大和高降尊
決戦の日がやってきた。
「気を付けてくださいね?」
「岩神様の加護があらんことを」
瑠偉と否麻は、今回は留守番として集落に残ることになった。
たとえ一人でも多くの戦力がほしいときであったとしても、戦闘技能をもたない彼女たちを無理やり戦場に引っ張って行っても、仕方がないことくらい理解していたからだ。
「俺の加護もあるんだけど……」
だが、今回は俺――賢者の石も参戦し、よほどのピンチになれば神術をふるって戦う。そう簡単に負けるつもりはない。
「頼りないですね……」
「岩神様に、お願いしますといっておいてください!!」
「おいこら!?」
が、この期に及んでも俺の扱いがひどいこいつらに、戦いが終わった後モノ申してやろうとは思ったが。
「トラさんの方はどうします?」
「どうでもいいが否麻、その呼び方だけはやめてくれ。別の人思い出すから……。とりあえず戦場に出なければいいや。大風彦が一蹴できる程度とはいえ、一人でも敵の戦力を削っておきたいことに変わりはないしな」
そう。あれから徹夜で否麻と楽しいトークを楽しんだ虎武は、現在すべての情報を洗いざらい吐かされたことに気付き、絶望中と眠気で気絶中だ。
あの状態なら、戦いが終わるまで動くことはないだろうが、それでも念には念を入れて否麻に監視を頼んでいる。
「話していたら結構いい人だから、説得すればこっちの味方になってもらえるかもよ?」
「だとしてもだ。土壇場で龍神姫の方につくかもしれん。そんな不確定な戦力は、初めからいない方がいいんだよ」
「まぁ、そうかもしれませんね……。わかりました。監視の方は任せてください!」
そういって胸をドンと叩く否麻を頼もしく思いながら、俺たちは彼女たちに背中を向け戦場に向かう。
それぞれの手には、俺がこの日のために作った、神術が付与された特別な武器。
岩神の加護を受け、彼女とほぼ同等な耐久度をほこる鎧。
そんな武装に身を包んだ大和と大風彦の顔には、これから始まる戦いを必ず生き抜くという覚悟が見えた。
…†…†…………†…†…
だが、
「戦は数……。でしたね、賢者の石殿」
「そうだ。いまさら怖気づいたか?」
「……えぇ。少し。昨日あんなこと言わなきゃよかったと思いました」
そう言いながら、戦場になる平原近くの大木に上り、戦場の様子を見ていた大和は顔をひきつらせていた。
そこには、じわじわと平原を埋め尽くしつつある、莫大な数の獣人たちが存在していた。
その数おおよそ4000。人間二人が相手をできる範囲を超えている。
そして、その中央にある巨大な神輿に乗っている女が一人。
大和と同じように、体の一部に残ったわずかな鱗をアクセントとした肌と、無数のけばけばしい飾りをつけ、結い上げられた褐色の髪。
その頭部からは鹿のような枝分かれした角が生えており、長い長い爪からは毒々しい紫色の液体がこぼれる。
そんな異形をほこる……獣人でもなければ、人間でもない、だが人間のような姿をした、作り物めいた美貌をほこる女がそこにいた。
「あれが龍神姫……。今は本性を隠して人間の姿になっているって虎武が言っていたが、にしてはけばけばしい女だな」
「まぁ、美人であることは認めますけど……。どうせなら否麻さんみたいな、自然な感じの美人であってほしかったですね」
「お、とうとう大和君、女を知る年頃ですか?」
「茶化さないでください」
俺を戦いの邪魔にならないよう、ひもでくくりつけて首から下げている大和は、俺の言葉にため息をつきながらするすると木から降りて行った。
「で、どうするんですか? さすがにあそこまで数が違うと戦う前に逃げる選択をとりたいんですが?」
「まぁ、集落を捨てるってのも、手の一つあるんだが……必ず追ってくるだろうしな。余裕があるときに叩いておいた方がいいことに違いはない」
「では、まずは一あて?」
「小手調べなんて言ってたらあっさり揉みつぶされるだろうから、一あてって言っても全力攻撃だがな」
幸いなことに、相手の遠距離攻撃手段は弓矢しかないことが、昨日の虎武の尋問で判明している。
すなわち、弓の射程からはるか離れたロングレンジ攻撃すら存在する、俺たちの神術の方が圧倒的有利な状態であることは揺らがないのだ。
だからこそ、初めの開戦の一あてはその攻撃にすべてを託す。
「頼むぞ……大風彦」
俺が呟いた瞬間、天から無数の白い光が降り注いできた。
「なんだあれはっ!?」
平原ならばその光景も見やすいのだろう。突如として空から降ってくる白い光たちに、獣人の一人が疑問の声をあげる。
その声を合図に遠視の神術を使い、敵軍を見据える俺。その視界では、不思議そうに空を見上げる獣人たちの姿。
のんきな奴らだ……。俺がそう思い嗤った瞬間、
大風彦が霊力で編み上げた無数の大鷲たちが地面を打撃! 接地した瞬間に大爆発を起こし、近くにいた獣人の兵士たちを飲み込んだ!
