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知恵の神の知恵与え

 神・神・神・神・神・神・神・神・神・神・神・神・神・神・神・神・神!!


 見渡すばかりの神々。そのすべてが最高神の社を囲み、神敵討つべしと叫ぶ光景は、いっそ壮観と言っていいほどの威容と、殺気を放っている。


 俺――賢者の石と征歩は、その光景を見て、思わず苦虫を噛み潰したような顔になった(石だから(以下略))。


「随分と殺気立ってやがる……」


「この非常事態に神託が出せないなんて……何してんだ? と思えばこういうことかよ……」


 だが、予想してしかるべきだった。理解してしかるべきだった。


 なにせ、高草原に住む大多数の神々は、こちらで商売をしないと、自分の存在を構成する霊力すら得られない雑神だ。


 信仰を失えば消えてしまう。人間と比べれば力はあるのかもしれないが……だがそれでも儚い存在だ。


「そんな奴らに、信仰分ける可能性がある真教の伝来許すけど……いいよね? なんて言って許されるわけがない」


 奴らにとってはダイレクトに命にかかわる問題だ。許可なんて出せるわけがない。


 その感情が爆発した結果が、このクーデター。主神に対する直接の直訴だろう。


 俺は……神という名に甘えすぎていた。話さなくても、その名を冠する奴らなら、いつでも最善策を感じ取ってくれるはずだと……。


 知恵の神ともてはやされ、事実、現代知識のすべてを持つが故に、たいていのことは分かっていた現実が、俺を増長させていた。


 俺たちの国の神が、超常者でありながらも、絶対者ではない。人と共に歩む、間違えもすれば怒りもする、一個の人格を持つ人間臭い奴等なんだ……。


今回の失敗は俺の責任だ。そんな奴らをないがしろにするような、神の誇りに頼り切った判断をした……俺のっ!


「くそっ! やっぱりおれは……国の命運を左右するような、大した魂じゃないんだな……」


 思わずそんなつぶやきが、俺の口から洩れてしまう。ちょうど、兎嵐がおかしくなったときのことも思い出していたから、なおさらその言葉を止めることはできなかった。


 だが、


「ふざけるな……賢気」


 そんな俺に、叱責の言葉が飛ぶ。


 なんだ? と、俺が不思議に思い、声が聞こえてきた上の方を見上げると、そこにはキセルをふかし、不敵に笑う征歩がいた。


「胸を張れ。俺をここに連れてきたのも、俺を本当の神皇にしてくれたのも……この国を作った神々を導いたのも、全部お前だろうがっ!!」


 自信を持っていいんだよ!! と、征歩は俺に諭すように言った。


「お前の言うことは……いつだって正しい!! だからこそ、皆はお前を最高神だと認めているんだっ!!」


「っ!!」


 そして、そんな征歩の俺以上に自信に満ち溢れた、確信したかのような言葉に、俺は思わず息をのみ、


「ふっ……生意気言うようになったじゃないか」


 だが、たすかったよ……。と、ほんの少しだけ、漏らした後、


「さて……いくか」


「あぁ。頼りにしてるぞ? 最高神」


「誰に口をきいている?」


――俺の言うことはいつでも正しい!!


 その征歩の言葉を信じ、俺は眼前の神々に向かい、一歩踏み出した征歩を助けるための知恵を巡らせる。




…†…†…………†…†…




 一歩、征歩は怒号と抗議の声をあげる神々の波に踏み入れた。


「っ!!」


 一人の神が征歩の存在に気付く。


「貴様っ!! 下界の王っ!!」


「貴様か……我らを裏切り、国を売った愚王は!!」


 下の国を統べる存在とはいえ、神にとっては、所詮征歩は人間だ。どれほど下界で偉かろうが、彼らにとっては裁きを下す対象でしかない。


 神の祟りという名の暴力が、情け容赦なく征歩を襲う!


