神の舞踏
瑠訊が集落を出てからすでに一か月が経過しようとしていた。
瑠偉が《天瞳》によって、その動向を逐一把握してくれているので、あいつの心配はしていない。
順調に集落を回り、周辺獣人の集落とは同盟を結べているようだ。俺――賢者の石が存在を予想していた、自然発生した神格との接触も行われているらしい。
壊滅した村の恨みを晴らすべく、自分の動ける範囲で散発的に龍神姫の軍を襲撃している、稲穂を纏った神狐。
龍神姫の侵略をうけ半死半生の体といった状態だった、背中に翼が生えた人間――鳥人を保護していた、樹齢千年の木々を従える巨大樹。
龍神姫の戦いに負け、落ち武者同然といった体で逃げ込んできた、硬質な甲羅を鎧のような形状にして纏った《亀人》の守護神である、70メートルの落差がある滝の化身である蛟。
自らが加護を与えていた人間が死んでしまい、怒りに狂い暴れていた、火山の化身である三面六臂の猿神。
とある巨大な山脈で最も高い山の頂。永久凍土の中に封じられた巨大なマンモスが、周囲の像たちの信仰を受けて神格化した、新参の凍土の神。
現状、瑠訊が同盟を結ぶことができた神格はこの五柱だ。
どれもこれも岩神級の霊力を持つ、一級の神格。おそらく龍神姫と戦うにあたり、大きな戦力となってくれるだろう。
「あぁ、兄さん!? いいかげん、あの子が本気だときづいてあげてっ!? まぁ、気づいたら気づいたで、問題あるんですけどっ!!」
おかげで集落ではすっかり瑠訊を心配する声はなくなり、あとは彼が朗報を持ち帰るのを待つだけだと、龍神姫の影響を受け、少し静かになっていた集落は、元の活気を取り戻しつつあった。
代わりに浮上したのが、瑠訊の浮気問題だったが……。
しかも相手は、一回りどころか四回りも年下であろう、10歳くらいの狐耳と尻尾をもった少女。
しかもその少女、旅をする間にガチで瑠訊に惚れてしまったらしく、少し前から熱烈アピールを瑠訊にするようになってしまっていた。
さすがに30も年下の少女相手に、そういった感情を持つことはないのか、瑠訊は笑って彼女のアピールをいなしているが、少女が神術を覚えた途端、自分の神である稲穂を纏った神孤の人間形態に変化して、迫った時はかなり危なかった。
正直出血多量で死ぬんじゃないかと、見ているこちらが不安になる量の鼻血を、瑠訊は流していたからだ。
「と、ところで……三日月入り江の《瘴気》はもうマシになりましたか?」
「それがどういうわけか全く引かなくてな……。本気で黄泉の道でも開いたんじゃないか、あそこ……」
ちょうどそのくらいの時だったろうか? 突如として夜海を葬ったあの入り江から、触れたものを腐らせる、ドス黒い霊力が噴出したのは。俺たちは大和の言葉を借りて、便宜上それを瘴気と呼んでいる。
入り江どころか、その周囲の木や草さえ、真っ黒に腐食して枯れ果てたため、俺と岩神があわてて結界を張ってその侵攻を阻止しようとしたが、結界そのものが腐り果ててしまいあえなく失敗。
岩神が自身の分身として、霊力を使い作り出した岩を要石にして、さらに強力な結界と封印作り上げてようやく、完全にその瘴気を封印した。だが、それにより何とか周囲の森への被害拡大を防いだのだが……入り江の内部はいまだに、その真っ黒な霊力が渦巻いたまま……瘴気が減る気配は一向に見えない。
「……絶対、夜海姉さんの祟りですよね?」
「むしろそれ以外に可能性があんのかよ……」
どうやら大和の戯言のせいで、黄泉の性質が変化してしまったらしい。