…†…†…………†…†…
大風彦が作り上げた神術は、より速さを求めるための神術だった。
だが、どれだけ神術で身体能力を上げたところで、どれだけ神術で速度を得たところで、やはり人間の脚力には限界があった。
もう少し科学的にモノを見られるようになれば、大風彦も生身で音速の壁を超えることができたのだろうが、俺――賢者の石としてはオーバーテクノロジーすぎる気がして、さすがにそれを教えるのは気が引けたのだ。いろんな小説のストーリーを参考にしたとき、過ぎた技術はろくでもないことにしかならないと、どこか心の奥底で思ってしまっていたのだろう。
だからこそ、大風彦は自分で速度の極致に至ることをあきらめた。
ではどうすれば彼は、地上で、空中で、海で、誰よりも早い存在になれるのか?
答えは簡単。
誰よりも早い動物を作り出し、それに騎乗すればいい。大風彦の答えがそれだった。
神術《神産》。速度を極めた、神がごとき動物たちを作り出す神術。
それによって作り出された動物たちが、無数の群れとなって獣人の軍勢を強襲した。
「ひ、ひるむなっ!! 戦えぇえええええええええ!!」
鷹の襲撃から間髪入れず、もはや視認するのも難しいほどの速度で平原をかけてくる白く輝く動物たち。
その姿に恐れを抱きながらも、敵の将軍はよくやっていると俺は思った。
何せ足ガタガタ震えてんのにまだ落馬もせず、きちんと指示も出しているのだから。
だが、そんな根性任せの指示でどうにかなるほど、大風彦の獣たちは甘くない。
「ぐぼあっ!?」
動物たちが通り過ぎただけで、信じられない速度で吹き飛ばされる将軍と、彼が騎乗した馬。
動物たちが通り過ぎた後に残っているのは、音を引き裂いた証である衝撃波。その余波を食らい、獣人の軍勢たちが信じられない数、空を舞う。
見る見るうちに獣たちに侵食されていく軍勢。原始的な武装しかもたないことがあだとなり、獣人の軍勢たちはなすすべ者なく吹き飛ばされ、戦闘不能に至る怪我を負っていく。
「いけるか?」
遠視でそれを見ていた俺は、あまりにあっさりと成功した強襲作戦に拍子抜けし、思わず笑いながらそんな言葉を言いかけた。
このとき俺は思い出すべきだったんだ。
(それは、作戦が成功しないフラグ……)と。
「はははははははははははははははは!! こうだ、こうでなくてはっ!!」
神輿に坐すだけだった龍神姫が、喜色があふれる笑みを浮かべ立ち上がり、神輿の上で手を一閃させた。
瞬間、彼女の長く伸びた爪から夥しい霊気が放出され、攻撃を受けている味方ごと大風彦の神獣を打撃した!