 が、


「控えろ。雑神どもっ!!」


『!?』


 征歩の胸元にかかっている俺が、威圧神術交じりの怒声を上げることによって、ようやく俺の存在に気付いたのか、神々は目を見開き、祟りに使う為と思われる霊力の発露を止める。


(これで場の支配は完璧だ。あとやることは……こいつらに知恵を与えること)


 こいつらの姿は、何かに似ていると俺は思っていた。


 いったいなんだろうな? と俺が首をかしげながら、考え得た答えは、情報を統制されたがゆえに、重大な事態を正しく理解できずに不安に陥っている、人民の姿。


 無知とは時として、人に凄まじい恐怖を与えるものだということを、俺は現代知識の検索から思い出した。


 だったら、やることは簡単だ。むしろ、それは俺の真骨頂。


 こいつらが知らないことを恐れているのならば、俺が教えてやればいい。


 無知を塗り直し、知っていることにしてやればいい。


 だからおれは、こいつらに……知恵を与える!!


「最高神の前で随分な暴挙に出たな……。守るべき下界の民に牙をむくなど……」


「お、お言葉ながら、賢気朱巌命様!!」


 まずは軽いジャブ。そのつもりで放った俺の叱責に答えたのは、あの征歩のくだらない追いかけっこに協力していた神――黒天星光夜彦だ。


「最高神であり莫大な信仰を得ているあなたなら、確かにそう言われるかもしれませんが……信仰を奪われるかもしれない他教の布教など、我等雑神にとっては死活問題なのですっ! それともあなた方日ノ本神話体系は、われわれに信仰枯渇による消滅を、受け入れよと申されるのですかっ!!」


「黙れ、エロ神。お前は結構信仰を受けているだろうが。今年に入ってからやたらハイになってんのか、出産率が右肩上がりなのは知ってんだぞ」


「エロ神はやめてくださいっ!?」


 苛立つ俺の罵声に、泣きそうになる黒天星光夜彦を生贄に捧げ、場の空気を緩和。その上で俺は、知恵を授けることにする。


 知恵の神らしく。


「だいたいお前ら、本当に真教に信仰が盗られると思ってんのか? 八百万(やおよろず)の神が? 八百万もいるお前たちが? 悪い冗談も大概にしろ。大宗教ってのはな、お前らみたいなくだらない加護を与える神様なんて一つもいねぇんだよ。エロの神だの、糸の神だの、服の神だの……そんな細かいところにまで信仰の手は伸ばしていねぇ! 真教の教えを直に学んだ俺だからこそ、断言してやる! お前たちの信仰は、決して真教では冒されないってことを」


 そう。真教の教えは滅私による悟り。それ故に娯楽関係などの神はいないし、細々とした事象に生まれたわずかな怖れや尊敬の念から、生まれる信仰も存在してはいない。


 ただただ、輪廻の輪から外れ、解脱を目指す法。そのストイックさゆえに、日ノ本神話体系のような、雑多な神々は生まれにくいのだろう。


 まぁ、日本の宗教観の影響を受ければ、多少は変貌するだろうが……そうなれば、寧ろ共存はやりやすくなるはずだ。


 もしかすると、俺の元いた日本のように、真教と神が融合して、逆に霊格を上げる存在も出てくるかもしれない。


 それを総合的に考えると、この真教の布教は決してマイナスにはならないんだと、俺はこの時代でもわかるように、できるだけ言葉をかみ砕きながら、雑神達に説明をしていく。


 それでも消えてしまう神がいるとするならば、それは、


「お前たちが単純に、いまのように神としての仕事をおろそかにし、お前たちを信じる民を助けようとしなかったからだ!」


『っ!!』


 知恵の神としての俺の見地。それはこの高草原では絶対の真実として受け入れられる。


 俺が言うことはすべて、正しい知識に基づいて発せられたものだからだ。だから俺が言うことは、すべて正しい。征歩が言ったように、他の神々もそう思ってくれている。


 俺のことを、信頼してくれている。


 だから俺は、その信頼にこたえるために、決して間違った答えは口にしないよう、常に努力を積んできた。


 そんな俺の言葉を、気持ちを、理解してくれていたのか、神々は先ほどまでの殺気だった霊力を消失させ、俺の保証によって得られたわずかな安堵と、あっさりと自分たちの不安がなくなってしまったことに戸惑いながらも、抗議の声を消していく。


