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その転移者は特別です。  作者: 波留
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第8話 中層へ②


「ふッ!!」


木の枝を一振してスライム状の生き物が液を撒き散らしながら絶命する。


アスタロトに教えて貰った通り、僕は体に慣れることを優先にそこら辺にいる魔物を倒していた。


だいたい数十体は倒したはず。

いまさっき倒したスライムみたいなのも入ればカマキリみたいな生物もいた。



ここまで倒してきて何個かわかったものがある。


魔物と魔族はまた別の物だということ。

魔物を倒すと経験値を取得しレベルが上がること。

魔物からの素材でものが作れること。


アスタロト曰く魔物とは4段階に別れ下級、上級、最上級、特級と分類される。


この上層にいるのはどれも下級魔物だ。

もう難なく倒せるレベルだ、武器は木の枝しかないが、、。


「さて……」


俺はステータスプレートを取り出したステータスを確認する。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Lv.27


名前:来栖崎 奏


職業:半人半魔 (原初の魔 アスタロト)


筋力:1775

敏捷:1675

耐久:1475

魔力:3875


攻撃力 (筋力+魔力):5650

守備力 (耐久+魔力):5350


固有能力:属性変換[極] 再生 強欲


スキル:半魔人化 魔力操作 魔力感知 身体能力強化

ボルテージ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


レベルは27まで上がったな、ステータスもかなり上がってる。

一つ上がる事に各パラメータは25づつ上がり、10単位で追加で+100されるらしい。


(あら、だいぶ上がったわね。)


「アスタロトか。」


もう急に話しかけられる事にも慣れてきた。


「そういえばアスタロトはパラメータみたいなのはあるのか?」


(知らないわ。そもそもステータスプレートなんて魔族にはないわ、人間が編み出したものだからね)


「そうなのか。」


(人間より遥かに力を持っていることは確かね。けど今の奏なら最上級魔物までなら余裕で倒せそうね。私の感覚だけど)


「え、そうだとしたら最奥まで行くの楽勝なんじゃない?」


(いやそれは無い。確かに下級、上級までは今の奏なら楽勝だと思うわ。でもね最上級になると知性が増すの。戦闘IQっていうの?それが格段に上がる)


今までの戦闘を振り返ると確かに知性は低い魔物ばかりだった。知性というか本能で殺しに来ている感じがする。


(だから油断しない事ね。どれだけ強くなっても生き返る手段がなければそれで終わりなんだから。)


「…そうだな。油断しないでおくよ」


「じゃあね〜」といいながら通信が切れた。

最上級魔物か……。考えることは沢山あるだろうがとりあえず今は中層へ向かうことを優先するか。


僕は魔力感知を使い転移魔法陣探しを再開した。









「ここか……。」


探し回って数十分、魔力感知を使い魔法陣を発見した。

平原の真ん中に魔法陣がポツンと設置してある。

だがそれを守る門番のように、鎧を纏った巨人が禍々しい魔剣地面へと突き刺し居座っていた。


明らかに今まで倒してきた奴らと違う雰囲気だ。


「だけど今の僕なら…ッ!」


僕は30メートルはある距離を一瞬で移動し先制攻撃を決める。


だが巨人はその速さに反応し魔剣を振り下ろしてきた。それを魔力の込めた木の枝で受け止める。


ガキィンッ!


と鋼と鋼がぶつかる音が鳴り響き周囲に衝撃波が散る。


「重ッ!」


こんな序盤の場所にいていいのかと思う程重く鋭い攻撃。

全身が軋み、筋肉の全てが悲鳴をあげる。

踏み込んでいる地面が段々と沈んでいく、このままなら一瞬移動が遅れるッ


僕は木の枝を下へ向け、魔剣を下へ流すように誘導する。

思いの通り魔剣はそのまま地面に深々と刺さる。

魔剣の峰を上から踏み、さらに地面へと刺さっていく。


「ふッッ!!!」


地面を踏み抜き巨人の顔面へと蹴りを放つ。

だが巨人は魔剣から手放し、顔面スレスレで体を仰け反り蹴りを交わす。


「まじかっ!」


そのまま巨人が拳で反撃してくる。

ギリギリで避け続けるが拳が空を切る音がえげつない。


僕は飛んでくる拳を掴み木の枝で巨人の腕を切断する……。


「えっ……。」



バキィッ!