「っ!?」
神獣をかき消すほどの大威力の霊力打撃。それを食らった味方も当然ただではすまず、ぼろ雑巾のようになり果てて、宙を舞う。
「仲間を……やりやがった!」
「なっ!?」
俺の言葉に、森に潜みながらひっそりと戦場に近づいていた大和は、驚いたように目を見開き、戦場に向かうスピードを上げる。
そんな中、俺の視界の中の龍神姫はけたたましい笑い声をあげ、顔を青くして戦慄している味方の軍勢を睥睨した。
「こうでなくてはっ!! こうでなくてはならん!! 我の仇敵は、これくらいでないと釣り合わんなぁ!!」
そして、
「獣使いをあぶりだせ! あの白き獣を作った神が森の中におるはずだ!」
龍神姫の指示を聞いた兵士たちが、慌てた様子で何かを連れてきた。
「っ!?」
ようやく戦場が見えてきた大和にも、つれてこられた何かの姿が見えたのか、彼は思わず息をのむ。
「なんて……ことをっ!!」
そこには、いためつけられた痕跡がある野生の動物たちが、数百と連れてこられていた。
おそらく、彼らの言うことを聞くように痛みと恐怖による躾を受けたのだろう。
苦痛の声をあげながら、体を引きずるように龍神姫の言葉に従い、森の中にいるはずの敵をあぶりだすため、各々の感覚器官を使い捜索を始める動物たち。
その姿にはもはや、野生で生きていたころの生き生きとした様子は見えず、ただ痛みと恐怖におびえる、哀れな被害者の姿しか見えなかった。
「っ―――!!!」
「大和っ!? 落ち着けっ!?」
それを見た瞬間、大和に異変が起こった。
今まで見たことないほど激怒した大和が、信じられないほどの霊力を父親譲りの鉄剣に込め、森の中から飛び出した。
あとで話を聞くと、あの時大和は俺が初めて大和に説教したときのことを思い出していたらしい。
森の動物たちは隣人であり、共に生きる仲間だと。たとえ食うために殺さなくてはならなくても、最低限の敬意を払わなければならないということ。
そんなことも知らなかった昔の自分の姿が、傷つけた動物たちを平然と使い、嗤いながら従えている龍神姫と重なったのだそうだ。
「許すわけにはいかないんだ……」
大和は絞り出すように、怒りの言葉を漏らす。
「昔の間違いを、間違ったままいる自分を……許すわけにはいかないんだっ!!」
怒号と共に飛び出した大和を見て、「我の威を恐れて飛び出してきたかっ!!」と、龍神姫は喜色にまみれた笑みで再び手をふるう。
霊力の打撃が大和に迫る。だが、大和はそれを、鉄剣をふるい、そこに込めた霊力をぶつけることであっさりと弾き返し、
「なっ!?」
ほんの少しだけ驚いたような顔をする龍神姫に向かい、
「何をしているっ、貴様ぁあああああああああああああああああああああああ!!」
「っ!?」
俺が教えた、威圧の神術が施された怒号を叩きつけた。
…†…†…………†…†…
僕――大和の怒声に、大気が震えるのを確かに感じ取りました。
僕の怒声におびえた、傷つけられた動物や獣人たちは、瞬間的に固まります。
ですが、今の僕にはそれを気にしていられるほどの余裕はありませんでした。
目の前で、昔の自分を思い出させる忌々しい女が、嫣然とした笑みを浮かべたまま僕の怒声を弾き返したからです。
「なにをしている? それはどういう意の質問だ?」
「決まっているっ! 共存すべき隣人を、共に生きるべき仲間を……そんな風に無為に傷つけた理由を問うているんだ!!」
敵は強大です。たいていの存在が威圧を受けて動けなくなる、僕の怒声を平然と弾き返したところからも、そのことは考察できます。
たぶん自分に匹敵。下手をすると賢者の石様級の力があるのかもしれません。
ですが、それでも、僕は問わずにはいられませんでした。
