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破滅確定の悪役幼女に転生してしまったので、頑張って生き残ります!  作者: 魚谷


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24 ご学友

王宮に向かう馬車の中で、どうして殿下が?という疑問が頭の中をぐるぐる回っていた。


それはきっとパパも同じだろう。


おまけにパパだけじゃなくて、私まで呼ばれるなんて。


一体どうしてだろう。


王宮に到着すると、すぐに殿下の私室へ通された。


そこには殿下の他、ヴラドまでいた。


いつもは穏やかな笑みをたたえているヴラドだけれど、今日はどこか厳しい表情に見えた。



「殿下、ご機嫌麗しく」


「ご機嫌麗しく……」



私はパパと一緒に頭を下げた。



「二人とも、ようこそ。そこにかけてくれ」



ソファーに腰かけると、侍従がお茶を淹れてくれた。


「殿下、早速ではありますが、私たちをお召しになった理由をお聞かせください」


「公爵は単刀直入だな」


「性分なものでお許しを」


「オリヴィエを私の学友にしたい」



はい!?



「わ、私は魔法使いです、けど」


「もちろん分かっている」


「殿下、何を考えておられるのですか」



ヴラドが眉をひそめた。



「猊下。私はこの国の王となる身。魔法使いだからと無闇に疎外するべきではないと思ったのです」


「妃殿下の一件のせいですか」


「この件とは無関係です。そもそも母上が回復なさったのが魔法によるものか、祈りによるものかは定かではありません。私はただ様々な考えに触れ、広い知見を持ちたいだけですから」


「王太子の学友に女性がつくなんて聞いたことがありません」


「猊下、それは仕方がありません。ネフィリム公爵家には令嬢しかいないのですから。いくら公爵が優れた魔法使いといえども、学友にすることはおかしいでしょう」



ヴラドが言葉を重ねて説得しようとしても、殿下は自分の意志を曲げるつもりはないようだった。



「すでに父上には承諾を得ています。あとは公爵の許可をいただくだけです」


「……殿下。ありがたい申し出ではありますが──」



殿下はそれ以上の言葉を言わせないように手で制する。



「もし教団の者がそばにいることでオリヴィエに何かしら悪影響が及ぶことを危惧されているのでしたら、心配はいりません。私の名誉に賭けて、彼女を守ると誓います」


まさかそこまではっきり言われるとは思っていなかったパパは、驚きに目を瞠る。


私もびっくりしてしまう。


殿下は本気だ。


いくらパパでも国王陛下がすでに了承し、ここまで殿下が言っている以上、断ることは難しいだろう。



「……そういうことであれば、承知いたしました」


「理解してくれて感謝する。オリヴィエの負担が大きくならないよう細心の注意を払うから安心して欲しい。それでは、オリヴィエと二人きりに」


「私も、でしょうか」


「そうです、猊下。学友であるオリヴィエと二人に」


「……かしこまりました」



パパたちは渋々と部屋を出ていく。



「殿下。どうしてこんな……」


「決まっているだろ。母上を救ってくれたのが魔法……いや、君だからだ。そして母を救ってくれた魔法に感謝している。だからこそ、魔法を理解していきたい」


「でしたら、パパ……いえ、お父様から学んだほうが」



偽物公女である私が魔法を使えるのは転生特典だ。


やっぱり大陸一の魔法使いであるパパから学んだほうがいいはずだわ。



「私はオリヴィエから習いたいんだ。駄目か?」


「駄目では……」


「だったら決まりだ。早速、あの馬の魔法について教えてくれ。あの八本の足を持ち、空を駆けていた……」


「あれは魔法ではなく、使い魔という存在……私たち魔法使いのパートナーです。それから馬ではなく、スレイプニルという魔物で……」


「そうだ、そういうことを教えて欲しいんだ。続けてくれ」



殿下は目をキラキラさせて言った。


もうこれはしょうがないか。


私は、まずは魔物について説明を始めた。





「──王太子殿下のご様子はどうだ?」



夕食の時間。


食堂で私の向かいに座るパパが聞いてきた。



「すごく真面目に聞いて下さってるわ」



はじめての授業から二週間ほどが経過している。


今は週二、三回のペースで殿下に魔法を教えていた。



「フュリオ、お前から見てどうだ?」


「殿下はお嬢様にお会いするのをとても楽しみにしておられますし、閣下とお約束した通り、教団の者たちを遠ざけてくださっています」



フュリオは護衛役として、いつも王宮に同行してくれている。



「……オリヴィエが狙いなのではないか?」


「狙い?」


「婚約者だ」



突飛な発言に私は咳き込んでしまう。



「パパ、いきなり何を言うの?」


「そうでなければ、突然、魔法を学びたい、それもオリヴィエを学友に、と招く理由がない」


「それは絶対にないわ」


「どうしてだ。オリヴィエ。お前は自分で思っている以上に可愛いんだ」


「か、かわ!?」



フュリオも「それはそうですね」とうんうんと頷いている。


さらに待機しているノアたちも「はい、お嬢様はとても可愛らしいです」「ご成長なされば、王国一の美人におなりになるでしょう」と頷く。


気恥ずかしさにどんどん頬が熱くなる。



「と、とにかくそれはないからっ」


「だからどうしてそう言える?」



パパの目が鋭くなってる!


だって殿下は攻略キャラよ。惹かれるのなら、主人公に決まっている。


悪役令嬢を、好きになる理由がないもの。


殿下が一生懸命学んでいるのは魔法に恩を感じているから。


とはいえ、それを明らかにはできない。



「……だって殿下はそんな素振りは見せないもの」


「まだ子どもだからな。フュリオ、そのあたりも注意してくれ」


「お任せ下さいっ」



お任せ下さい、じゃないよ!


もう。そんなことないのに……。


パパったら親バカなんだから。

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