夜海が楽しく暮らせるはずだった極楽から、あんな瘴気が出るわけないのだから……。
もっとも、夜海自身の嫉妬によって霊力が変質した可能性が、無きにしも非ずだが……。
「はぁ、瑠訊があの狐の神様を拝み倒しさえしなければ、夜海だってガキの悪戯の一つや二つぐらい、笑顔で見逃したろうに……」
「いや、姉さんあれで意外と小心者ですから、案外黄泉で一人っきりでいて、不安なのかもしれませんよ?」
そんな愚もつかない普段の雑談を繰り返しながら、俺と瑠偉は視点を瑠訊から外す。
(一か月……持った方だな)
俺はそんなことを考えながら、焦土に変わったとある平原を見つめていた。
そこはもともと鼠を素体に作られた獣人が住処にしていた場所で、元活火山が近くにあったためか、無数の巨穴が大地に穿たれた、珍しい地形をした場所だった。
鼠の獣人たちはそこを拠点とし、侵攻してきた龍神姫を相手にゲリラ戦を展開。
洞窟という入り組んだ地形を生かした奇襲戦法で、この一か月間龍神姫の侵攻を見事食い止めて見せた。
だが、その地面にあいた無数の洞窟が、すべて繋がっているとバレてからは一方的な戦いとなった。
なぜか透視・遠視神術で姿がよく姿が見えない龍神姫が、莫大な量の毒の吐息を洞窟内に流し込み、洞窟に隠れていたネズミの獣人たちを、あっという間に洞窟から引きずり出したのだ。
もとよりほかの獣人より体格に恵まれなかったネズミの獣人たちは、自分たちを守ってくれた洞窟という盾を失い瞬く間に蹂躙された。
そして、それから他の集落と同じように、男は奴隷の兵士として。女は龍神姫の側近たちの慰み者として連れて行かれ、子供たちは下働きとして死ぬまでこき使われている。
鼠の獣人たちの手によって作られた、一か月の猶予が、とうとう期限を迎えたのだ。
龍神姫の軍勢は再び行動を開始し、こちらに向かって一直線に進軍してくる。
軍団という集団を保持しながらの進軍の為、その歩みは気軽な一人旅をしている瑠訊よりずいぶんと遅いが、甘く見積もっても2週間以内には、俺たちの集落を射程範囲に入れるはずだ。
瑠訊の帰還はおそらく間に合わない。
戦う準備が必要だ。
だが、その前に……。
「あれをどうにかしないとな……」
「まったく。前にも後ろにも瘴気とは……幸先の悪い戦いになりそうですね」
さらに透視・遠視の視線を移した俺たちは、信じられない速度で一直線に野山を駆ける真っ黒な物体を見据えた。
その正体は、目の前で自分の子供たちが蹂躙されるのをみて、助けようと龍神姫に挑んだ鍾乳石の体をもつ巨大なネズミ。おそらく鼠の獣人たちを作った神の一柱だろう。
だが、神としての格が低かったのか……。龍神姫がもはや神をひねりつぶせるほどの力を身につけたのか……。
とにかく、その鼠の神は龍神姫に敗北し、目の前で子供たちをいたぶられた。
その怨念のあまり、神はとうとう我を忘れ発狂し、荒ぶる神――いや、強大な《祟り神》として、辺りに厄災をまき散らしながら、一直線にこの集落に向かってきていた。
おそらく、自分が敗北し、恐怖を覚えた龍神姫から逃げるための進路だろうが、正直その進行予測上に存在するうちの集落としてはたまったものではない。
なにせこの祟り神、《負の感情は正の感情より巨大なエネルギーを生む》という、中二設定を忠実に再現しているのか、侵攻した大地を自身の霊力で汚染し、不毛の大地に変貌させながら進んできているのだ。
万が一直撃は免れても、この地域一帯は到底人が住めない不毛の土地になってしまうだろう。
「何とかして迎撃したいが、相手は仮にも神格だ。はたして俺たちが磨いた神術がどこまで通じるか……」