「隣人? 仲間? それはもしかしてこの動物たちのことを言うているのか?」
「それだけじゃない、さっき吹き飛ばした獣人の兵士たちもだっ!!」
僕がそう言って問い詰めると、龍神姫は少しの間ぽかんと口を開けた後、
「クハハハハハハハハハハハハハハハハハっ!! なんだそれはっ!! 下らんなぁああ!!」
「なっ!!」
僕の問いを一笑に付し、答える価値もないと切り捨てました。
「私の軍勢だ! 私の僕だっ! 私の《威》を表すものだ! 私の所有物だ!! 何をしようと貴様には関係ないだろうがっ!!」
「なん……だとっ!?」
僕は奥歯をかみしめます。
「随分と甘い教育を受けたようだなぁ……。放っておけばいくらでも増える獣人や、意志も言葉も通じぬエサにしかならん獣ごときに気を使うとは……理解に苦しむっ!!」
仮にも我と同じ神ともあろうものが。そう吐き捨てた龍神姫の言葉が限界でした。
僕は再び鉄剣に霊力をこめ、それをふるいます。
「もう見てられない……。お前は昔の僕と同じだ。間違いだらけだ、龍神姫っ!! お前に教えてやるよ。お前も僕も神なんかじゃないッ!!」
なんとしてでもこの女だけは、一発くらわせてやるっ!! そう覚悟を決め、僕は鉄剣に込められた霊力を放出し、龍神姫の神輿を打撃しました!
…†…†…………†…†…
俺――賢者の石は大和の霊力に打撃され、あっさり壊れた木製の神輿を見て思わず笑ってしまった。
一撃粉砕。まさしくその言葉がぴったりだろう。
龍神姫が乗っていた神輿があっさりと崩れ落ち、龍神姫はそこから落ちてきた。
ドサッ。とも、ボトッとも取れる無様な落下。
今まで神輿を壊されたことなどなかったのか、龍神姫は地面に尻餅をつくように落下した後も、しばらく何が起きたのかわかっていない様子だった。
だが、自分が無様に地面に座っていることに気付いた瞬間、
「ひ、姫? ご、ご無事で!?」
神輿を担いでいたため、すぐ近くにいた獣人が龍神姫に駆け寄る。
そんな彼の頭部を、龍神姫は八つ当たり交じりに殴り、消し飛ばした後、
「貴様ぁあああああああああああああああああああああああああ!!」
さきほどの大和と同じ大気を震わせる怒号を上げた。
「許さん。許さんぞっ! 我に泥をっ!! 泥をつけよってぇええええええええええええ!!」
怒号と共に龍神姫の怒りを恐れた兵士たちが、我先にと大和に向かって突撃する。
いや、突撃というよりそれは逃走だった。
一刻も早く怒り狂う自分たちの主から離れるために。
だが、
「お前たちっ!! それでいいのかっ!!」
『っ!!』
大和の怒号に、獣人たちと獣たちの突撃は再び止まる。
「命がとられるのは怖いだろうっ! 傷をつけられるのはいやだろっ!! だが、本当にそれでいいのか!! あんな奴に従い続けていて、本当にそれでお前たちは……平穏無事に過ごせていると言えるのかっ!!」
『…………………………』
答えはない。彼らだってわかっている。こんなことを続けても、ろくなことにならないことくらい。
だがそれでも、軽々と自分たちを殺してのける龍神姫が怖いのだ。
だが、それでも大和は訴えかけた。
「その生き方で本当に……お前たちは大切な物を守れているのかっ!!」
「っ!!」
一人の獣人がその言葉に反応した。
「命は守れているのかもしれない! だが、尊厳はどうだ!? 矜持はどうだっ!! 家畜のように殺されるのを恐れっ、震え、唯々諾々とあの神を騙るバカ女の言葉に従う……そんな生き方で、お前たちは満足なのかっ!!」
一人、一頭、一匹……。続々と大和の言葉に震え、顔を上げていく者達。そんな存在の瞳に、確かに、反抗の火が宿るのを俺は見た。