切断つもりだったが木の枝が折れてしまった。


「くそっ!!」


折れた一瞬の隙を突かれ、再び無数の拳が飛んでくる。しかも魔剣がめり込んだ場所まで僕を避けさせながら移動している。


「ウォオオオオオ!!!」


巨人が雄叫びをあげ、数段攻撃速度が上がる。


「がぁッッ!!!」


何とかギリギリで避け続けていたが、一発お腹へモロに食らってしまった。


肋骨が折れ、内臓が抉れる音がした。

堪らず口から血を吐きながら吹っ飛んでいく。


地面へと衝突し、さらにダメージを食らう。ら巨人は隙を与えず僕の元へ飛び込んで来て魔剣で追撃をする。


「ぐッ!!」



悲鳴を上げ続ける体を何とか翻し避け反撃に移る。

降りてきた腕を伝い巨人の顔面へ移動し、今出せる全力を拳に乗せ顔面をぶん殴る。


「らあッ!!」


拳の衝撃で顔面が凹み巨人がぐらつく。

僕はそのまま顔面を殴り続ける。


「ウォオオオオオ!!!」


巨人が僕を跳ね除けようとするがお構い無しに顔面を殴り続ける。


「ああああああああ!!!!」


渾身の一撃が巨人の顔と胴体を別れさせる。

顔が吹っ飛んでいき、胴体は力が魂が抜けたようにグチャりと音を立て倒れた。


「はぁはぁはぁ……。」


ちぎれた首から紫色の血を流しながら巨人は絶命した。


「……倒せた。……やばい、かなりギリギリだった。」


腹に食らった1発が重すぎた。

たった一発。なのに体力が半分以上持っていかれた気がする。


「お゛ぅえぇぇ…ッ」


再び血が込み上げ吐いてしまった。

何とか回復を……ッ


初めて使う固有能力、再生。なかなか感覚が掴めない。


(ボロボロね。)


またもやアスタロトの声が聞こえてきた。


「待って……ッ!いま再生を使ってみてるから」


感じるんだ、負傷している部分全て、


「ッ…!」


(いいわね…その調子)





「……よし…!」


あれだけ傷ついていた部分が10秒も経たず全開した。

すごいぞこの能力……。


(いけそうね。)


「まあ、何とかね…… 。それでアスタロト、あいつは……」


(気になるわよね。言っちゃえばあいつは最上級悪魔よ。)


「……悪魔?魔物じゃなくて?」


(えぇ、魔物からの突然変異したものよ。魔物が死の怨念を取り込み規定量まで達した時に起こる進化。強さでいえば特級魔物に相当するわ。)


「はぁ!?特級!?」


(特級と言ってもその中で強さの段階があるわ。あれはまだ弱い方よ。まぁ私なら1発だけどね!)


あれで弱い方か……。

この先しんどくなりそうなんだが。


(それは無いわよ。)


「なんで心の中がよめるんだよ!」


(そら私の眷属なんだから当たり前でしょう?いいのそんなことは。……そもそも最上級悪魔なんて深淵でしか発生しないはずなの。)


「じゃあなんでこんな上層にいるんだよ。」


(そこが疑問なのよ。……何らかの異常が発生しているってことはわかるわ。)


(まぁけど何とかなるはずよね!頑張って来てね。)


「え、じゃあこの先またこんなのがいるってこと??」


(そうなるわね。)


「……キッツ。」


(そこまで心配しなくて大丈夫でしょ。今のレベルでそこまでやれてるならこの先は楽に行けると思うわ。)


「まぁ、そうだよな。とっとと終わらせて地上に戻るか!」


「ま、早く来てね」といいアスタロトとの通信がきれた。




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