「一応大風彦さんと、大和には連絡を飛ばしましたが……」
と、俺と瑠偉が未知なる神との、戦いに不安を隠し切れていない中、
「ん?」
瑠偉が突然素っ頓狂な声をあげた。
「あぁ? どうした?」
「あれ、否麻じゃありません?」
「なにっ!?」
俺があわてて遠視の神術を再起動すると、瑠偉が言ったように、そこには否麻が立っていた。
場所は見晴らしのいい平原。その真ん中を真っ黒な瘴気で犯しながら、鼠の祟り神が進撃する。
否麻はその正面に、ためらうことなく立っていた。
岩神からの加護をふんだんに受けているせいか、いまでも若いころの姿を完全に保っている否麻は、俺が悪ふざけで作った若干きわどいスリット入りの巫女服に身を包んでいた。そして、左手には榊、右手に鈴をもって、
一礼。
だがその間にも鼠の祟り神は速度を緩めず、否麻に肉薄していた。
だが、否麻と鼠の祟り神がぶつかると思った瞬間、否麻の体が天高く跳ね上がった。
明らかに通常の生物とは違う不自然な動きをした否麻に、鼠の祟り神の視線が動く。
それを確認したのか、遠視の中の否麻は小さく笑い、着地。
「御鼠の荒御霊。祟る神よ。我が神、大岩の姫の命により、汝が怨念を癒し奉り候」
ふたたび一礼し、
「つたない舞踏でしょうが、ご寛恕願いたい」
踊りだした。
…†…†…………†…†…
「私に何ができるだろう?」
その舞踏を見て、俺は瑠訊が集落を出てから何かを思い悩んでいた否麻が、不意にその言葉を漏らした時のことを、思い出していた。
「突然なんだよ? 普段から『岩神様のお世話しているんですっ!!』とか言って、《甘言奉納》という名の雑談を楽しんでいる、お前とは思えない真面目な雰囲気で」
「うにゅ!? わ、わたしだってこの事態になにも感じていないわけじゃないんだけどっ!?」
辛辣すぎる俺の言葉に目をむきながら、珍しく岩神の周囲の掃き掃除なんかしている否麻は抗議の声をあげた。
そんな俺たちの話に笑いながら、人の姿になり、自身の本性である巨岩の上に座って、こちらを見下ろしていた岩神は、一応自分の巫女である否麻をかばった。
「そうですよ、賢者の石。否麻は頑張ってくれています。ちょっと雑談が多いかな? とか、そういえば最近落ち葉がたまってきたんだけど、掃き清めてくれないな……。とか、私は普段から思っていますが、仕事しない以外はほんとにいい子なんですからっ!!」
「い、岩神様! 援護! 援護してよっ!!」
容姿が若いころのままのせいか、どうにも精神年齢までそのビジュアルで固定されてしまったような否麻に、嘆息する俺。
まぁ確かに、村の頂点であった瑠訊がしばらく集落を開けるような非常事態だ。長年彼らと共に過ごしてきた否麻が、何も感じないわけではないだろうが……。
「お前の神術は基本的に舞踏の補助ばっかりだろ? 《跳躍強化》とか、《楽曲再生》とか……。基本的に戦闘では使えないじゃないか?」
「うぅ……」
「だから戦闘系の神術も作れって言っただろ? 俺が考えた蹴撃力増強神術とかほんと渾身の力作だったんだからな!? そこらにある岩くらいなら蹴り上げるどころか、蹴り砕くことさえできたんだからなっ!!」
「だ、だって……そんな殺傷力抜群な攻撃手段もっていても、使いこなせる自信なかったし」
もとは草食動物のウサギであるせいか、彼女はどうにも戦闘というのが苦手らしかった。だから基本的に、生き物と命をとり取られの関係である、狩りにも漁にも否麻は参加したがらなかった。
「ですが、それは何も悪いことではないでしょう」