大和は神術なんて使っていない。ただ、俺が教えた弱者の尊厳すら守るという教えを、ただ言葉にして説いただけだ。
だが、その言葉は……弱者として虐げられていた獣人や動物たちに響いたらしい。
一人、また一人と、大和の言葉に聞き入っていく。
それは一種のカリスマだったのだろう。ダメになってしまったが、一国の王にまで登り詰めた男を傍で見ていたから、俺にはそれがわかった。
こいつは多分本質的に、人を率いるのが得意な男だったんだと。
「少しでも、少しでもだっ……『あのバカ女に、従ってやるものか!!』という、自分の矜持を持っているならっ!!」
そこで大和は言葉を切り、先ほどの威圧と同じ神術を言葉に込めた。
「道を、開けろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
その言葉が平原に響いて数秒後。
獣人たちや獣たちは、決意を秘めた顔で大和の前から退いた。
龍神姫に向かい、一本の道が出来上がる。
「なっ! 貴様らっ……何をしているっ!!」
龍神姫はその光景に怒号を上げかけたが、その声は大和が声をかぶせてかき消した。
「わからないのか。これがお前の《威》だと語ったものだ! 恐怖でしばりつけ、命を代償に従わせても、結局すべては……お前のものになったりなんかしないッ!!」
そして大和は剣を振り上げ、
「お前の《威》なんかこの世に存在しない!! お前はこれからも……今までだって、ずっと一人だったんだっ!!」
「っ!!」
霊力の打撃を飛ばした!
が、
「くだらぬっ……!!」
龍神姫は、片手でそれを払いのけ、雲散霧消させてしまった。
場の空気が凍る。龍神姫に歯向った人々が希望を乗せた大和の攻撃が、あっさり払いのけられたことによって凍りつく。
だが、そんなものは予想通りだった。
本当なら大和の霊力打撃で、道を切り開く予定だったが、道ができたなら問題なし。経緯はもはや問わない。
作戦無視してガチ説教を垂れた大和には、あとでこちらから説教をするが……。
「どんな希望をその小僧の説教から抱いたのかは知らんが……。いいだろう、我が再びそれを踏み砕いてくれよう。今度こそ、我に逆らう気力が出ぬほどにっ!!」
そう絶叫し、龍神姫が口を大きく開く。
その口の中では信じがたい量の霊力が収束され、光り輝く球体になって出現していた。
「おぉ、初めて龍っぽいところ見た……」
ブレスかなんかかな……? と内心暢気に構えながら、俺はとりあえず、
「大和。最後のキメ台詞……行ってやれ」
「わかりました」
不敵な笑みを浮かべてあっさりとその場から退いた大和は、最後にこういった。
「言っただろ? お前は一人だって。だけど……僕は一人じゃないッ!!」
「っ!!」
瞬間、純白の神馬が一条の閃光となって道を貫き、
「子供に戦いをすべて任せるほど、落ちぶれてはいないさ」
「っ、な、なにやっ!?」
それに騎乗した大風彦が、満を持して登場。瞬きする間に龍神姫の前に到達し、
「《威》貫け――天崩海人矛!!」
のちの神話で神殺しと語られる、対象の霊力そのものを粉砕する、俺が作った霊槍が、龍神姫の体を打ち抜いた!!
*天崩海人矛=日ノ本神話の《神殺し》武装で最も有名な一品。平定戦争のおり、国常大上彦命が断冥尾龍毘売に致命傷を与えた長槍として知られる。
その性質は、貫いた対象の霊力を粉砕すること。そのため、神格へといたり、体が霊力だけで構成される神相手には、文字通り一撃必殺の威力を誇る。
現存しているかどうかは不明。どこかの神社に封印されたとか、戦乱の時代に壊れてしまったとか、いろいろ言われているが、もしも現存しているなら《賢石神社》に封印されているのではないかといわれている。