 ひとまずはこれで雑神達のクーデターは鎮圧か……。と、俺はその様子に安堵の息を漏らしつつ、下界の状態を少しでも良くするために、告げる。


「わかったら散れ。そして今、戦場で命を落としているお前たちの信者や、その戦に巻き込まれて危機に陥っている貴様らの子供たちを助けてこい! 戦闘向けじゃなくても構わん……。少しでもお前たちの子供が助かるようその権能をふるえ」


「は、はい……」


「わかりました……」


 落ち着いた雑神達には、さすがに最高神に口答えをする度胸はなくなってしまったのか、大人しく自分の社に向かって散っていく雑神達。


 そんな彼らをほっと安堵の吐息交じりに見送った征歩は、俺を一度撫で、


「いったとおりだろ? お前の言葉は説得力が違う」


「まだだ」


 ドヤ顔で自慢げに言ってくる征歩に、「いや、これ俺の功績だし……」と、よほどツッコンでやろうかと思ったが、今回は世話になったので見逃しておく。


それに、これはまだ前哨戦だ。


「奴らは確かに信仰を奪われる心配もないような、真教には存在しない細やかな信仰を受けているやつらだった。だからこそ、あの俺の推論が成り立った……。だが、次会う連中はそうはいかない」


 そう言って俺が視界を合わせた先には、すでに征歩の社に入り込み、直談判をしていると思われる巨大な神々の気配がある。


 明石記には惜しくも記されなかったものの……ここ数年の技術発達で生まれた、強大な神々たち。


「本当に信仰を奪われる可能性があるやつらが……あそこには詰めている。国家鎮守の属性を持つ真教は、ありとあらゆる災厄をはねのける力があるという……。そんな奴らがやってくれば、直接的に信仰を奪われかねないやつらが、いるだろ?」


 それは、荒御霊が強力かつ凶悪であるがゆえに、その力をもってして逆にその災害を沈めてもらおうと人々が願った、畏怖から生まれた神々。


「災害神どもが……流刃のところにいる」




…†…†…………†…†…




「助かりました……」


 こうして、雑神達を説得し退けた俺たちは、もはや城と言っていい流刃の社にはいることに成功した。


 そこでは俺の来訪に気付いていたのか、《伝令神》の彩文書姫と《文官神》の暦書符雄神が、俺達を出迎えてくれて、急いで流刃天剣主のいる場所に案内してくれる。


「流石に我々では名だたる災厄神殿たちの侵入は止めることはできず……現在は明石記に記された神々が、流刃天剣主様の居室で対応されております」


「流刃はいったいどうした? どれだけあの災厄神が強力だからと言って、好き勝手させるような奴じゃないだろう?」


 主神の威厳の重要性については、口が酸っぱくなるほど俺が教え、叩き込んだ。たとえ今が日ノ本神話体系を揺るがす一大事だとはいっても、下につく神々の勝手を、黙って許すような甘い教育をした記憶はない。


 だが、そんな俺の質問に、険しい顔をした暦書符雄神が告げたのは、信じられない事実。


「流刃天剣主様は迷っておられます……」


「迷う?」


「えぇ……。このまま真教援助を続けるかどうか……という迷いを得られています」


「「っ!!」」


 その答えは、俺と征歩を絶望的な気分にさせるに十分な言葉。


「まさか……流刃は」


「流刃天剣主様は……真教布教に、反対なのですか?」


 せっかく命を懸けて高草原を訪れた征歩の努力が、すべて無駄になりかねないその一言を、つらそうな顔をした二人が首肯することによって認め、


「つきました」


「賢気朱巌命様。どうが……そのたぐいまれなる叡智で、わが主神をお助けください」


 俺たちは、流刃の居室にたどり着く。




…†…†…………†…†…




 神が住むにふさわしい居室の証として、無駄にデカく、豪華に作られた引き戸が開く。


 そこには、日ノ本を代表する錚々たるメンツが、そろっていた。


 おそらく真教布教を支持してくれている明石記メンバーには、流慰や大上彦、大和や龍姫といった、皇族の血につらなる神や、最古の巫女たる因幡、武神の代表たる来武。天剣に加護を与えた天剣八神もいる。


