっ!!」
「「………………………は?」」
「う~む。こういう時に定番はなんでったか? おぉ、そうだ!! お義父さん、お義母さん! 娘さんを余にくれっ!! 事後承諾だがなっ!!」
なんて、普通のあいさつと比較検証をしても、頭を抱えたくなるダメダメな言葉を若宮が発した瞬間だった。
「なんだ、この不敬な人間は」
アルフェスが獣人たちのことを《羽虫》と呼んで侮辱したときのように、《人間》という言葉そのものに、虫けらに接するような侮蔑の色を含ませて、テスパクトリスは紅蓮の炎――いや、核融合すら起こしている火球を若宮に向かってためらいなく放った。
「なっ!?」
「若宮っ!?」
驚いたのは俺も同じだったが、王家の守護者として若宮を死なせるわけにはいかない。
全速力で若宮の体を、いまだに健在な岩守塚女の結界内に退避させた後、俺もその結界の補強の術式を発動し、黄泉の瘴気を抑えきった大結界の再現を作り上げる。
だが、
『賢者の石っ!!』
「冗談だろっ!?」
念話越しに届いた岩守の悲鳴に冷や汗を流しながら、俺は火球に触れた瞬間融解していく結界を見て、戦慄を覚える。
他宗教圏にきてなおこの威力っ!? これで肉体をもって霊格が落ちた後だと!? ふざけていやがるっ!?
幸いなことに結界がきちんと働いてくれたのか、威力はずいぶんと減衰されている。八割がた配力を殺せたはずだ。
だが、俺と岩守だけでは若宮を守るための手段が、あと一手足りないッ!!
太陽が、若宮の体を焼き尽くしかける!!
その時、
「『その山の名は泰然自若。すなわち不変の大神威なり』」
即興の感嘆文章によって作り上げられた山が、若宮の前に忽然と出現した。
激突する山と炎。炎はそのまま山を食い尽くし、跡形もなく蒸発させるが、さすがに山一つを消し飛ばしたうえで、威力を保持することは難しかったのか、莫大な煙とともに姿を消す。
「貫己っ!」
「まったく、知恵神にしては詰めが甘いな。人を見る目……いや、神を見る目がなかったということか?」
お粗末な話だ。と、いつのまにか若宮の隣に浮遊してきて、こちらを見て鼻で笑ってくる貫己が、恐らく山を作ってくれたのだろう。
普段はわずかながらにいら立ちを覚える貫己の罵詈雑言も、今は安堵気持ちでいっぱいで、聞き流すのに苦労はしなかった。
「よくやってくれた!」
「ふん。こんな面白い取材材料、ここで失うのは惜しいしな」
創作活動のついでだよ。と、軽口を閉じない貫己をしり目に、俺は二頭の竜へと視線を移す。
できるだけ刺すような、可能な限りに殺気を込めて、睨みつける。
「何のつもりだ……」
「そちらこそ……何をふざけたことを言っている。我等が星の姫が、我等の愛の結晶が……そのような下賤な人間に娶られたというのかっ!?」
「けがらわしい……。いったいあの子にどんな責め苦を与え、無理やりいうことを聞かせたのです、人間っ!!」
そんな二頭のヘドロのような濁った憎悪の視線を受け、若宮は顎に手を当て、
「ふむ……責め苦、というわけではないが……。うむ! 夜は割と鳴いてもらっているなっ!!」
「んばっ!?」
「ふはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!! 傑作! これは傑作だ!! ここだけは自己風の改ざんをせずに書いてもいいかもしれんっ!!」
明らかに選択ミスをした若宮の発言に、俺は思わず絶句し、貫己は爆笑する。
当然、二頭の竜がそれを許すわけもなく、
「ふざけるなぁあああああああああああああああああああああああ!!」
「疾く、この世から失せるがいい、下賤な人間風情がっ!!」
瞬間、先ほどの比ではない霊力の高まりが二頭の体内によって生成され、若宮に向かって発射体制が整っていく。
あれ以上の攻撃が来る。そして、俺と岩守と貫己では、決してそれは防げない。
状況は絶望的。若宮を貫いた後も、その攻撃は日ノ本の国土を削り、国を両断する渓谷を作り出すだろう。
生み出された霊力を観測し、そんな嫌すぎる試算を出してくる俺の優秀すぎる脳に頭を悩ませながら、それでも俺は絶望しなかった。
なぜか? 決まっている。
「なんだ……あいつらは?」
「人の国に来てはしゃぎすぎじゃありませんか?」
この場にいる神は、俺たちだけではない。
「「!?」」
突如若宮を守るように現れたのは、この国の最高神格に列席される、大和高降尊と国常大上彦命。
それぞれに自身の神器を携え出現した二柱ならば、あの二頭の攻撃を力ずくで止められるだろう。
さらに後詰には、各地を守るために散開していた八百万の神群達が地上を埋め尽くしながら、国土防衛のために権能をふるってくれていた。
その中には、真教圏から顔を出してくれていた真王や、権といった武神たちも見える。
そして、
「おいこら……神から成り下がった駄竜ども」
自分の親族を馬鹿にされ、怒り狂った流刃天剣主が天剣を携え馳せ参じていた。
背後には我が国の三大女神――霊依産毘売、流慰天瞳毘売、断冥尾龍毘売が控えている。
「俺の息子が何だって?」
一触即発。今度こそ神域の戦いとなる戦争への雰囲気が、平和になったはずの海岸一帯を覆い尽くした。
感想で聞かれた竜種の死亡ルートに関してまた書けなかった……。
というか、まだ終わらなかった……。あれ? 今回で終わる予定だったのに、竹姫物語編!?
ちなみに今回大量に出現した神群の皆さんですが、アルフェスの時に顕現しなかったのは、普通にしなくても倒せると踏んだからと、最近は神と人間の差別化がさらに進んでしまったせいで、顕現するのも一苦労になったから。
だから今回の一斉顕現も、実はかなり無理していたり……。
そのうちムリしても、自力で人間界に顕現するのは難しくなる時代が来るかも……。