「岩神さま……」
だが、ことはそんな事態ではないと、俺が心を鬼にして否麻に苦言を告げる。当然のごとく凹む否麻。そんな否麻に笑いかけながら、岩神はこんなことを言ってきた。
「戦うことでしか解決できぬ問題もあるように……。戦わないことでしか、解決できない問題もあるでしょう」
「た、たとえば……?」
「そ、それは自分で考えてください」
何とも頼りない岩神の言葉に、思わずジト目になる否麻と俺(なんか久しぶりな気がするが、石だから(以下略))。だが、
「でも、私はあなたの踊りが好きですよ、否麻。あなたが楽しげに踊る舞踏を見て、私はいつも心癒されています。だから……」
あまり自分を卑下しないで? そう言って否麻に笑いかけた岩神の顔は、真実を語っていた。
そして、俺は今、遠視で否麻の舞踏を見て、岩神の言葉の意味を悟った。
「ははっ……冗談だろ?」
正直、否麻があれ程の舞踏ができるとは、俺は毛ほども思っていなかったのだから。
彼女の踊りは文字通り……神がかっていた。
…†…†…………†…†…
シャラリと、手に持った鈴が、文字通り涼やかな音を響かせる。
サララと、手に持った榊が葉をこすり合わせながら、場を清める音を響かせる。
辺りに満ちるのは、高鳴る私の鼓動に合わせた、昇速楽曲。
この日のために私――否麻が頭の中でいっぱい作った曲のうちの一つが、確かな力となってこの場を満たすのを感じていた。
目の前には凄まじい憎悪の波動を叩きつけてくる祟り神。
でも、その目はすでに私にくぎ付けだ。
(そうでないと困る……)
私はそんな思考を繰り返しながら、笑顔で舞踏を続けた。
何もしてこなかった自分が、それでもあの集落のために何かをしたいと思った。
悪友である夜海が産んだ、子供がいるあの集落を。
獣人という異形を受け入れてくれた、優しい家族がいるあの集落を。
でも、私はあまりに持っているものが少なかった。
だから何かをしようとしても、持っている物を磨くくらいしか考えつかなかった。
そして、私が持っている物はただ一つ。この身を使った踊りだけ。
まだまだ知識を付けて日が浅い、子供のようなころの記憶。
その中で今も大事に保管されている、岩神様が私を褒めてくれたこと。
『跳ね飛ぶ獣の娘。なかなか面白い踊りをしますね?』
あのころの私は踊りなんて知らなかった。ただ楽しい気分になった時、体をゆらゆら揺らしていただけだ。
そして私は知恵をつけ、いろんなことを学び、踊りというものがどういうものか賢者の石様に聞いてみた。
『もとは神様に奉納するための儀式の道具だったんだ』
そう聞いたから、私は岩神様の巫女になる道を選んだ。
口ではいろいろ言っていたが、本当はまた岩神様に褒めてもらいたくて……。
わたしを生んでくれた母親にわずかながらでも、恩返しがしたくて、私は踊り続けられる巫女を選んだ。
でも、今はそれだけでは足りないんだと分かっていた。ただの踊りでどうにかできるほど、安い事態ではないと、瑠訊が命を懸けて旅立った時からわかっていた。
でも、私には踊りしかない……。だったら、
「ただの踊りでは足りないんだったら……ただの踊りじゃない踊りをするしかないんだ」
魂を蹴り飛ばす舞踊を。
魂を揺さぶる舞踏を。
そして、そして、
「神様だって感動させられる……そんな《踊り》を私は踊るっ!!」
楽曲に合わせて足を打ち鳴らす。
汗を飛び散らせながら、あくまで楽しげに笑う。
目の前の神様が、自分の力をこんなに醜く変質させてしまう憎しみを、忘れられるようなすごい踊りを踊るために!