 対する布教反対側と思われるのは、文字通り禍々しい気配を放つ災害の神々。


 現在戦場で力をふるっている、背中に蝗の羽が生えた美麗な青年……蝗害の神《相誅氏命(そうちゅうしのみこと)》を筆頭に、


じっとりと濡れた全身と、顔を隠すほど長く伸びた黒い髪を垂らす洪水の神《澪満啼女(みおみつるなきめ)》。


全身に炎を纏った猫の姿をした、火災の神たる《火掛走冥男(ひかけばしりのくらお)》。


 ナマズ髭をした恰幅のいい人型のおっさん。地震の神たる、《地揺腕命(ちゆるぎうでのみこと)》。


 羽毛がすべて雷光でできた、何の鳥かもわからない鳥型獣人の少年。落雷の神である、《降鳴神雷鳥命ふるなるかみらいちょうのみこと》。


 そして額に角をはやし、朱らかとした肌の釣り目の男。疫病の神たる、《崩葬守雄神(ほうそうかみのおがみ)》。


 幸い、最も災害の中でたちが悪い、火山噴火の神である金烙火己命はこちらの味方をしてくれるらしく、天剣八神の席についてくれているが、それでも災害の神々は文字通り強力な荒御霊たちだ。


 ここで彼らが日ノ本神話体系に反旗を翻そうものなら、日ノ本の大地に彼らの災害が瞬く間に満ちることが、わかりきっていた。


 こいつらに中途半端な説得は許されない。完全にこちらの味方になってもらえるような、絶対的な説得力がある言葉が必要だ。


 だが、それよりも気になるのは、


「おやおや……最高神たる賢気朱巌命様と、この国の王たる征歩様ではございませんか……。我等を捨て去ると決めた王が、何故このようなところへ? まさか、いまさら神頼みに来たのではありますまいな?」


 と、こちらを見て不気味な笑みを口元に作る、真っ黒な掛物を目深にかぶり顔隠した、胡散臭い見覚えのない神だ。災害神達の先頭に座っているということは、恐らくは真教反対派。だが、それにしては何やら雰囲気が災害神達とは違う気がする。


 新しい災害神か? だが、こんな目立つ奴が生まれたのなら、下界でも高草原でも、神様の名簿を作っていた俺が気づかないわけが……。


 俺が必死に、突如現れたイレギュラーに対し思考を巡らせているなか征歩は、ここに来るまでに俺が指示しておいた行動を実行に移す。


にらみ合うように間を開けて対面していた、神々の前を横切り、まっすぐと主神流刃天剣主が座る場所へと歩いて行った。


 そして、流刃の前にたどり着いた瞬間座った征歩は、ゆっくりと頭を下げ、


「主神にして我が祖先……流刃天剣主に奏上奉る……。どうか今一度、我等に加護をお与えください」


 真っ黒な掛物をした神が言った通り、神頼みをするしかない自分に、悔しげに歯噛みしながら頭を下げた。


 だがこれでいい。人間である征歩が、この場でとれる行動は、これがベストだ。


 もとよりここに訪れたところで、人の身である彼にできることは限られている。


 ただ黙して頭を下げ、神の慈悲にすがること……。神皇であろうとも、神の前に人ができることなどそのくらいしかないし、それ以上のことがあってはならない。


 本人たちが軽く笑って許してくれる普段の状況なら、まだ砕けた態度も取れただろうが、今はこちらが命を懸けて神にすがるしかない状況だ。


 それも、こちらの考えに反対している可能性が高まった、神を相手に。


 当然、真教布教に反対していると思われる流刃は、その征歩の神頼みに答えはしなかった。


 代わりに勢いづいたのは、災害の神々を率いていると思われる漆黒の掛物を着た新参の神。


「見ましたかみなさんっ! この人間は恥知らずにも、捨てると決めた我々にすがりに来たっ! あなたたちを殺すための手伝いを、我々にしろと告げに来たっ! なんたる厚顔無恥。何たる愚弄っ! 人間の暴挙をこのまま許してよいのかっ! 否っ否っ否であるっ!! 我々は今こそ思い知らせてやらねばならないッ!! 人が、下界の民が……いったい誰のおかげで、いままで生活ができていたのかということをっ!!」


