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結婚式は新郎新婦の初めての共同作業だと世の人々は思うだろう。
だがマリアンヌにとっては今から向かうのは戦場であった。気持ちは死地へ赴く騎士そのもの。彼女は誇りと名誉とをかけて式へ挑もうとしていた。
(あなたは受け止めてくれるでしょうか)
両開きの扉が、開く。
眼と眼が合う。
友人らと談笑していたはずの新郎の顔からすべての色が抜け落ちていった。
*
花嫁となるマリアンヌが式場へ現れた時、会場は騒然とした。それもそのはず、彼女は不吉だとされる黒色をあしらったドレスに身を包んでいたからだ。周囲の招待客とともに夫ギリアムもまた言葉を失い立ち尽くしていた。