すると、いつのまにか鼠の神様は私の楽曲に合わせて、わずかに身を揺らすようになっていた。
その姿が私の幼いころの姿を彷彿とさせ、私は自然と今までの作った笑みではない、自然な笑みをうかべられていた。
「そうだね……神様。踊りって楽しいんだよ?」
私はそう言って手を伸ばす。
目の前の鼠の神様を、憎しみの泥沼から救い上げるために。
「だから、こっちにおいでよ。私の踊りが楽しいって思えるなら、そんなことしちゃだめだよ」
必死に、訴えかける。
「あなたの子供たちだって、そんなことは望まない。憎しみを忘れろ、なんて言わない。悲しくても……覚えておかないといけないことがあるのは、私だって知ってる」
まだ忘れられない、忘れたくない夜海が死んで悲しんだ夜のことを思い出しながら、
「それでも、そんな心ばかりで生きていくのは、辛いよ。苦しいよ。だから神様、私があげるから。あなたの憎しみなんて吹き飛ばせるくらいの楽しいことを、私があげるからっ!! だからっ……もうこんな誰かを傷つけることしかできない、悲しいことはしないでっ!!」
私の眼尻からは、いつのまにか涙が流れていた。
悲しいわけでは……ないと思う。私は今までで最高の踊りができて、誰よりも一番楽しい。
それでも、私はいつの間にか流れ出ていた涙を止めることができなかった。
そんな私を慰めるように、鼠の神様が私に近づいてきて、
流れ出た涙を、そっと拭ってくれた。
『舞踏の巫女……善哉』
…†…†…………†…†…
遠視の神術が見せる景色の中で、巨大なネズミの神の姿が、真っ白な光の粒になって消失した。
「信じがたい奴だ……」
まさか舞踏そのものを、一つの神術に昇華させるとは……。と、俺は内心で驚きを隠すことなく、否麻が使った神術を解析していく。
「賢者の石さん。いまのは?」
「おそらく感情の伝播を主体においた、浄化神術だな。憎しみに我を失った神をなだめるには一番効率的な神術だろう。憎しみ一色になった神の心に、自分の楽しいという感情を伝え、その憎しみを相殺する。ただでさえ一流の音楽は言葉や、意味なんて、まどろっこしい概念を使わず、相手の心に自分の真意を響かせることができる手段の一つだ。こと《説得》ということには最も適している手段といえる」
(そして、否麻に説得された鼠の神は元の姿に戻ったが……祟り神の時に使っていた、莫大な力の代償を支払い、霊力を完全消失。消滅した、ってところかな?)
あの神様を説得しようとしてやってきた否麻にとって、その結末はあまりに悲劇的すぎただろう。
そう思っている俺の遠視がかかった視界の中では、武器を携えやってきていた大風彦と大和が唖然として、消えた鼠の神がいたところを見つめていた。
「え……えっと、これはどういう?」
戦うつもりで来たのに、敵があっさり消え去ったのだ。大和の混乱はひとしおだったろう。
だが、大風彦だけは笑いながら泣いている否麻に何かを感じ取ったのか、地面に膝をついて座り込んだ彼女にそっと歩み寄り、
「お前がやりたいことはできたのか?」
「うん。できたよ……最後は、笑って行ってくれたよ」
笑いながらそう言った否麻が、
「でも……でも私っ……鼠の神様をあんなふうにした人たちが」
何かを言おうとしたのを、大風彦は黙ってさえぎった。
「そこまでにしておけ、否麻。お前がそれを言うのは、お前が送った鼠の神に対する冒涜だ」
「……」
その言葉に何度も頷き、笑顔を保った否麻に一つ頷いたあと、大風彦は自分の手に持った槍を旋回させる。
風を切る音が平原に響き渡った。
「許せん敵を、怒り、斬り捨てるのは戦士の仕事だ……。巫女は救われぬ誰かのために、笑って踊って誰かを救うのが仕事だろ?」
大風彦の言葉を聞いた否麻は、とうとう地面に伏せることで顔を隠し、
笑って消えて行った鼠の神様を思って、大きな声で泣き出した。
龍神姫の軍勢と開戦する2週間前の出来事だった。
ようやく否麻が仕事した!!
なんかすごいシリアスになった!!
……すいません。もうちょっとシリアス続きます。
あぁ、早く日常ほのぼの系の話に戻りたい……。