 男の言葉に反応し、各々青筋を浮かべていた災害神達から、どっと荒々しい霊気が漏れる。


 明石記に記された神々の面々は、それに応じ歯噛みをしながらも、応戦する構えを取り、


「少し……静かにしろっ!!」


 流刃の地を這うような、殺気交じりの小さな声によって、あっさりと両陣営の闘気は叩き潰された。


 災害神達の霊力は、莫大な圧力を持つ流刃天剣主の霊力に抑え込まれ、封殺。立ち上がった明石記陣営はその圧力に膝を屈し、強制的に座らせられる。


 あの黒い掛物の神も例外ではなく、まるで締め上げられた鶏のような声をあげ、尻餅をついた。


 そんな彼らの態度をしり目に、流刃はただ一点……征歩の首飾りとなっている俺を見つめてきていた。


「賢者の石……お前は俺のことを愚かというだろうな。下界があんな状態になっているくせに、いったい何を迷っていると。俺はそんなヘタレにお前を育てた覚えはないと……。わかっているさ。この期に及んで迷いを得るなど……愚かなことだってくらいは分かっているっ!! ましてや理由がこんな個人的な物じゃ……主神としての是非が問われる。でも、それでも……!」


 と、流刃は言葉を切り、ためらうように首を横に振った後、


「俺は、お前にこの問いの答えをもらわないと……真教布教に踏み切ることはできない!!」


「っ!」


 人間であったころのように、俺に質問をした。


「俺は……真教によって信仰を奪われても、黄泉から夜海を助け出すことはできるか?」


「なっ!?」


 その質問は、流石の俺でも予想外だった……。


 それは、神になると誓った、流刃の根幹にかかわる質問だった。


 彼が主神になると誓った理由。黄泉にとらわれ出ることがかなわない、最愛の人物を助け出すための、力を得たい! という願い。


――そうだった……。お前は確かにそういう奴だった。


 流刃が一体何を迷っていたのかを悟った俺は、この国が激変しようとしているのに、決して変わることがなかった流刃にほっと安堵し、


――これなら、説得は可能だ……!


 と、希望を持つ。


 だから俺はゆっくり思考を巡らせた。


 今の流刃天剣主が持つ力と、真教によって奪われるであろう信仰の総量。それを賢者の石のチートスペック思考回路で試算し、答えをだし、この場にいるすべての神々が真教布教に納得できるような理論を構築し、


「さて……」


 俺は口を開いた。


「知恵の神として……最高神として、お前たちに答えを示そう」


 まずは、流刃に。


「流刃天剣主よ」


「なんだ……」


「何びびってんだ。余裕に決まっているだろう? むしろ、真教布教によって、お前の夜海救出計画は、より簡単に事が運ぶ可能性さえある」


「っ!?」


 相変わらず手間のかかるバカガキだと笑いながら、賢者の知恵を与えてやった。

*災厄神=荒御霊に莫大な信仰を受ける、災害の化身とされる神々。そして、その災害を起こす力を逆用し、災害を抑えてもらおうと考えた人々が作り出した、防災の神でもある。


 ただし、ひとたびその逆鱗に触れると、逆に凄まじい災害を起こすため、畏怖とともにその名がかたられることが多い、荒ぶる神たちである。


 現在出ている神々のほかにも、《日照り》の神や、《冷害》の神も存在するが、実はそちらは太陽神の流慰天瞳毘売と、天剣八神の氷の神《冷我生山命(ひがきやまのみこと)》である、マンモスだったりするので、どちらかというと和御霊のほうが重視されることが多い。

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